■今秋登場のカローラセダン/ワゴンとはどんなクルマ?
トヨタ「カローラ」が堅調に売れています。最近の新車販売台数ランキングを見ても2019年4月が5位(7335台)、5月が6位(7311台)、そして6月が5位(8437台)と上位にランクインしているのです。
どっちがイケメン? トヨタ「カローラ」セダンとワゴンで顔が違う理由
2019年1月から6月までの統計を見ても4万7836台を販売して6位のポジションを得ており、コンスタントに販売していることが理解できます。
普通車でトップを走るプリウス(7万277台)の2/3程度の販売ボリュームがあるといえば、その人気ぶりが想像できます。そんななか次期型カローラの登場が2019年の秋に予定されていますが、どんなクルマなのでしょうか。
現行型カローラの日本仕様(「アクシオ」と呼ばれるセダンとワゴンの「フィールダー」)は、前回のフルモデルチェンジが2012年5月と、すでに7年以上も販売しているロングセラーです。
2019年の秋にはフルモデルチェンジが予定されており、トヨタの公式ウェブサイトでも海外仕様車の写真がお披露目されています。
最大のトピックは、海外仕様のカローラと共通化されることです。カローラは、世界で幅広く販売されるグローバルモデルですが、じつは国内仕様のカローラは直近の2世代ほど「グローバルモデル」と呼ばれる海外仕様とは基本設計から異なるもので、実質的に日本だけをターゲットに開発された仕様でした(香港/マカオでも少数を販売)。
しかし、2019年秋に販売が始まる次期モデルは海外仕様と基本設計を共通化し、再び世界基準になるのです。ボディをはじめメカニズムの設計はTNGAと呼ばれるトヨタの次世代思想を採用します。
つまり、プリウスと血縁関係の深いモデルとなることを意味しています。もちろんハイブリッドも用意され、パッケージングの違いとしてプリウスがハッチバックで、カローラはセダン&ワゴンとして住み分けることになるのです。
プリウスと異なるのは、ガソリンエンジンも用意されること。詳細は明らかにされていませんが、次世代カローラのバリエーションのひとつとして日本でも先行して発売されている「カローラスポーツ」に積む1.2リッターターボに加え、1.8リッター自然吸気を用意するという情報もあります。
グローバルモデルへ統一されることによって賛否が分かれそうなのは、車体サイズが大きくなることでしょう。日本で現在販売されているカローラセダン(アクシオ)のサイズは全長4400mm×全幅1695mmのコンパクトな5ナンバーサイズです。
一方で、海外仕様の新型カローラは全長4630mm×1780mmとひとまわり以上大きなサイズ。日本仕様はフェンダーの張り出しを抑えて前後バンパーも小型化した「海外仕様よりはやや小さな車体」となるようですが、とはいえ歴代モデル初の3ナンバーサイズになるのは確実といえます。
ミドルサイズカーとなる新型カローラはこれまで異なり、スバル「インプレッサ」や「マツダ3」、ホンダ「シビック」などのライバルへと成長し、ワゴンに関して国産車ではガチンコライバル車が不在となるでしょう。
■そして、若返りを図るのがデザイン
じつは、海外向けの新型カローラには北米や欧州で販売されている「スポーティ顔」とアジアで販売される「ラグジュアリー顔」のふたつの顔つきがあるのですが、日本は前者。
顔つきは、カローラスポーツと同じテイストで、グッとスポーティな雰囲気へと大変身します。筆者(工藤貴宏)はすでに海外で新型カローラの実車に触れていますが、スポーティ顔のモデルは素直にカッコいいと思わせる伸びやかなものです。
ただし、前述のとおり日本仕様車は海外仕様に比べるとフェンダーやバンパーの張り出しを抑えた「ナローボディ」を採用。その専用ボディとすることで海外向けのスタイルのポイントである伸びやかさをしっかり受け継いでいるかが心配です。
開発をまとめているトヨタの小西良樹チーフエンジニアは、「ナローボディでも雰囲気はそのままなのでご安心ください。私でも、15mほど離れれば(海外仕様車との)見分けがつかないほどですよ」と語っています。
また、販売面で心配なのは大型化して価格帯もアップする新型が、法人ユーザーに受け入れられるのかどうかです。じつは、現在のカローラ人気は法人需要によって支えられているといっても過言ではありません。
安価な4ドアセダンであり、ハイブリッドも選べる車種として現行カローラセダンの多くは個人ユースよりも社用車として選ばれているのです。
だから日本において新型カローラが現在の高人気を維持できるか不安な部分もあるのですが、トヨタはしっかり対策を考えているという情報も。なんと、従来型(現在発売している「アクシオ」)を継続販売し、新旧併売とするというのです。
これは、プリウスが2代目から3代目へとモデルチェンジしたときにとったのと同じ方法。プリウスの場合はその後、「安価なハイブリッド車」の席を埋める「アクア」が登場しました。カローラでは、もしかすると将来的には東南アジアで販売されるヴィッツベースのセダン「ヴィオス」などを日本に投入するのかもしれません。
また「プリウスα」とのキャラ被りも心配です。新型カローラワゴンは、プリウスと共用の基本設計をベースに荷室の広いワゴンスタイルとしたモデルなので、ハイブリッドモデルはプリウスαと重なってしまいます。
しかし、スクープ雑誌などで展開されているように、プリウスαは次期型を開発している様子もうかがえます。2列のワゴンはカローラ、3列の多人数乗車仕様はプリウスαという棲み分けを考えているのかもしれません。
カローラは、車名別カウントでは世界第一位の販売台数を誇る車種です。年間100万台と、ちょっとした自動車メーカーの全ラインナップ合計生産台数と同じ程度の規模(スバルの2018年世界生産台数が98万9149台)を単一車種で生産し続けているのです。
かつては「日本を代表するスタンダードカー」と呼ばれていたカローラですが、海外で経験を積んだ現在は「世界を代表するスタンダードカー」へと成長したといえるでしょう。
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