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【600eのご先祖様】 フィアット600はどんなクルマだった?  歴代モデルを振り返り!

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【600eのご先祖様】 フィアット600はどんなクルマだった?  歴代モデルを振り返り!

初代フィアット600は革新的な小型車

フィアットの電気自動車(BEV)に600eが加わった。先に登場した500eに続くBEVの第2作目となるが、注目したいのはその車名だ。

【画像】フィアット600の歴史を写真で振り返る 全29枚

フィアットにとって小型車の礎として1955年に登場し、大成功を収めた傑作車の名がBEVに受け継がれたのである。そこで初代フィアット600はどのようなクルマだったのか? アバルト版や2代目を含めたヒストリーを振り返る。

600(イタリア語でセイチェントと読む)が登場以前のフィアットは、フロントエンジンで後輪を駆動するオーソドックスなクルマ造りだった。こうした中でチーフエンジニアのダンテ・ジアコーザは、1936年に登場したフロントエンジンのフィアット500トッポリーノの後継モデルとして、スペース効率に優れる新たな小型車の開発を進めていた。

1955年のジュネーブ・ショーで発表されたフィアット600ベルリーナ(セダン)は、コンパクトな車体ながら大人4人が乗れる室内スペースを確保し、総合性能性を突き詰めた結果、リアエンジンでモノコックボディ、4輪独立懸架という革新的なパッケージングが初めて採用された。

全長3215mm、全幅1380mm、全高1405mmのコンパクトなボディは、現代の軽自動車よりもひとまわり小さいが、大人4人が乗れる室内スペースを確保していた。

エンジンはOHV水冷直列4気筒で、633ccの排気量から22馬力を発揮。車重は585kgと軽量で最高速度は95km/hをマークした。フロントサスペンションは横置きリーフスプリングをロワアームとするダブルウィッシュボーン式、リアはキャンバー変化の少ないセミトレーリング式を採用し、優れた走行安定性を備えていた。

1960年に排気量を767ccに拡大して29馬力に向上、最高速度110km/hをマークするフィアット600Dに進化する。1964年に前開きだったドアは一般的な前ヒンジ式に変わる。

イタリア庶民のニーズにマッチしたフィアット600は、生産が終了する1969年までに267万台余が生産され、フィアットを代表するベストセラーモデルとなった。

世界初の小型マルチピープルビークル、ムルティプラ

フィアットは600ベルリーナに続いて、ファミリアーレ(ステーションワゴン)の600ムルティプラを用意。1956年のブリュッセル・ショーで発表され、世界初の小型マルチピープルビークルとして注目を集めた。

2列シート4/5人乗りと、3列シート6人乗りの2タイプが用意された。2列目シートはフロア部分に格納でき、フラットな荷室を実現。最大積載量は350kgを確保していた。

ルーフをフロントまで延長した愛らしいデザインの4ドアワンボックスタイルで、広い室内スペースを獲得。ベルリーナ比で全長は320mm長い3535mmとなり、全幅は70mm広い1450mm、全高は室内スペースを確保するため 175mm高い1580mmとされ、ホイールベースは2000mmで変わらない。

パワートレインは600ベルリーナと共用で、633ccの排気量から22馬力を発揮した。車両重量は大型化したボディのため700kgと重くなり、最高速度は90km/hに留まる。

600ムルティプラの価格は4/5人乗りが73万リラ(当時の為替レートで約42万5000円)、6人乗りが74.5万リラで、600ベルリーナは59.5万リラだった。こうして600ムルティプラは好評を持って受け入れられ、イタリアではタクシーとしても使用されるほどだった。

1960年になると排気量を767ccに拡大し29馬力にパワーアップした600Dムルティプラに進化。そのまま1969年まで生産され、約24万台が送り出された。

アバルトとフィアット600

アバルト社創始者のカルロ・アバルトは、フィアット600が備える潜在的なポテンシャルの高さを見抜き、すぐさまチューニングキットを開発する。まず「アバルト750デリヴァツィオーネ」と名付けられた600ベルリーナ用のフルキットを1956年に発売する。

その内容はアバルトがレースで培った技術が投入され、排気量を747ccに拡大し、鍛造製クランクシャフト、カムシャフト、ピストン、バルブ、バルブスプリングからオイルサンプまで新たに作られた。

専用のマニフォールドにウェーバー32IMPEキャブレターと、新設計のエグゾーストシステムを組み、フィアット600の2倍近い42馬力を発揮し、最高速度は130km/hに達した。発売されると大きな人気を集め、アバルトの名を知らしめた。

続いてアバルト初の量産2座GTとなる750GTザガートが1956年に登場する。

フィアット600の鋼板プレスフレームとサスペンション、750デリヴァツィオーネのパワートレインを基に、カロッツェリア・ザガートが軽量なアルミ製ボディを架装。ヘッドスペースを確保するためルーフを膨らませたためダブルバブルと呼ばれた。

750GTザガートのパフォーマンスを見抜いたコンペティター達はすぐさま参戦を開始し、デビュー直後に開かれた1956年のミッレ・ミリアではGT750ccクラスで2位を獲得。1957年のミッレ・ミリアではGT750ccクラスの1位から12位までを占めるなど、数多くの勝利を重ねレースの世界でもアバルトの名を確立させた。

以来フィアット600をベースとする850TCから、1000TC、究極のツーリングカーである1000TCRへと進化する。GTモデルは、ビアルベーロ(DOHC)エンジンを搭載するレコルトモンツァから1000ビアルベーロへと発展し、小排気量クラスの王者として君臨した。

新たな時代のセイチェント

1990年代にフィアットのAセグメントを担当したのが前輪駆動のチンクエチェントだった。その後継モデルとして1998年に登場したのが、2代目となるセイチェントである。初代と異なり、600を意味するイタリア語の「セイチェント」が車名とされた。

初代600の誕生から50周年となる2005年には、車名は初代をリスペクトして数字で表現する「600」に変更されている。

ボディはチンクエチェントと同様に3ドアハッチバックで、OHV直列4気筒899cc/39馬力、あるいはSOHC直列4気筒1108cc/54馬力のエンジンがフロントに搭載され前輪を駆動する。

ボディサイズは全長3337mm、全幅1508mm、全高1420mmとチンクエチェントより僅かに大きくなり、丸みを帯びたスタイリングとなった。

バリエーションとして外装をスポーティに仕立てた、スポルティング・アバルトが存在する。単なるコスメチューンモデルで、エンジンに変更はなかった。

一方で若手ラリードライバーを育成するためのチンクエチェント・トロフェオを受け継ぐ、セイチェント・トロフェオが1998年に送り出される。こちらはアバルトの血筋を受け継ぐフィアット・アウト・コルセで製作された。

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