もくじ
ー フェラーリ488 ピスタ
ー ヒュンダイ・ネクソ
ー メルセデス-AMG CLS 53
ー スズキ・ジムニー
ー トヨタ・カローラ
ー キア e-Niro
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フェラーリ488 ピスタ
ワールドクラスのフェラーリ製ミッドエンジンスーパーカーほど革新的な存在もないが、それでも、488ピスタは別格の存在と言える。
488ピスタが積むV8は、実質的にサーキット専用モデルである488チャレンジ譲りのエンジンであり、わずか3.9ℓから720psを発揮することを考えれば、例え酷いターボラグがあったとしても、致し方ないと思うだろう。
だが、ライバルたちが積む高圧縮ターボのような、過給の遅れを488ピスタで感じることはなく、例えターボラグがあったとしても、ほとんど感知できないほどのものでしかない。そして、ターボ過給が始まると、このクルマはさらなる驚きをもたらす。
このクルマのシャシーは、特別なフェラーリに期待するとおりのドライバーとの繋がりを感じさせる。その乗り心地は、グランドツアラーを名乗っても不思議ではないほど、しなやかなものであり、ステアリングはクイックだが、決して過敏ではなく、ボディの動きも抑え込まれてはいるものの、決して不快なほど硬いわけではない。
ギアシフトは滑らかでクイックな操作が可能だが、ダウンシフトは十分に刺激的で、そのドライビングポジションは、タイトでありながら、ここで丸一日を過ごせるほどの快適さも備えている。
つまり、このクルマには通常考えられない、ふたつの相反するキャラクターが備わっているのだ。
そして、忘れてならないのは、やはりそのハンドリングだろう。フェラーリでは通常、スペシャルなモデルには、ハイグリップタイヤを採用しており、それはこのピスタも例外ではない。だが、例えそんなハイグリップタイヤを履いていなかったとしても、このクルマ独特のバランスと、コーナリング性能を味わうことはできる。
ある特定のドライビングのために作り出されたモデルというものが存在する。ピスタにとっては、サーキットのすべてのコーナーが真っ白なキャンバスであり、ドライバーはそこに思い通りの絵を描けばいいのだ。
コーナーをゆったりと流すような走りがお好みなら、そうした走りを楽しむことが出来る一方、極限のグリップで、シャシーを徹底的に追い込むようなドライビングを試しても、このクルマの電子制御システムは、ABSやトラクションコントロール、スタビリティーコントロール、ステアリング、電子制御式リミテッドスリップディフェレンシャルを見事に制御して、決してドライバーを飽きさせることはない。
さらに、すべての電子制御の介入をカットすれば、アンダーステアでも、ニュートラルステアでも、カウンターステアを当てるような走りでも、ドライバーのお好み次第であり、ピスタはどんな走りも許容してくれる。
458スペチアーレは、特別なミッドエンジンフェラーリに新たな基準を創り出した。だが、トップエンドでの迫力は失ったものの、488ピスタのターボエンジンは、驚異的なレスポンスで、どんな回転域からでも十分なトルクを発生させる。
このトルク特性のお陰で、488ピスタを、まるでトヨタGT86(日本名:86)のように簡単に、自由自在に操ることが出来るが、さらにこのクルマのドライビングは刺激にも溢れている。
フェラーリが素晴らしくても当然だと思うかも知れないが、ピスタのようなモデルは他に存在しないからこそ、ゲームチェンジャーと呼ぶに相応しい。
ヒュンダイ・ネクソ
なぜ、ネクソがゲームチェンジャーなんだろう? それは、テスラのモデルSがバッテリー式EVとして世界を変えたように、このクルマは、水素燃料電池で世界を変えるかも知れないからだ。つまり、このクルマの登場によって、水素燃料電池はより魅力ある、そして、より実用的な存在になるということだ。
ヒュンダイからはこれまでにも水素燃料電池モデルが登場しているが、ix35 FCEVはネクソの単なる予行演習に過ぎず、そのベースは既存のモデルだった。さらに、リース販売のみで、ごく少数が限られた市場に投入されただけであり、そのすべてが左ハンドル仕様だった。なによりも、その中味は最先端だったかも知れないが、品質は決して褒められたものではなかった。
だが、ネクソは先行モデルとは違う、より説得力のある、洗練されたゼロエミッションモデルであり、電源プラグを接続して数十分も掛かるような充電作業も必要もない。わずか5分もあれば、666kmに達する航続距離を確保することが可能であるとともに、右ハンドル仕様も用意されており、その革新的なパワートレインがキャビンスペースを犠牲にすることのない、専用プラットフォームが与えられている。
高度な自動運転機能が搭載され、ブラインドスポットモニターによって、周囲の映像をセントラルディスプレーに映し出すことで、安全性も向上しており、ネクソは、この種のクルマとしては、初めてユーロNCAPで最高の5つ星を獲得したモデルでもある。
このクルマの狙いはシンプルなものだ。つまり、ネクソとは、もっとも豊かで、もっとも革新的な既存の自動車メーカーのひとつが、先進のフラッグシップモデルとなるべく産み出した、真のファミリーカーであり、車両価格6万ポンド(831万円)以上、1回あたりの水素充填コストはおよそ70ポンド(9700円)と、決して手に入れやすいモデルではないが、ヒュンダイが目指すグリーンなモデルのパイオニアとして、このクルマに乗れば、革新的なフィールを味わうことができる。
ヒュンダイとキアで燃料電池車開発のトップを務めるキム博士は、昨年「実際に販売可能な水素燃料電池車を製造できる段階にまで研究が進んだというのは、驚くべきことです。ほんの数年前、そんなことはわたしが生きているうちには実現できないだろうと考えていましたが、すでにそのレベルにまで到達することができたのです」と語っている。
すでにヒュンダイでは、さらなる水素時代に向け、アライアンスの構築にも着手しており、コストを削減することで、バッテリー式EVのライバルたちに対抗すべく、燃料電池技術の開発において、アウディとの協業も始まる予定だ。
間違いなく他社も追従するはずであり、そうなれば、ネクソのようなモデルが続々と登場することになるのかも知れない。
メルセデス-AMG CLS 53
例えメルセデス-AMGのような会社であっても、自らのやり方を変えなければならない時がある。
それでも、V8に替わる、魅力的な直列6気筒ハイブリッドエンジンが開発され、そのエンジンが、過去12カ月でテストしたなかでもっとも革新的なパフォーマンスモデルとして評価されるべき、現行メルセデス-AMG CLS53に積まれるなど、滅多にあるようなことではない。
ご記憶かも知れないが、数年前、メルセデス-AMGからは、V6ターボエンジンを積んで、43のモデル名を与えられた、パフォーマンスサルーンとクーペ、コンバーチブル、そしてエステートの一団がデビューしている。
その目的は、V8ほどのコストとハードコアなキャラクターを望まない顧客向けに、本物のAMGモデルを味わってもらうことにあり、確かに真のAMGではあったものの、その販売は、期待されたほどAMGの顧客層を広げることは出来ず、結局のところ、43とは、AMGが全力を傾けて創り出したモデルではなかった。
だが、CLS 53は違う。現代的なフィールと速さを併せ持つ、E63 Sワゴンのような優れたグランドツアラーとして、このクルマのすべてを真のパフォーマンスカーと呼ぶことができる。
通常の大径タービンと、電動小型ターボのふたつを備えた直列6気筒エンジンは、どの回転域からでも十分なトルクを発生させ、さらに低回転域では、電気モーターからの25.4kg-mのトルクがプラスされることで、CLS 53は素晴らしい力強さを発揮し、どこからでも、ドライバーの求めに見事なスロットルレスポンスで応えてくれる。
このクルマのエンジンを高回転域まで引っ張れば、大排気量モデルから乗り換えたドライバーも満足させる、まるで剃刀のように切れ味鋭い、本物の素晴らしいサウンドを楽しむことができる。
さらに、路上におけるパフォーマンスも十分なものであり、スムースなギアシフトを伴うこのクルマの48km/hから113km/hへの加速タイムは、2011年にテストしたV8のCLS 63 Sに遅れること、わずか0.1秒というものだった。
ハイブリッドの採用は、AMGにとって決して簡単な決断ではなかったに違いない。数年前であればAMGトップのだれもが、こうした技術について、すでにかなりの期間、真剣に議論してきたと答えただろうが、ハイブリッド化とは、長きにわたってAMGを象徴してきた、強烈で刺激的なV8の魅力を損なうリスクを伴うものでもあった。
確かに、CLS 53には、V8モデルほどの威厳や速さはないかも知れないが、それも、その見事なレスポンスとリラックスできる落ち着いたハンドリング、ドライバーアピール、さらには素晴らしい長距離ツアラーとしての資質が十分に埋め合わせており、さらに、ショールームで肩を並べるV8サルーンを引き立たせる役割も完ぺきにこなしている。
CLS 53とは、少し目新しく、少し違ったモデルであり、それがこのクルマの魅力なのだ。
スズキ・ジムニー
クルマがますます複雑になり、最小限の重量増で、数々の機能を詰め込まなければならなくなっているいま、スズキ・ジムニーは一服の清涼剤ともいえる存在だろう。
オフロード性能に特化したモデルとして、ラダーフレームにタフな四輪駆動システムを組み合わせ、フロント/リアにリジッドアクスル式サスペンションを採用したジムニーは、驚異的なグランドクリアランスと、アプローチ/デパーチャーアングルに加え、ローレシオのギアボックスまで備えており、その重量は1100kgをわずかに超える程度に留まっている。
ある意味、非常にオールドファッションなモデルでもあり、伝統的な手法で創り出されたクルマだが、それこそが、最高のゲームチェンジャーと呼べる理由でもあり、スズキは、この業界全体を巻き込んだトレンドに抗って、ジムニーが持つ精神性を大きく変えることを拒んでいるのだ。だが、真に驚くべきは、この新型ジムニーへの周囲の熱狂ぶりであり、非常に多くのバックオーダーを抱えたスズキでは、なんとか顧客の要望に応えようと、いま全力で対応を進めている。
新型ジムニーを選んだすべてのひとが、このクルマがそのオフロード性能を発揮する荒野に住むわけではない。だが、それなりのオフロード性能を誇るモデルが数多く存在するなか、正直言って、低いオンロード性能にもかかわらず、多くのひとびとがジムニーを選ぶのは、このクルマに特別な何かが備わっているからであり、魅力的なスタイリングと驚異的なコンパクトさ、さらには、そのバーゲンプライスとも言える価格に、圧倒的な価値を見出しているからに他ならない。
トヨタ・カローラ
欧州からカローラの名が失われて13年、トヨタのマーケティング部隊の大胆な方針転換によって、その名がふたたびこの地へと戻ってきた。この13年間、控えめな存在であり続けたオーリスが、トヨタ製Cセグメントモデルの座を担っていたのであり、市場にインパクトを与えるには、この歴史あるカローラの名を持つニューモデルの登場は必然だったのかも知れない。
初期プロトタイプと量産モデルの双方を、英国と海外でテストした結果、英国版Autocarでは、非常に競争の厳しいファミリーハッチバック市場において、この新型カローラには、既存の秩序を覆すだけの十分な実力が備わっていると評価している。
高い燃費性能を誇る熟成のハイブリッドパワートレインは、オーリス時代も高く評価されていたが、シャープなスタイリングと、さらに驚くべき優れたハンドリングが、このカローラをある意味、特別なモデルにしているのであり、ニュートラルなバランスと優れたコントロール性、そして、正確で見事な重みを持つステアリングを備えた、ダービシャーで製造されるカローラは、運転が楽しいモデルでもある。
実際、ドライビングを楽しみたいというひとびとにとって、このセグメントでは、フォード・フィエスタを除けば、カローラこそが選ぶべきモデルと言えるだろう。
さらに、この新型カローラには、クラスベストの乗り心地とキャビンの仕上がり、環境性能とアクティブセーフティー技術まで備わっており、まさにゲームチェンジャーと呼ぶべき存在だ。
キア e-Niro
昨年のAUTOCARアワードでも、キアのモデルはゲームチェンジャーに選ばれているが、それはまったくタイプの異なるクルマだった。トップグレードのGT-Sであれば、370psのパワーとリア駆動、そしてツインターボエンジンが手に入るスティンガーは、今年の受賞モデルとは、これ以上ないくらい対照的な存在と言えるだろう。
キアe-Niroのフロントには、素晴らしい出来栄えのV6エンジンなど積まれておらず、実のところ、このクルマのどこにも一般的な内燃機関など存在していない。e-Niroはキア初の専用EVであり、このクルマのプラットフォームは、最初から電動、プラグイン、そしてハイブリッドパワートレイン専用に創り出されたものだ。
もちろん、すでにEVなどありふれた存在であり、e-Niroが2019年のゲームチェンジャーに選ばれたのは、このクルマがキア初の専用EV(ソウルEVは既存モデルをベースにしたモデルだった)だからというわけではない。このクルマがゲームチェンジャーに選ばれた理由は、EV市場全体に及ぼす、その破壊的な影響力にある。
e-Niroは3万5000ポンド(485万円)以下の価格を実現しつつ、64kWhのバッテリー容量を確保して、1回の充電で、悠々と230km程度の航続距離を可能にしているのだ。わずか数年前、これほどの航続距離を持つEVはテスラだけであり、その価格はこのクルマの2倍にも達していた。
つまり、e-Niroは、昨年のゲームチェンジャー・アワードを受賞した日産リーフが起こした、EVの民主化が進展したことを象徴するモデルであり、さらに、それをドラスティックに推し進めているのだ。2018年には、リーフの手ごろな価格と、274kmという実際の航続距離が評価されたのであり、e-Niroは航続距離をさらに97km延ばすことで、わずか12カ月で、どれほど技術が進歩したかを証明している。
だが、この航続距離と手ごろな価格という組み合わせだけが、e-Niroが2019年のゲームチェンジャーに選ばれた理由ではない。より重要なのは、キアの考え抜かれたパッケージによって、このクルマが路上での見事なマナーと実用性とを見事に両立しているということであり、ヒュンダイ・コナ・エレクトリックもおそらく同じようなパーツを使って、同じような航続距離と価格を実現しているにもかかわらず、そのキャビンスペースはe-Niroに劣り、落ち着きやグリップ、安定性といった点で、その乗り心地とハンドリングもe-Niroのレベルには達していない。
2019年、電動化を阻む理由は急速に力を失っているようだ。e-Niroの一時的な売り切れが示しているのは、多くのひとびとも同じように感じているということかも知れない。
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