夏が似合うちょっと古いコンパクトカー3選！

2023.07.25 21:30 掲載 21

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連日猛暑は続くが、そんな暑さを“楽しい気分”で乗り越えられるようなコンパクトカーを独断と偏見でチョイスした！

快適じゃなくてもOK！

連日暑さが続く今、最新のクルマに乗っての移動は超快適だ。たとえ軽自動車でもエアコン搭載はあたりまえで、冷房を最強にしたところで大幅なパワーダウンもない。

ところが1980年代までのクルマは、多くがエアコン非搭載ないしはオプション。しかもコンパクトカーの場合、エアコンをオンにすると大幅にパワーダウンするケースも。高速道路の登坂路ではみるみる速度が落ちるので、あえてエアコンをオフにするほどだった。

にもかかわらず、夏がよく似合うコンパクトカーがあったのだから面白い。メーカーが意図的に夏が似合うよう、広告を仕掛けたモデルもあった。

そこで、夏にぴったりなちょっと懐かしいコンパクトカーを振り返る。

決して快適な移動手段とはならないかもしれないが、現代のクルマにはない個性を楽しもう！

マツダ・ファミリア（5代目）1980年に登場した5代目ファミリアは、それまでの後輪駆動から前輪駆動に改められた。欧州車を彷彿とさせるクリーンなエクステリアやターボエンジンといった新機構の採用などもあって大ヒット。国産乗用車の月間販売台数で、何回か首位を記録した。

なかでも人気を集めたのが赤いボディカラーのモデル。これにサーフボードをルーフキャリアにボルトで固定させたスタイルがなぜか流行した。サーフィンを実際にするわけではない彼らは、「陸（おか）サーファー」と呼ばれ、流行語にもなった。

なぜ赤いファミリアが陸サーファー御用達になったのか明確な理由は不明だ。そういえばテレビCMでは、俳優の北大路欣也が、夏の海でヨットに乗るシーンもあったりした。5代目ファミリアは“夏が似合うクルマ”というメーカーのイメージづくりが功を奏し、陸サーファーから人気を集めたのかもしれない。

もはや街中で見かける機会が滅多にない5代目ファミリアだけに、今あえて中古車を購入し、サーフボードを載せて走るのもいい。

ホンダ・シティ・カブリオレ（初代）「脱いで、パラダイス」というキャッチコピーを掲げ、1984年に登場した初代シティ・カブリオレ。ほかにも「太陽　標準装備」といったコピーもあった。カタログにはプールの写真や椰子の木のイラストが使われるなど、トロピカルな雰囲気をセリング・ポイントにしていた。

12色用意されたボディカラーには、「マイアミブルー」や「ガルイエロー」といったいかにもリゾート地に似合いそうなビビッドなカラーも用意。夏にぴったりなオープンカーだった。

中古車サイトを調べると7月23日時点で、全国に17台の在庫があった。今、シティ・カブリオレを買って夏を楽しめるのはラストチャンスかも。ちなみに当時、“国産唯一のファッショナブルなフルオープンカー”と、リリースで謳っていたが、結局、追従するモデルはほとんどなかっただけに、シティ・カブリオレのようなコンパクトな和製オープンカーは超希少だ。

もっとも、1.2リッター・67psと現代の交通事情で考えると非力なエンジンに、低性能のエアコンという組み合わせだから、オープン時の暑さは覚悟しなければならない。熱中症には要注意！

ルノー4ルノー4（キャトル）は1961年に登場した、フランス生まれのコンパクトハッチバック。1992年までつくられた長寿モデルで、大衆車として人気を博した。もっとも実用性重視のクルマだけに、前出のシティ・カブリオレのような強い個性はない。

なぜ日本では、夏を彷彿とさせるクルマか？それはドラマの影響だ。1997年に放送された『ビーチボーイズ』（フジテレビ系）で、主役のひとりである反町隆史が演じた桜井広海の愛車だった。

ドラマ内の4は、桜井自身がいつもガソリンを少なく入れるため頻繁にガス欠。都度、もうひとりの主役だった竹野内豊演じる鈴木海都と共に4を押していた。本シーンなどが視聴者の心を掴んだようで、一部の若者が4の中古車を購入。一時、タマ不足になったというからスゴい。

『ビーチボーイズ』の設定季節が夏だったのもあって、“夏ドラマ”のイメージが強く、ゆえに4も“夏のクルマ”というイメージを持つ人が少なからずいるようだ。

もっともエアコンは搭載していないし、超非力なエンジンだから、現代日本の真夏に乗るのはかなり辛い（1997年の時点でも辛かったはず）。もし路上で止まったとしたら、反町隆史＆竹野内豊のように4を押さなくてはならいかも。そのときは、頭の中でドラマの主題歌「Forever」（反町隆史 with Richie Sambora）が流れること間違いナシ！

文と編集・稲垣邦康（GQ）