2018年6月にデビューするやいなや翌月には販売十傑入り、あわせて目標の約7倍にあたる3万台のバックオーダーを抱えるほどのスタートダッシュをキメた現行22系クラウン。よくこの受注台数を指して「展示車・試乗車に充てられる瞬間風速」と分析する向きもいるようですが、クラウンを扱うトヨタ店の新車販売拠点数は約1000店舗。それよりもはるかに多い受注台数はクラウンを愛する既納客のパワーといっていいでしょう。基本ボディを一新、そして慣れ親しんだ「アスリート」「ロイヤル」という名称を捨ててまで挑んだ刷新がユーザーに受け入れられた格好です。
デビューから3ヵ月、その兆候は先代21系クラウンの中古車流通へもあらわれてきています。先代21系は6年間売られたこともあり、中古車市場にも豊富な台数が流通しています。グレード別の比率でいえば、スポーティなアスリート系が7割を超え、ロイヤル系は3割以下です。流通量は人気のバロメーターでもあり、相場もアスリートのほうが20万~50万円ほど高く値付けされています。趣味車ではないので日常でもガシガシ使われている使用環境から、初期モデルでは走行距離が10万km超えの車両も多いですが、例えば5年落ち・走行10万km超えの個体でも状態がよければ200万円を切ることは少ないという、なかなかに強気の相場が形成されています。
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「本革・マルチ・サンルーフ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは昔からトヨタのセダンの「三種の神器」と謳われ続けているワードです。本革シート、マルチビジョン(純正ナビ)、サンルーフが付いているクルマは下取りも高く人気もあるので中古車相場も高いということを示しているのですが、これももちろんクラウンにも当てはまります。
アスリートでは、本革シートが標準の「アスリートG」と、オプション設定となる「アスリートS」があるのですが、その価格差が80万円以上するため流通のほとんどはアスリートSになっているのですが、それでも本革シート装着車は、無し車よりも20万円ほど高い相場になっています。
そして、現行22系の好調を裏付ける特徴的な動きがあります。中古車は車種を問わず、初年度の流通量がもっとも多くなるのが常で、年式を経るほどに流通量は減ってくるものですが、それが先代21系の場合、2015年式の車両の流通量だけが突出しているのです。これは、初回車検を迎えた先代21系が、現行22系へと乗り換えるにあたって下取り(買取り)を経て中古車市場に流出したことのあらわれです。
さすがは歴史と伝統のクラウン。「車検が来たから」のルーティンをしっかり守って乗り換えてくれる優良なロイヤルカスタマーを抱えていることの証明ですね。また、リース契約によるフリート(法人)ユーザーの多いことの証明でもあります。
ちなみに、現行22系クラウンの販売について重きが置かれているのは、3.5L・V6と2.5ℓ直4のふたつのハイブリッドを揃えていることからもハイブリッド8割:ターボ2割、という比率だといわれています。2Lターボについては、先代21系ではアスリートしか選べませんでしたが現行22系ではロイヤル後継の「G」も選べるようになったにもかかわらず、目標はあくまで控えめに設定されているようです。
グレード別の販売目標は旧「アスリート」の後継である「RS」系が4割強、「G」系グレードが約2割の構成比となっているようですから、将来の中古車流通に関しても、おおむねこの比率で推移することでしょう。先代までのアスリートとロイヤルのように、両グレードのスタイリングに大きく差異がなくなった現行22系ですが、これまでどおりRS(アスリート)優位で相場が構築されていくのかにも注目です。
(写真はイメージ)
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