■1990年代に「車中泊」ブームを予見!? 純正キャンピングカー仕様も設定
2023年5月現在、国内の新車ラインナップに3列シート車を持たないスバルですが、過去には自社生産の3列シートモデルをリリースしていたこともありました。
そんなスバルの3列シート車のなかでも、最もコンパクトなボディを持つのが1983年に登場した「ドミンゴ」というモデルです。
【画像】軽みたいに小さいのに!? 魔法みたいな「ドミンゴ」の広い室内を写真で見る(63枚)
初代ドミンゴは、見た目からも分かるようにスバルの軽ワンボックスカーである「サンバー」(4代目サンバートライ)をベースとしたものです。
ボディサイズは全長3425mm×全幅1430mm×全高1900mm(4WD)と、全高以外は極端にコンパクトなものでした。
大型のバンパーやサイドモールの追加などで、ボディサイズこそ軽自動車枠よりも大きなものとなっていましたが、ボディシェルはサンバーと共通。
そのため室内空間は軽自動車サイズのままでしたが、スバルの巧みなシートレイアウトによって、7人が乗車することができる小型ワンボックスワゴンに仕上がっていました。
サンバーと同じくリアに搭載されるエンジンは1リッター直列3気筒で、最高出力は48馬力と現在の軽自動車並み。
ただ、ドミンゴにはスバルが得意とする4WDシステムが搭載されており(RRの2WD車もあり)、山岳部や降雪地帯に住むユーザーから支持を集めることになります。
さらに1986年6月にはワンボックスカーとしては日本初となるフルタイム4WDを採用したほか、エンジンの排気量を1.2リッターへ拡大し(2WD車は1リッターのまま)、動力性能を高めたのもポイント。
また、サンルーフ車のルーフサイドに明かり採りの窓を追加した「サンサンウインドウ」車を設定するなど、レジャーユースへの対応をしていたのも特徴といえるでしょう。
そんなドミンゴは、1994年には2代目へとフルモデルチェンジを果たしました。
2代目もサンバー(5代目サンバーディアス)をベースとした3列シートのワンボックスカーという基本は不変でした。
ボディサイズも全長3525mm×全幅1415mm×全高1995mm(4WD)で、初代とほぼ変わらないコンパクトさを維持しています。
しかし初代モデルには設定されなかったAT車(ECVT)やパワーステアリングを設定し、全車1.2リッターエンジンになるなど、着実に進化。
また高まりつつあったRVブームへの対応として、ポップアップルーフを備え、そこを就寝スペースとした車中泊仕様「アラジン」をメーカー純正キャンパーとして用意するなど、スバルの先見の明を垣間見ることができる仕様も用意されていました。
しかし、新たなベースとなった5代目サンバーが4気筒エンジンを搭載していたのに対し、ドミンゴは旧態依然とした3気筒エンジン(一応燃料供給装置はキャブレターからインジェクションに進化していましたが)であり、出力もサンバーのスーパーチャージャーモデルが55psであったのに対し、ドミンゴは61psとその差は縮まる一方。
さらに1994年には、現在のミニバンスタイルの祖ともいえるホンダ「オデッセイ」が登場するなど、各社から3列シートミニバンが続々と登場し、またたく間に市場を形成していきました。
そんななかで2代目ドミンゴは初代ほどの人気を獲得することはかなわず、1998年末に生産を終了することになりました。
結局、その後スバルの3列シート車は、2001年8月に登場した「トラヴィック」(ただしこちらはオペル「ザフィーラ」のOEM車)まで空席となります。
そして2008年から2018年まで販売されていた自社開発のミニバン「エクシーガ」(2015年にはSUVテイストを加えた「エクシーガ クロスオーバー7」に改名)が終売してからは、国内のスバルのラインナップから3列シート車は消えたままとなっています。
ただ日本国外では大型クロスオーバーSUVの「アセント」が3列シート車としてラインナップされており、日本へも並行輸入がなされているため、潜在的にスバルの3列シート車を求めるユーザーは決して少なくなさそう。
一時はドミンゴの名前が小型SUVとして復活するというウワサもありましたが(結局「レックス」の名前が復活)、小型3列シート車としてドミンゴの名前が復活する姿を見てみたいところですね。
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