スーパーGT GT300／ 開幕戦、18号車UPGARAGE NSX GT3が予選18番手から見事な大逆転優勝を飾る

2023年4月16日、岡山県にある岡山国際サーキットで2023 AUTOBACS SUPER GT Round1　OKAYAMA GT 300km RACEの決勝が行われ、GT300クラスでは18号車UPGARAGE NSX GT3（小林崇志／小出峻）が予選18番手からの大逆転優勝をを果たした。2位に65号車LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥／篠原拓朗）、3位には244号車HACHI-ICHI GR Supra GT（佐藤公哉／三宅淳詞）が入った。（文：河村大志／写真提供：GTA）

荒れた天候を味方につけた18号車が開幕戦を制す
2023年シーズンも例年通り岡山国際サーキットで開幕を迎えた。天候が変わりやすく、クラッシュも多かった波乱のレース、GT300クラスを制したのは予選で下位に沈んでしまった18号車だった。

スタート、そして序盤に大きな波乱はなかったが、7周目から雨が降り始めると状況が一転した。15周目には雨が激しくなり豪雨が凄まじい勢いでサーキットをヘビーウェットな路面へと変えていく。6号車DOBOT Audi R8 LMSのコースオフ、11号車GAINER TANAX GT-Rがバックストレートでストップ。さらに360号車RUNUP RIVAUX GT-Rもピットロード出口でストップするなど荒れた展開となり、SC（セーフティカー）が導入された。

レースが再開されると路面は次第に乾いていき、レースが半分を消化する頃にはドライタイヤを履くチームのタイムが良く、これをみた上位勢もピットインしドライタイヤに履き替える。この隙にトップに立っていたのがすでにドライバー交代とドライタイヤへの交換を済ませていた18号車だった。

トップにたった18号車だったが、再び雨が降り始め、9号車PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMGと、88号車JLOC ランボルギーニ GT3の接触があり、再びSCが出動する。また、サーキット周辺で落雷が確認されたことから、自己処理にあたっているマーシャルの安全を確保するべく赤旗が掲示された。

その後レースが再開されるも天候悪化により再び赤旗が出され、レース最大延長時間の16時30分まであと10分に迫る。三たびSC先導によりレースは再スタートを切ったが、すぐさま赤旗となり順位が変わることなくレース終了が決定された。この時点でトップに立っていた18号車が優勝し、2位は65号車、3位には244号車が入っている。

記念すべき100戦目とデビュー戦での優勝
予選を18位で終えた18号車が天候を味方につけ大逆転優勝を決めた。決勝前日に行われた予選では強まる雨脚が影響しセッション途中で赤旗終了となり、18号車はタイムアタックの機会を不運によって失ってしまったのだ。

しかし決勝では雨が降り始めたタイミングでレインタイヤに交換、そしてコースが乾いたタイミングを逃すことなく、ドライバー交代とドライタイヤへの交換を済ませることに成功。一気にポジションを上げることができた。

後半を担当した小林は今回のレースでスーパーGT通算100戦目の節目のレースを迎えていた。予選では雨にチャンスを奪われてしまったが、雨がレースに絡んでくることを念頭に準備を行い、戦略を見事に成功させ、節目のレースを優勝という最高の結果で締めくくることができたのだ。

そして小林のチームメイトである小出も、このレースは特別な1戦として臨んでいた。ルーキーの小出はこのレースがスーパーGTのデビュー戦、晴れ舞台だったのだ。ルーキーでありながらスタートドライバーを担当した小出は順位をキープし、雨がらみの難しいレースを確実に周回し、きちんと先輩である小林にステアリングを託した。

FIA F4を制し、GT300クラスにステップアップした小出は、記念すべきデビュー戦で落ち着いたレース運びでデビューウィンを達成した。100戦目を迎えた小林とルーキー小出のパッケージは勢いをつけながらも決勝での強さを発揮。昨年王者に輝いた56号車も開幕戦を制しチャンピオンに輝いている。今年のチャンピオン争いは18号車を中心に展開されていくのかもしれない。

2023年スーパーGT開幕戦決勝　GT300結果（上位10台）
1位 18 UPGARAGE NSX GT3（小林崇志／小出峻）59周
2位 65 LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥／篠原拓朗）＋3.592s
3位 244 HACHI-ICHI GR Supra GT（佐藤公哉／三宅淳詞）＋15.613s
4位 27 Yogibo NSX GT3（岩澤優吾／伊東黎明）＋17.778s
5位 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT（吉田広樹／川合孝汰）＋23.343s
6位 7 Studie BMW M4（荒 聖治／ブルーノ・スペングラー）＋26.255s
7位 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3（松浦孝亮／坂口夏月）＋28.621s
8位 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT（吉本大樹／河野駿佑）＋34.888s
9位 4 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝／片岡龍也）＋36.143s
10位 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R（J.P.デ・オリベイラ／名取鉄平）＋17.778s

2023年スーパーGT GT300 ドライバーズランキング（開幕戦終了時点）
1位 18 UPGARAGE NSX GT3（小林崇志／小出峻）20
2位 65 LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥／篠原拓朗）16
3位 244 HACHI-ICHI GR Supra GT（佐藤公哉／三宅淳詞）11
4位 27 Yogibo NSX GT3（岩澤優吾／伊東黎明）8
5位 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT（吉田広樹／川合孝汰）6
6位 7 Studie BMW M4（荒 聖治／ブルーノ・スペングラー）5
7位 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3（松浦孝亮／坂口夏月）4
8位 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT（吉本大樹／河野駿佑）3
9位 4 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝／片岡龍也）2
10位 56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R（J.P.デ・オリベイラ／名取鉄平）1

[ アルバム : 2023年スーパーGT 開幕戦決勝　GT300 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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何だかんだと苦労人のイメージがある小林選手、久しぶりの優勝おめでとうございます。