2013年11月の発売を前に、マツダ アクセラ プロトタイプ試乗会が開かれた。CX-5、アテンザとスタイリッシュで走りのいいモデルを放ってきたマツダの最新作は、評判のいいゴルフVIIよりも「上」なのか? 自動車評論家 飯田裕子がステアリングを握った!(本稿は「ベストカー」2013年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:飯田裕子
ゴルフVIIよりも「上」? フルSKYACTIV搭載 マツダ3代目アクセラ 発売前試乗プレイバック【10年前の再録記事プレイバック】
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■フルSKYACTIV搭載の1.5L&2.0Lスポーツ(5ドアHB)に乗った!
瞬発力を感じさせる精悍なスタイルはアテンザとは違う魅力を放つ。Cd値は0.28(セダンは0.26)
3代目アクセラの登場を間近に控え、5ドアハッチバックのプロトタイプを試乗することができた。
新型アクセラは期待通りのデザインで登場したが、一方でその走りはVWゴルフをガチで意識した開発がされているのではないかという私の想像とはやや異なっていた。
しかし先代モデルのキビキビとした走りは楽しいが乗り心地に少々硬さを感じていた方には朗報をお届けできそうだ。
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■国産車にはない、上質で新鮮なコックピット空間
上下セパレートのインパネデザインが印象的。メーター周りはダブルウイングデザインで、HUD(ヘッドアップディスプレイ)が装着される点も新鮮だ
プレゼンで開発責任者が「ボディサイズの大小に関係なくマツダが持つ最新技術を惜しみなく投入する」と述べたとおり、ボディやシャシーそしてエンジンにマツダのスカイアクティブ技術を採用。
新開発の1.5Lエンジンの搭載や新世代hml(ヒューマン・マシン・インターフェイス)である新しいカーコネクティビティシステムの「マツダ コネクト」を新型アクセラから搭載する。
これは例えば運転中でもFacebookやTwitterなどが使えるという、今、世界中の自動車メーカーが開発&採用を進めているHMI技術だ。
「鼓動デザインの要素をCセグメントである新型アクセラに凝縮させた」というエクステリアにはアテンザの登場時に感じたダイナミックで色気すら漂う存在感抱くことができる。
インテリアは「まだ本番仕様ではない」というが、単眼メーターを採用する運転席はシンプルだが情報要素は充分。そして助手席に目線を移せばそこそこに奥行のあるダッシュボードと柔らかなラウンド感が開放感を抱かせ、スイッチ類の操作感からも上質な印象を与えてくれる。
運転席に座れば“最新ぶり”をテクノロジーやデザインから感じられるのは間違いない。
ニューモデルは全長4460mmと2代目と変わらないが、新型は全幅が1795mmと40mmも大きくなり、見た目も立派に見えるが、リアスタイルは欧州のCセグメントの強者にも負けないくらい存在感がある
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■新開発SKYACTIV-G 1.5Lエンジンがいい
今回試乗した2L(155ps)はGTIのような刺激的な走りが楽しめる。いっぽう1.5L(111ps)はパワフルと感じることはないが、6速MTによって意のままに操る楽しさがある。ある意味走りにこだわるマツダらしさを感じさせるモデルだ
では走りは進化しているのかといえば、アテンザなどと比べての変化を新しさととらえたい。
ドライビング性能の向上を追求し、そのこだわりは新設計のシートのホールド性にも表れている。
今回は2Lの6ATと6MT、そして1.5Lの6ATを試乗した。ちなみに新型アクセラは2Lに18インチタイヤ、1.5Lに16インチタイヤを標準採用する。
最初に乗った2Lの6ATは軽く滑らかに走り出し、路面の凹凸やザラつく路面の上でもその滑らかな乗り味は変わらない。コーナリングでは骨太な印象は薄く、ソコが私の想像と異なるものだったのだが、骨格のしっかり感を残しスマートな旋回をしてみせてくれた。
最高出力155ps、最大トルク20.0kgmを発揮するエンジンはキツイ勾配が続く箱根の上りでもトルク感は充分。
ただ、走行状況を読んでシフトプログラミングを変える6ATが登坂路で長く低めのギアに留まっていたこともあり、美声とは言えないエンジン音が耳に残る結果となった。
それに対し6MTは同じエンジンを搭載しているものの、太いトルクと新型アクセラの基本性能の高さを味わうには申し分のない走りが楽しめる。
欧州を意識したモデルだけに運転席のホールド性のよさはさすが。女性でもしっかりポジションが取れ、自由度もある
スポーティという言葉をあえて使わないのはキビキビ、キュンキュンと走るタイプではなく、ボディ全体を使って一体感のある走りを見せるアクセラは、ドライバーの意思や走らせ方によってドライブムードを変えることができると思ったからだ。
新開発1.5Lのエンジンスペックは最高出力111ps、最大トルク14.7kgm。スペックは2Lに遠く及ばないが、イキイキとした加速感と同じ登坂路を駆け上がる際にも走行を邪魔しないエンジン音によって軽快さはむしろ勝る。
ステアリングの操舵感は低速時からやや重くしっかりとしていて、走り込んでいくとそれがしっかり感とともに強まり、むしろ1.5Lのほうがエモーショナル度は高い。
幅広い走行を考慮してエンジンに余裕のある2Lを選ぶもよし、走る楽しさを優先させて1.5Lを選ぶもよしという具合に好みは分かれそうだ。
1.5Lで初めてSKYACTIV-Gが投入された。1.5Lエンジンは直噴化され、SKYACTIVの6AT&6MTとの組み合わせでダイレクト感のある走りが楽しめる。スペックはたいしたことがないが、実力は充分
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■欧州ではガチのライバルVWゴルフと比べると?
アテンザ同様i-ELOOPを2Lと2.2Lに採用。減速エネルギーの回生を蓄電器として搭載したキャパシタに貯め、電装品の発電に使うことで約10%の燃費向上を達成する
FFの5ドアハッチバックでこのサイズ感とくればベンチマークであるVWゴルフと比べたくなるが、骨太で軽快さを持つゴルフとは少し印象が違う。
が、走りだけではない全体の質感の高さはゴルフに近づいたと言えるだろう。スイッチ類の操作感などはむしろアクセラのほうが高いくらいだ。
今回は箱根のワインディングロードで試乗したが、街中で1.5L+6ATを走らせたなら、そうとう活発に走りそう。ちなみに開発スタッフが広島から高速道路を自走して持ち込んだ時の実用燃費は1.5L+6ATが20.6km/L、2L+6ATが19.7km/Lというからなかなかだ。
5ドアハッチのラゲッジは高さがもうひとつだが、奥行きがあって実用性が高そうだ。容量は350L(VDA)
最後に今回はガソリンエンジンを搭載したプロトタイプモデルのハンドルを握ることができたが、秋に発表発売が開始される時点では日本専用モデルとしてハイブリッドも同時に登場する予定だ。
CX-5以降、内燃機関のみを使って環境性能を高める『SKYACTIVE TECHNOLOGY』がマツダの技術力の高さや走りにこだわるマツダらしさを強めていたことは間違いなく、ハイブリッドモデルもマツダ哲学に基づいたモデルになるということで、味付けは他社のハイブリッドとはかなり変わっていそう。
アテンザ譲りのパワフルな2.2LディーゼルとともにZOOM ZOOMなハイブリッド、マツダの新たなチャレンジが楽しみだ。
セダンは全長で5ドアハッチバックよりも120mm大きいが、リアオーバーハングを切り詰めスポーティにまとまっている。アテンザ譲りのグッドプロポーションだ。このセダンにのみハイブリッドが設定される
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■2.0LSKYACTIVハイブリッド&2.2LSKYACTIVディーゼル情報
アクセラには2.2L DEと2L HVもある。
2.2Lディーゼルターボは最高出力175ps、最大トルク42.8kgmを発生する強力なもので、アテンザとスペックは共通。トランスミッションも6ATと6MTが選べ、ガソリン車をかもれるディーゼルとなるだろう。ディーゼルはスポーツだけの設定だ。
2.2L SKYACTIVディーゼルはアテンザと同スペックと強烈
気になるSKYACTIV-HYBRIDはセダンのみに設定され、システムはトヨタのTHS-IIを使うがエンジンはマツダの2Lミラーサイクルエンジンを使い、プリウスよりもパワフルで燃費は30.0km/L超とプリウスに匹敵というから楽しみだ。
2L採用でパワフルな走りのハイブリッドだという
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■ツイッターやフェイスブックもできるMAZDA CONNECTに注目
今回の目玉のひとつが、車内でネットワークサービスを楽しむためのコネクティビティシステムである「マツダコネクト」。
スマートフォンを使ってナビゲーションはもちろん、インターネットやフェイスブック、ツイッターなどが楽しめる。操作はセンターコンソールにあるロータリースイッチで行なう。
ロータリースイッチ
マツダはドライビングを楽しむために、運転に集中できるよう計器類やスイッチの機能性向上を高めているが、アクセラはそれを具現化している。
7インチディスプレイ
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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