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来ました自動車税の季節。日本の重課税(13年/18年)と欧米のクラシックカー優遇を比べてみると……〈多事走論〉from Nom

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来ました自動車税の季節。日本の重課税(13年/18年)と欧米のクラシックカー優遇を比べてみると……〈多事走論〉from Nom

日本にもヴィンテージカー減税はあるものの……

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すでに多くの読者のお手元に納税通知書が来ていることと思います。毎年、気が重くなるお知らせですが、日本では製造から13年、または18年を経過すると税金が高くなることをご存じでしょうか。サステナビリティが叫ばれる昨今ですが、2009年に作られた現代的なバイクがもう旧車扱いとは……。

●文: Nom(埜邑博道)●取材協力:中村恭一

製造から13年、さらに18年経過すると税金が高くなると知っていますか?

毎年4月の末か5月の初めに届くのが自動車税の納税通知書です。

―― 毎年やってくる「不幸の手紙」が自動車/軽自動車税の納税通知書。ちょっと古めのクルマにお乗りの方は、今年から重課税をされているかもしれません。

バイクは市区町村、クルマは都道府県と納付先は異なりますが、毎年4月1日時点のバイク、クルマの所有者にあまりうれしくない納税通知書が送られてくることになっています。

ここのところ、にわかに旧車ブームが再燃していますが、13年前のバイクなんてついこの間、発売されたもののような気がして、ホンダのサイトでいまから13年前の2009年に発売されたバイク(重課税の対象となる251cc以上のバイク)を検索してみました。

列挙すると、電子制御式コンバインドABSブレーキを装備したCBR1000RR、CBR600RR、シルバーウイングGT(400/600)、DN-01、VT1300CX、シャドウファントム(750)、CB1300ST/SF/SUPER BOLD’ORでした。

さらに2008年までさかのぼると、シャドウ(750)、シャドウ・スペシャルエディション(400)、ビルトインタイプのナビゲーションを採用したゴールドウイングなども入ってきました。

さらに18年経過の2004年までさかのぼると、CB750やCBR1000RR(SC57)、VFRなどがありました。

確かに、古いと言えば古いバイクではありますが、CB1300ST/SF/SUPER BOLD’ORなどは人気モデルだっただけに一定数の車両がまだまだ現役のように思えますし、CB750は人気モデルとあって100万円を超す価格が付いた中古車もあるようです。

そういうバイクに乗る人や、欲しいと思う人は、そのものだけが持つその時代特有の価値観や風情に魅かれて、言ってみれば新しいからいい、ではない価値観を持っているのだと思います。

古いものだからと手放しで礼賛するつもりはありませんが、バイクでもクルマでも旧車に魅かれる人が一定数いるということは、やはりバイク文化/自動車文化の大事な遺産として、そういう古いバイク/クルマをとらえている側面があるのだと思います。

バイク/クルマが基幹産業の日本ですから、巷間、名車とうたわれる車両はたくさんありますが、その大半以上は初年度登録から13年/18年以上経過したモデルがほとんどで、まるで「そんな古いバイク/クルマに乗っていないで、新しいものに乗換えなさい」と言わんばかりの仕打ちにあっているのです。

そこにはSDGsなんていう観点はみじんもないように感じてしまいます。

もちろん、CO2の排出量削減や、さらに進んだカーボンニュートラルへの取組が地球規模で進む中、環境性能に優れているとは言えない古いバイク/クルマはその流れに逆行しているかもしれませんが、この13年/18年経過による重課税には寂しい気持ちを感じざるを得ないのです。

―― バイクの場合、自動車税の13年/18年の重課税はないが、車検毎の重量税は13年/18年で重課税される。

欧米では一定年数が経過したクラシックカーには税金の優遇処置がある

なぜそういう気持ちになるかと言うと、自動車先進国の欧米では、一定年数以上経過したバイクやクルマには、適用される条件などがあるにしても自動車税の優遇処置が用意されているからです。

いつも感じてしまう、彼我の差がここにもあるのです。

イギリスに長年在住しているジャーナリストの中村恭一さんに、イギリスの自動車税について聞いたところ、以下の回答が返ってきました。

「まず簡単にイギリスのバイク/クルマにかかる税金を説明すると、ヴィークルタックスという日本の自動車税に当たるもののみで、重量税はありません。バイクの場合は単純に排気量だけが基準で、150cc以下=22ポンド、~400cc=47ポンド、~600cc=73ポンド、601cc~=101ポンドです(1ポンド=165円)。クルマはCO2の排出量で税金が決まります。なので、EVはタダです。

―― イギリスの税制だと、たとえば1981年11月17日発売のホンダ・CBX400は現在対象車となる。先日、500万円したというCBXの族仕様車が盗難されたというニュースがあったが、こちらは文化的価値とはまた違った価値観という感じだ。

そして、ヴィークルタックスには免除の対象があって、製造されてから40年以上経ったバイク/クルマが対象になり、手続きをすれば税金が免除になります。いまでいえば、1982年1月1日までに製造された車両が対象です。

それにしても、初年度登録からたった13年とか18年を『古い』と考える日本はヘンです。

たとえば、ボクの1964年型モリスマイナーを日本に持って帰って登録(初年度登録になる)したら、13年後まで重課税がかからないのでしょうか」

イギリスと同様に、国によって条件などが異なりますが、ヒストリックカーに対する自動車税の減免処置が存在しています。

ドイツとフランスでは、製造から30年以上経過したクルマは歴史的に重要なクルマであるクラシックカーと認定されて、自動車税が減免されます。

また、イタリアでは製造から20年以上経過した車両は自動車税が減免され、30年以上経過すると税金が免除されるそうです。これは、かつて製造から20年以上経過したクルマが大量に海外に流出したことから、イタリアの旧車文化を守るためにイタリア政府が実施したとのこと。明確に、古いクルマを文化遺産とみなしていることが分かります。

また、これらのクルマは日常的に乗るものではないとの考えから、大気汚染対策のために一般のクルマが通行禁止になっているトリノ市やフィレンツェ市でも通行禁止から除外されているそうです。

また、アメリカは州ごとに異なるようですが、おおむね製造から25年以上経過したクルマには税金の減免処置があるようです。

バイクに関しても、上記のドイツ、フランス、イタリアではクルマと同じ条件でバイクもクラシックカーとして税金の減免処置があり、通行禁止からも除外されるとのことです。

オランダも、イギリスと同様の規定があるそうです。

欧米では、クルマもバイクも同じ乗り物として分け隔てなく扱うのが前提なので、クルマに適用されるものはおのずとバイクにも適用されるのですね。

このあたりも彼我の差を感じて、いつも悲しくなるところです……。

そういう意見があることは承知しているが、議論の対象になったことはないそうだ

今回、自動車税と重量税について正確なところを知りたくて、総務省、経産省、財務省などに電話取材しましたが、やはり基本的な考え方はより燃費がよくて、CO2の排出量が少ないエコカーへの買い替えを促したいという意向を持っていることが強く感じられました。

また、2019年10月1日から10%に引き上げられた消費税の施行と同時に、自動車税も昭和25(1950)年以来、初めて金額が引き下げられましたが、これも対象となる車両は2019年10月以降に登録した新車に限られています。本題とは関係ありませんが、この減税はバイクには行われなかったのを記憶している方も多いのではないでしょうか。

さらに、消費税導入と同時に自動車取得税が廃止され、代わりに環境性能割という燃費性能等に応じて、自家用の車の場合、新車・中古車にかかわらず0~3%の税率が加算されることになり、これも新車優遇制度のひとつといえるでしょう。

総務省、経産省、財務省に取材した際に、欧米では製造から一定年数経ったバイク/クルマへの減税処置があることは承知しているか聞いてみましたが、承知はしているし、そういう要望があるのも事実だが、議論をするまでには至っていない、という回答でした。

前述したように、地球規模でCO2を削減して、将来的にはカーボンニュートラルを目指す方向に舵が切られたいま、古いけれど存在意義や価値のあるバイク/クルマがどうやって生き残っていくのかは正直、とても不透明ですが、文化としてそういうものを大切にする土壌がある欧米と日本では大きく答えが変わってくるような気がしてなりません。

そういえば、東京都には1945年までに製造されたクルマを対象にしたヴィンテージカーに対する減税処置が条例として定められていますが、減税額は重課税分の15%というわずかなもので、古い車だから展示などがメインで運転はされない=環境に悪影響は与えないだろうからという考えが前提とのこと。置物扱いなんですね。やれやれ。

◆13年前(2009年)といえば……

―― 当時としては画期的だった電子制御のABSを採用した2009年2月17日発売のホンダ・CBR1000RR。本格的な電子制御によるライダーエイド搭載車として歴史的な価値があるバイクだ。

―― カワサキ・ZXR1200DAEGも非常に人気の高かったバイクの1台。オーバーリッターバイクなのに、非常にコンパクトで扱いやすい車体構成がセールスポイントだった。現在は、こういうコンセプトのバイクはとても少ない。(2009年2月1日発売)

◆18年前(2004年)といえば……

―― ユニットプロリンクサスやセンターアップマフラーなど、MotoGPマシン・RC211V譲りのメカニズムを多数採用したCBR600RR(2003年11月15日発売)。女性ライダーを含む幅広い層に支持された名車だ。

―― いまや300万円を超す中古車価格まで付いてしまうほどの人気を博しているカワサキ・ZEPHYR750(2007年3月15日発売)。重課税されたからと言って手放す方はいないと思うが、国に冷たくあしらわれているようでなんだか悔しい。

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みんなのコメント

66件
  • 日本には「年貢」の文化しか無い
  • 記事の通り、他の先進国に比べ日本の旧車重課税と維持の難しさは異常なぐらいだね。それも旧車に限った話でもなく自動車関連税やガソリン燃料代に厳しい車検費用、高速料金と日本のユーザーの高負担も群を抜いている。政府や政策に影響力大のトヨタをはじめとする業界がそう仕向けてきた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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