盛り上がりを見せたロサンゼルス
11月18日に開幕したロサンゼルス・オートショー(LAショー)は、まるで古き良き時代のモーターショーのような雰囲気を感じることがあった。例えば、今回のショーで最大の呼び物である新型ポルシェ911ダカールに近寄って、きれいな写真を撮ろうとしているときだ。
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ポルシェのブースは一日中賑わっており、観衆はオフロード志向の911という「意外」な新型車に見とれていた。長い歴史を持つ911は、あらゆるニッチな分野に足を踏み入れてきたものと思っていたが、そうではなかったようだ。ありそうでなかった911ダカール、大歓迎だ。ありがとう、ポルシェ。
最近のモーターショーの傾向からすると、以前よりも小規模になっているのは間違いないし、業界のVIPもほとんど登壇しなかったけれど、新型車の出展台数は先日のパリ・モーターショーよりも多かった。
ロサンゼルスに足を運んだVIPの1人、フォルクスワーゲン幹部のトーマス・シェーファーを見つけたので、話を聞いてみる。モーターショーの将来について尋ねると、彼は、世間はモーターショーから離れつつあるという一般的な意見に同意し、次のように述べた。
「かつてのように、どの都市でも次々とモーターショーが開催されるようなことは、明らかにありません。中心的なものはまだ変わらないかもしれませんが、ミュンヘンのように(市の中心部で開催される)屋外ショーに移行しつつありますし、わたしもそちらの方が好きです」
「(英国の)グッドウッド・ヒルクライムも好きだし、こういうのもいい。面白いですね。今、ラスベガスで開催されるCESが注目されています。場所や形式も変わってきている。正直なところ、もう昔のようには戻れないと思います」
それなら、今のうちに楽しんでおくのが一番だ。911に次いで、ジェネシスのXコンバーチブル・コンセプトが公開された。ジェネシスというブランドはまだ発展段階にあり、常に話題作りが欠かせないが、このコンセプトは見事に観衆の耳目を集めた。美しいプロポーションを持ち、市販車には遠い空想的なものだが、ブランドとしての自信と「魅せる」能力が急速に高まっていることはひしひしと伝わってくる。
ハマーEVのインパクトも大きい。正直なところ、馬鹿げた創造物であり、ハマーブランドは休眠させておいた方が最善であったかもしれない。興味をそそられるのは、ハイペリオンX1という水素スーパーカーで、現時点ではコンセプト/プロトタイプに過ぎないが、そのデザインは、わたし達が普段目にするゼロ・エミッション車の均質化された形状とは一線を画している。彼らの成功を祈るばかりだ。
AUTOCAR英国編集部は、すでに新型ヒョンデ・アイオニック6のハンドルを握り、その出来栄えに感銘を受けたが、LAでも会場を賑わせていた。ヒョンデにとっては、いい滑り出しと言えるはずだ。
トヨタの新型プリウスは、本当に魅力的なモデルに激変しており、導入計画のない一部の地域(英国など)が不憫に感じられるほどである。以前は、いくら技術が優れていても魅力的ではなかったから、あまり売れなかったのだろうか?
トヨタのブースでは、「bZコンパクトSUVコンセプト(bZ Compact SUV Concept)」という、現場のトヨタスタッフでも知らないような謎のクルマが展示されていた。CH-Rに近いサイズのEVで、詳細は2023年以降に発表されるという。
ゼネラルモーターズ、クライスラー、フォードのいわゆる「ビッグスリー」からは、目新しい発表は何もなかった。しかし、1967年の初代フォード・マスタングをベースに、EVにレストモッドしたチャージ・カーズ67が公開。英国の新興企業が35万ポンド(約5800万円)で販売する、レトロな電動スポーツカーである。
そのほか、ベトナムの自動車メーカーであるビンファスト(Vinfast)の新型SUV「VF8」と「VF9」、全面刷新したレクサスRX、6代目に生まれ変わったスバル・インプレッサなど、注目すべき出展がいくつもあった。
以前の賑わいは影をひそめたが、話題には事欠かないショーであった。
チャージ・カーズ67
1967年の初代フォード・マスタングをベースにしたチャージ・カーズ67。最高出力543psを誇る35万ポンド(約5700万円)の電動スポーツカーである。チャージ・カーズは、英国に拠点を置く新興EVメーカーで、初代マスタングの象徴的なデザインを使用するためにフォードに「多額」のライセンス料を払ったとされている。
半世紀前のスポーツカーを完全に再設計し、電動化し、豪華に仕上げている。4基の電気モーターと63kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約320km、最大トルクは155kg-m、0-100km/h加速は3.9秒という驚異的な数値を達成した。最高速度は250km/h。見た目こそ1960年代のレトロな雰囲気を再現しているが、中身は未来のスポーツカーである。
ジェネシスXコンバーチブル
ジェネシスは、サスティナブルでラグジュアリーな未来のビジョンを示すという、EVコンセプトを公開した。シリーズ第3弾となるこちらは、Xコンバーチブルと名付けられている。ロングボンネット、ショートオーバーハング、ユニークなLEDライトなど、ジェネシスのデザイン言語「アスレチック・エレガンス」を取り入れた最新作である。ロサンゼルス・オートショーで最も見栄えの良いクルマと言えるだろうか?
ハマーEV
EVとして生まれ変わったハマーだが、その巨体に見合うだけのパワーを備えており、ハマーの故郷であるロサンゼルスの観衆の人気を集めることは間違いないだろう。最高出力830ps、最大トルク1590kg-m、0-100km/h加速3.5秒と、まさにモンスターと呼ぶに相応しい性能を誇る。航続距離は約480kmとされている。
ハイペリオンXP-1
ハイペリオンXP-1の初公開は2020年だが、世界デビューを飾るためにプロトタイプがロサンゼルスに登場する。水素燃料電池とスーパーキャパシタを使う電動スーパーカーで、4基の電気モーターから2000ps以上のパワーを発生し、1回の充電での航続距離は約1600kmとも謳われる。最高速度は355km/h、0-100km/hはわずか2.2秒という。
ヒョンデ・アイオニック6
ヒョンデのEVシリーズ「アイオニック」の最新作であるアイオニック6が、ロサンゼルスで米国デビューを飾る。日本でも販売されているアイオニック5と同じプラットフォームを使用し、最大77kWhのバッテリーを搭載して、610kmの航続距離を実現する電動セダンだ。ツインモーター/四輪駆動のパワートレインから最大333psを発生し、パフォーマンスにも不足はない。テスラ・モデル3の手強い刺客となるだろう。
レクサスRX
レクサスの世界販売で中心的な存在となっているベストセラー車、RXが設計を一新し、ロサンゼルスに上陸した。トヨタのGA-Kプラットフォームをベースにした大型SUVで、初めてPHEV(プラグインハイブリッド)を導入することになった。
アップグレードされた14.0インチのインフォテインメント・システムを搭載し、シートヒーターおよびベンチレーション、ワイヤレスのスマートフォン充電器、アップル・カープレイおよびアンドロイド・オートのワイヤレス接続など、快適装備もさらに強化されている。RXの快進撃は続きそうだ。
ポルシェ911ダカール
オフロードに特化したポルシェ911ダカールの実車がお披露目された。1984年のパリ・ダカールラリーでの勝利に敬意を表した、頑丈でオールマイティなスポーツカーである。最高出力480ps、最大トルク58kg-mのツインターボ3.0Lフラット6を搭載した四輪駆動の911 GTSと近い関係にある。さらに、シャシーとボディにオフロード向けの改良が加えられており、従来の911とはまったく別物になっている。2500台の限定生産で、価格は消費税込みで3099万円から。
スバル・インプレッサ
北米市場だけでなく、日本市場にとっても注目の存在。ロサンゼルス・オートショーは、新型インプレッサの国際的な発表の場となった。新しい外観、磨きあげられたシャシー、そして最高出力182psの2.5Lボクサーエンジンを搭載した「インプレッサRS」の追加など、大胆かつ慎重なモデルチェンジを遂げている。
トヨタbZコンパクトSUVコンセプト
トヨタは、bZ4Xに続く新たな電動クロスオーバーのコンセプトを公開した。CH-Rに近いサイズ感で、彫刻的かつスポーティな外観は、日常の運転を楽しませてくれそうな雰囲気がある。インテリアでは、環境負荷に配慮したサスティナブルな内装材を採用しているという。
トヨタ・プリウス
誰もが知っているプリウスが、内外装とも大幅に刷新され、パワーアップして帰ってきた。世界各地で環境意識が高まり、EVが普及しつつある中、エコカーの代名詞として従来のハイブリッドとPHEVを揃え、王座の奪還を狙う。しかし、英国など一部市場では今のところ導入の計画はない。
ビンファスト
ベトナム初の自動車メーカーとなったビンファスト(VinFast)は、新型VF 8およびVF 9をロサンゼルスへ送り込んだ。いずれもピニンファリーナがデザインした電動SUVで、母国ベトナムでは顧客への納車が始まっている。
中型のVF 8は、航続距離470km、最高出力407psを発揮する。大型のVF 9は、最高出力こそ同じだが、航続距離が最大594kmに引き上げられる見込みだ。いわゆる世界戦略車であり、アジアに続き北米、欧州にも導入する予定である。
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みんなのコメント
技術が進歩すればこうなるのか!これならガソリンエンジン無くなるな!