2020年スーパーGT第4戦ツインリンクもてぎの決勝を終え、GT500クラスで早くも今季2勝目を飾ったKEIHIN NSX-GTの塚越広大とベルトラン・バゲットが、シーズン前半戦で速さと強さを両立できている要因や、待望のファン動員を予定する第5戦に向けた抱負を語った。
塚越広大
「まずはホンダさん、ブリヂストンさん、KEIHIN REAL RACINGの皆さん、そして(ベルトラン)バゲットに感謝の気持ちで一杯です。昨日の走行では僕がコースアウトしたり結構バタバタしたなかで、予選ではお互いがそれぞれに良い仕事をして2番手のポジションからスタートすることができた。レース前のトークショーでは『キラキラ輝くような走りがしたい』という話をしてたんですけど、それを前半でバゲットが38号車を抜いたときに先にやってのけられちゃったんで、僕としても彼に負けない走りで返さなきゃいけないな、という思いが強くなりました」
蒲生尚弥「タイヤ無交換は昨日決めました」/スーパーGT第4戦 GT300優勝会見
「バトンを受けてからもすごくクルマの調子は良くて、すごく自信を持って最後まで走ることができた。セーフティカーが途中で入ってしまったんですけど、それまではペースとしても他に負けてなかったので、再開後の残り周回数はもう全力で走り抜こうと、そういう思いで走ることができました。(第2戦)富士のときは『あ、勝っちゃった』という感じで、展開としてはそんなに手応えはなかったんですけど、今回は『自分たちで勝ち獲った』というレースだったので、富士のときよりも今回の方が僕としてはうれしいですね」
「クルマのセットに関しては、エンジニア含めて話をして。この(20年型の)クルマでもてぎを走るのは初めてだったんですけど、バゲットも僕も富士のときのイメージがすごく良かったので『それをベースに作ろうか』という話はしてました。そこから微調整した、という感じなのでそんなに大きく変更した、というのはなくて。本当にバゲットと一緒にちょっとずつ、ちょっとずつ仕上げていってる、という感じですね」
「シーズン前半でこうして2勝できたのは、僕にとってもチームにとっても本当にうれしいことですし、自信を持つところは本当に自信を持っていければと思うんですけど、細かい部分ではみんなそれぞれに課題があるわけで。そこをしっかり直していくことによって、シーズンのこれからも強くないといけないし、天候とかレース展開とか、そういうものを自分の味方につけられないといけない。自分が速いだけじゃチャンピオンを獲れないと思うので、そこはどんどん磨いていって、チームもやれることをすべてやって、お互いに高め合いながら戦いたい。富士では勝ちましたが鈴鹿ではピット作業で課題が出たりもして、それを今回こうして見直してきて、みんなも自信がついた部分とホッとした部分があると思う」
「僕らが2勝したとはいえ、みんな手強くてポイントを積み重ねてますし、鈴鹿は100号車が良かったり、それぞれがベストを尽くしてやってるので、僕らが優位とか他メーカーはどこが得意とか、それほど見えてはいない。シーズンが始まったときにはトヨタのスープラが強いな、とは思いましたけど、僕らもこれで巻き返すことができましたし、第3戦ではニッサンも勝っている。いちファンの視点としては、今は三つ巴の状況じゃないかと思うので、この後のシーズンも楽しみですけど、僕らとしてはこの後も強いホンダであり続けたいな、と思ってます。こういう良い展開で選手権のトップにいますし、チャンピオンを獲りたいので。バゲットと一緒にベストを尽くしたいですね」
「2013年には一応タイトル争いをしたことがありまして(笑)、そのときは後半戦にポイントを稼いでタイトル争いに喰い込んだ、という年だったと思うんですけど、それ以来は本当にランキング上位というのがなくて、自分自身も安定して上位にいるイメージはない。でも去年からバゲットと速さを見せてきて、今年に向けては『強くなろう』と言って頑張ってきて、彼とも『タイトルを獲らないと』という思いを強く共有している。1勝する、2勝するというのは通過点であって、チャンピオンを獲りたい思いはすごく強いですね」
「次の富士はウエイトも重くなって大変なレースになると思いますし、結果も大切だとは思いますが、僕自身は今回のように楽しくっていったらアレですけど、楽しみつつ良い結果を出せるようにしたいと思います。それにここまで、せっかく2回も勝ったのにファンがいないというのは寂しくて、それでもこういう状況だからこそファンの方々といろんな方法で繋がることもできた。現地に来てくださるのもうれしいし、そうして新しい方法で繋がることも発見できたという良い意味での捉え方もできれば良いと思ってます。ただサーキットでレースを見てもらいたいし、僕らもみんなの思いを乗せて走っている。ドライバーだけでもチームだけでもダメだし、ファンのみんなの支えがあってレースができると思うので、まだまだたくさんというわけにはいかないけども、一歩前進してまたみんなの前で走れるのをものすごく楽しみにしています」
■バゲット「前に出てからは『タイヤは使い切っていいから』と言われて、プッシュを続けた」
ベルトラン・バゲット
「本当にうれしいね、素晴らしいレースになった。僕らは今回46kgものウエイトハンデを搭載していたし、置かれた状況を考えれば第2戦での初優勝にも増して、心の底からこの勝利を喜んでいるよ。今日の僕のスティントは本当にタフだったし、課されたタスクは38号車をオーバーテイクすることだった。今日のクルマはとても速くて良い仕上がりだったけど、それでも彼らにはまったく隙がなく、序盤は抜けるチャンスがほとんど見つけられなかった。あきらめずに何度もプレッシャーをかけ続けていたんだけど、GT300の集団に絡み始めてから38号車が一瞬前に詰まる瞬間が来て、それを逃さずパスできたのでホッとしたよ。とくにスタートからの僕のスティントは"ショーター・ショーター"だし、その短い期間で38号車を仕留めるという自分の仕事が果たせて良かった」
「前に出てからは『タイヤは使い切っていいから』と言われて、ギャップを築くために行けるとこまでプッシュを続けた。その後の(塚越)広大にクルマを引き継いだ後も、素晴らしいペースでギャップを保ってくれたし、その後もセーフティカーとかあらゆるアクシデントがあったけど、それにも動じず完璧なレースを走り切ることができた。チーム、ホンダ、ブリヂストンに感謝したいし、このパッケージは本当に強いと思うよ」
「僕と広大は昨年からペアを組んで、クルマに対してはとにかくお互いのフィードバックがとても似ていたんだ。チームによってはドライバーの好みや意見が完全に割れたりして難しい状況に追い込まれることもあるとは思うけど、僕らは昨年から同じ方向を向いてクルマを速くすることに専念してこれた。そこが大事なポイントで、今季もこうして速さを証明できているし、チームとのコミュニケーションも万全だ。それも僕らの強みだと思う」
「この段階でポイントリーダーになれたことはポジティブなことだけど、次の富士や鈴鹿は本当にタフなレースになると思う。ウエイトを満載した状態でいかにポイントを加算するかがポイントになるし、ポディウムに乗ることや優勝するのは非現実的だし、そこを目標にしたりあまり固執しないで、できるだけのポイントを、トップ5でもトップ10でも積み重ねていくのが重要だ。終盤2戦になれば段々とウエイトは減っていくので、そこからは全力を尽くしてタイトルを目指したい」
「実は僕にとってもこの状況は未知のもので、これほどのウエイトを積んだ経験はないし、そういう中でどんなドライビングをするべきか、チームにも難しい課題になると思う。でもクルマ自体はシーズンの開幕から本当に速いし、そうした課題を上手く克服して頑張っていきたいと思う」
「僕自身、この5年間はいろいろとタフな条件でタイトル争いには加われないシーズンを過ごしたけれど、日本に来る前はいくつかのチャンピオンシップを獲得することも出来ていたので、そういう気持ちをもう一度味わいたいという思いはある。そのために、ホンダにもブリヂストンで走らせて欲しいとお願いをしてきた。それが実現して、こうして選手権での結果が出てきていることにホッとしているし、個人的にはやっと巡ってきたチャンスだ。僕のすべてを尽くして、今年こそは機会を逃さないようにしたい。広大と力を合わせて、チャンピオンシップを獲得するために力を尽くしたい」
「そして次の富士ではようやくファンのみんなの前でレースができる。5000人という数は少なく感じるけど、それでも本当に"スーパー・ハッピー"だ。いつもの富士なら、本当に満席のグランドスタンドで大観衆を前に走れるけど、そこに向けて少しだけ、1歩ずつのステップだと考えて前向きに捉えたいと思うし、2回も勝ったのにどちらもファンがいなかったのは残念で、本当の勝利じゃないと感じることもあった。だからこそ、次はみんなの前で良い結果を出したいし、広大も言うように"No Fan, No Racing"なので、次の富士はタフだと思うけど、ファンのために全力で頑張りたいね」
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