クルマの車内掃除はなかなかノウハウが共有されないもの。だけど綺麗にすると心機一転さっぱりすることも多いです。また花粉やハウスダストなどアレルギー持ちの人は定期的に車内を掃除すると症状が緩和することも。そんな車内掃除のひとつのカギがフロアマット。土足が基本だしこの季節は雪が降ったりすると汚れがちですが、ではどう洗うのが正解? 取材しました!!
文/加藤久美子
写真/加藤博人、AdobeStock(アイキャッチ写真は@Andrey Popov)
「いつかくる」なら知っておくべき!? 火山の噴火時 クルマは灰の上を走れるのか?
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■なぜ「マット洗浄機」ではいまいち汚れが落ちない?
皆さんはフロアマットをどうやって洗っていらっしゃるだろうか? 筆者の周囲のクルマ好きにリサーチしたところ…、
「掃除機かけて汚れを吸い取ってから自宅の洗濯機で洗う」
「そもそも洗濯機で洗う発想がない。掃除機かけたり埃をはたいたりして終わり」
「コイン洗車場でクルマを洗う時に一緒に水洗いしている」
「ガソリンスタンドのマット洗浄機でたまに洗ってもらう程度」
という返事が返ってきた。
かつては高級車にしか装備されていなかった、毛足の長い絨毯タイプのフロアマット。いまや普通のクルマにも当然のように用意されている
30人くらいに話を聞いたが、大きく分けると以下の3パターンとなった。
・手洗い(洗剤をかけてブラシで洗う)4割
・洗濯機(お風呂場などで予洗いしてからネットに入れて洗濯~脱水まで)1割
・マット洗浄機(給油のついでに洗ってもらうパターン。または、コイン洗車場に設置されている場合も)5割
もちろん一番ラクなのは「マット洗浄機で洗う」という方法だ。しかし、実際使ったことがある人ならわかると思うが、この方法ではフロアマットがなかなかキレイにならない。洗浄機の入り口からマットを差し込むと自動でローラーが回転し吸い込まれていき、洗い終わると排出されて下に落ちる。ガソリンスタンドでは無料のところが多いが、コイン洗車場では100円でこの動作を4-5回繰り返せる。表面がちょっと濡れて出てくる感じなので、一見キレイになったように見えるが実際はフロアマットの毛の根本にたまった汚れは落ちてない模様。
なぜフロアマット洗浄機ではしっかり洗えず汚れが落ちないのだろうか。マット洗浄機メーカーのパイオニア、50年以上マット洗浄機を作り続けているキソー株式会社(本社:静岡県富士市)に聞いてみた。
なお同社は各種金型、専用機器等を製作し主に産業用洗浄機・掃除機、高圧・低圧ポンプ、さらに環境機器などを製造する老舗メーカーである。洗車に関わる製品としては、自動車用バキュームクリーナー、自動車用高圧スプレー洗浄機、そして自動車用マット洗浄機を製造している。
■マット洗浄機のほとんどはゴムマットを想定した設計
キソー株式会社が作っているマット洗浄機は、ガソリンスタンドなどでよく見かけるいわゆるノーマルなマット洗浄機だ。マット洗浄機担当の方にまずはその仕組みから聞いてみた。
――マット洗浄機はどのような仕組みでマットを洗っていますか?
モーターで駆動させて回転させている部分にマットを挿入すると、ローラーで送りを掛けながらブラシなどで汚れた面を洗浄していきます。そして簡単な脱水をして後ろの部分に排出されます。
――布製マット(絨毯マット)ではとくに、マット洗浄機ではあまり汚れが落ちない印象がありますが…。
そうですね。いわゆる「絨毯マット」と呼ばれる毛足が長いもの(5ミリ以上)は、汚れを落とすのは困難でしょう。毛足が短いものであればある程度は落ちるのですが…。毛足5ミリ以上の絨毯マットですと、毛の付け根の部分にたまった砂や土など、毛を倒しながら洗浄機のブラシで洗うのはほぼ不可能でしょう。そこまでブラシが届かないので…。
――洗浄機はそもそも、どんなマットを想定して設計されているのでしょうか?
昔ながらのゴム製のマットですね。タクシーなどで使われていたような。マット洗浄機を作っているところはほぼ皆同じだと思います。初期に開発を行った時代ではゴム製マットが主流でしたので、基本は昔から大きく変わっていないでしょう。
――フロアマットの材質が変化してきたということですね?
そうです。クルマの室内装備がだんだん良くなってきて、マットの材質もゴムから絨毯タイプが主流になってきました。またクルマの床もカーペットが貼られるようになってからは、そこに絨毯マットを置くのが一般的になりましたね。
中にはマット洗浄機側も毛足の長いマットに対応させるべく砂やほこりを落とすために、ブロワで風を送ったり、埃をたたき出したりするような機能を持たせたものもありますが…効果のほどはわかりません。
――マット洗浄機を高機能化させるのは大変なのですね。
はい。絨毯マットをキレイに洗う機能を付加すると、とても高価なものになってしまいます。また、しっかり洗浄するということは水をたくさん使うことになり、そうなると今度は「脱水」機能も強化しないといけません。水をたくさん含んだ絨毯マットはなかなか乾きません。ガソリンスタンドでさっと洗ってさっとクルマに敷いて運転して帰る…といった場合にも足元がびっしょりでは危険もあります。
また、夏場はにおいも出てきます。湿度の高い季節では締め切った蒸し暑い車内では窓も曇って不快感も高まるでしょう。
■コインランドリーで洗うことは可能?
ということで、今や一般的になった絨毯タイプのフロアマットをキレイさっぱり洗浄するのは時間と手間が必要となりそうだ。では、これらのマット。コインランドリーで洗うことはできないのだろうか?
コインランドリーの大きくてパワフルな洗濯機でザブザブ洗ってしっかり脱水すれば毛足の根元にたまった砂や細かな土埃なども一掃できそうだ。
「コインランドリーの洗濯機でクルマ用のフロアマットを洗濯してよいのかどうか?」
コインランドリーでフロアマットを選択できる…と…??
この件について、コインランドリーの管理者団体や首都圏、関西圏、九州など複数のコインランドリー店舗などに確認してみた。結論から言うと、洗濯機では絶対洗えない完全ゴム製のフロアマットなどを除いて一般の絨毯タイプにおいては、コインランドリーで洗濯OKであった。
×洗えない→1割
〇条件次第では洗える→9割
条件次第ではあるが、「フロアマットを洗ってもいい」というコインランドリーが意外と多いことに驚いた。ではその条件とはどのような事だろうか? と思ったらそんなに難しいことではなく、とても常識的なことであった。
その条件とは「機器の故障を防ぐため~泥・砂などを事前に良く落としてから洗濯機に投入」ということである。さらに、「利用前に電話(大手チェーンのコインランドリーはカスタマーサポートなどで24時間電話対応をしているところがほとんど)で確認してください」というところも多くあった。同じチェーン店の中でも、店がある所在地によって管轄する保健所の指導が入るエリアもあるとのこと。事前に電話で確認しておけば安心だ。
そんなわけで筆者も自宅近くのコインランドリーで洗ってみることにした。実はこれまで自宅の洗濯機で洗っていた(といっても年に1回くらい)のだが、コインランドリーで洗うのは初めて。もちろん、埃や砂ははたいて落として綺麗にしてある。電話でコインランドリー内に掲示されたサポート電話にも事前に確認したところ、「大きな汚れや砂や土を落とせばフロアマットを洗っても良いですよ」とのことだった。
洗ってみたところ、うーん! すっきり! 脱水もばっちりでこのまま運転席フロアに敷いてもまったく問題なさそうだ。
ちなみに筆者がこの度洗ってみたフロアマットはアルファロメオ純正品で新車から23年半、距離にして26.5万キロ同じものを使っている。かかとが当たる部分は少し剥げているがそれ以外は大した損傷もない。フロアマットはもともと非常に頑丈に作られているので、23年間の長い年月と20回以上の洗濯と脱水にもほぼ問題なく耐えてきたという印象だ。
水もたっぷり使って強い水圧と回転で恐らく絨毯の毛足の根元にたまった汚れも洗い流してくれたことだろう。
■自宅の洗濯機で洗う時の注意点は?
ただし、人間が使う車用のフロアマットは洗えても、ペット用のマットやシーツなどは固く禁じられている場合がある。車内にペットスペースがあり、そこで敷いているマットやシーツなどは洗えないコインランドリーもあることを知っておきたい。関西地方のとあるコインランドリーでは「保健所からの禁止事項でペット用品は洗濯できないことになっています」とのことだった。そのような場合は家の洗濯機で洗うべし。なお、最近ではペット用洗濯機を備えるコインランドリーも増えている。
最後に自宅の洗濯機で洗う時の注意として以下が挙げられる。
・目に見える土や砂は駐車場などで落としておく。
・洗濯機に入れる前にお風呂場などで予洗い(ぬるま湯を掛けて砂や土ぼこりを洗い流しておく)
・他の洗濯物とは一緒にせず、大きめの洗濯機用ネット(毛布用など。大き目のものも100均で売っている)に入れて洗うのがベスト。
・ネットに入れたまま脱水までしっかり。
・乾燥機は使わず干して乾かす。
初めてフロアマットを洗濯機で洗うと、その汚れ汁の色に驚く方も多いと思う。洗いあがって乾かすと、もはや土禁にしたくなるかもしれないが、裸足や靴下での運転はあまりにも危険。都道府県条例で禁止されている地域も少なくない。
なお、「妻から洗濯機でフロアマットを洗うのは禁じられている」という家庭もあるだろうから、その場合は諦めてコインランドリーで許可を得て洗うか、もしくは、お風呂場などで洗剤とブラシで丁寧に洗うしかない。理想を言えば、脱水だけでも使わせてもらえると格段に作業は早くなるので、可能であれば交渉してみてはいかがだろうか。
フロアマットは外から持ち込んだ汚れがたまる場所。まもなく訪れる花粉のシーズンなどはとくに清潔に保っておきたい。
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みんなのコメント
非常識にもほどがあるわ。