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TCRヨーロッパ第5戦はアズコナが今季2度目の“クリーンスイープ”達成。自身2度目の戴冠へ一直線

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TCRヨーロッパ第5戦はアズコナが今季2度目の“クリーンスイープ”達成。自身2度目の戴冠へ一直線

 9月3~5日にドイツ・ニュルブルクリンクで争われたTCRヨーロッパ・シリーズ第5戦は、スペイン出身のミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ボルケーノ・モータースポーツ)が、トタルエネルジーズ・スパ24時間レースとの併催戦となった第4戦に続き週末“クリーンスイープ”を達成して破竹の4連勝をマーク。2018年以来、自身2度目のシリーズタイトル獲得に向け大量リードを築いている。

 ドイツや隣国ベルギーを襲った大規模水害からの復旧を経て、無事開催の運びとなったTCRヨーロッパ第5戦は、前戦に続き公式練習からホンダ勢が速さを見せ、FP1最速のアズコナに喰い下がり、FP2では現在ランキング2位のフランコ・ジロラミ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR/PSSレーシング)がトップタイムを記録した。

TCRヨーロッパ第4戦は予選をヒュンダイ勢が制圧も、クプラのアズコナ連勝で選手権首位を独走

 続く予選では、ブルータル・フィッシュ・レーシングのシビックに乗る若干17歳の新鋭、イシドロ・カジェハス(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)が自身初のポールポジションを獲得し、PSSレーシングのジロラミがフロントロウ2番手を得るなど、ホンダ車チームが最前列をロックアウトする結果となった。

 また、このセッションで10番手だったカジェハスの僚友ジャック・ヤング(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR/ブルータル・フィッシュ・レーシング)と、同じく9番手にヴィクトル・ダビドフスキー(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR/PSSレーシング)が並んだことで、リバースグリッドとなるレース2でもそれぞれホンダ勢がフロントロウを占拠するなど、決勝に向けまずはホンダ系チームが優位な立場を築いた。

 現地土曜午後15時を前に開始されたレース1は、若きポールシッターが緊張からかスタートに失敗し大きくポジションを失うと、ターン1までにジロラミにパスされ、3番グリッドに並んだニールス・ラングフェルド(ヒュンダイ・エラントラN TCR/セバスチャン・ローブ・レーシング)にも先行される展開に。

 するとその2台の勢いを上回るスピードで5番グリッドから躍進したアズコナが、ターン4でカジェハス、ラングフェルドを仕留め、オープニングラップでいきなりの2番手浮上を果たす。

 2周目のシケインでふたたびカジェハスをパスしたラングフェルドが前方2台に迫ったものの、レース後半に向けて首位争いはマッチレースの様相を呈し、残り2周の時点でシビックとレオンはサイド・バイ・サイドのままホームストレートへ。

 最終コーナーを立ち上がり重視で回った2番手アズコナに対し、ターン1進入から切り返しのターン2に向けインサイドを死守したジロラミは、首位を維持しテール・トゥ・ノーズ状態でファイナルラップへと向かっていく。

■「2回の“ダブル”を含む5勝を記録することができるなんて、想像もできなかった」とアズコナ

 ホームストレートを通過し、ふたたびドアパネルを擦り合うようにしてブレーキングゾーンに入っていった2台は、アズコナがインサイドを奪う素振りを見せる。これにディフェンスラインで応じたジロラミだったが、続くターン4のインサイドをコンパクトに回ったアズコナがついにオーバーテイクを完了して勝負アリ。

 ファイナルラップの逆転劇でリードを奪ったアズコナが、2位ジロラミに対し1.4秒差で3戦連続のトップチェッカーを受けた。

「本当に、本当に幸せな結末だ。選手権リードを拡大できたのは最高のニュースだし、僕にとっては心底、厳しいレース展開だった」と、まずは勝利の喜びを語ったアズコナ。「何よりも、ジロラミにコングラッチュレーションと言いたい。彼はとても素晴らしいドライビングを続けていたから、僕は早い段階から彼を分析し、僕より少し苦労しているコーナーがないかを観察していたんだ」と続けたアズコナ。

「終盤に3回ほどオーバーテイクを試みたが、その都度、彼は素晴らしいディフェンスラインで応戦してきた。でも最後はタイヤの消耗に苦しんでいたみたいだから、その機会を利用してフルアタックを掛けたよ」

 そんな好バトルの余韻が残るなか、明けた日曜午後13時を前に始まったレース2は前日をリピートするかのような展開に。この日はリバースグリッド6番手から出たアズコナは、スタート早々にポールシッターであるヤングの背後2番手にまで進出すると、3周目のシケインでホンダ・シビックを仕留めて11周のひとり旅へ。

 背後にはヤングをかわしたジロラミが浮上し、ふたたび選手権リーダーを追走したものの時すでに遅し。3.618秒のマージンを築いたアズコナが4戦連続で勝利のフィニッシュラインを駆け抜けた。

「今季、2回の“ダブル”を含む5勝を記録することができるなんて、想像もできなかったし、今でも信じられない気分だ」と、2018年の初戴冠時はわずか1勝に留まっていたアズコナ。

「昨日に続いてふたたびスタートが重要な鍵となったが、僕自身は本当に良いローンチができた。(2番手にいた)ダビドフスキーが遅れたので、その機会を活用してアウト側から2~3台を仕留めて(首位)ヤングの背後につけることができた」

「後ろにもホンダがいたから、無線で『あれはダビドフスキー?』と聞いたら『いや、ジロラミだ。プッシュ、プッシュ!!』と返事があった。ヤングは僕をそれほど厳しくブロックしなかったから、パスした後はマージンを管理するだけになったよ」

 ふたたびの勝利により、直接対決を繰り広げたランキング2位のジロラミに対し37点差までギャップを拡大することに成功したアズコナ。続くTCRヨーロッパ第6戦は9月24~26日のイタリア、モンツァでの超高速バトルが予定されている。

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