次期フェアレディZ、「400Z」なのか?
text:Kenji Momota(桃田健史)
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欧米では「Z(ゼット)」ではなく「Z(ジィー)」と呼ばれる、「フェアレディZ」
そんな「Z」の次期モデル情報が世界各地で飛び交っている。
AUTOCAR英国編集部は今年(2020年)3月後半、米モータートレンドがつかんだ情報として「新しいZに関する商標の申請がカナダ政府機関に提出された」と伝えた。
記事のなかでは、新型車に対して「400Z」という表現が使われている。
北米や欧州では、現行の第六世代(Z34)が「370Z」、また第5世代(33Z)を「350Z」という商品名で読んでいる。
次期モデルでは、V型6気筒3.0Lツインターボ搭載で最大出力400馬力級、と予測している。
果たして、次期Zは「400Z」なのか?
次期「Z」については、日本の自動車雑誌各社でもこれまで、開発裏事情などがスクープされ、各メディアが独自にイメージスケッチを公開した。
仮にこうした話が事実だとしても、現状の日産は「400Z」を許容できるだけの経営体制を構築できていると言えるのか?
カルロス・ゴーン元CEOに関する様々な問題は、解決の糸口すら見つかっていない。さらに、西川CEO退任後の新経営陣の一部が崩れるなど、ゴタゴタが続いている。
「Z」は日産という企業の、まさにシンボルである。
これまで様々「Z」の現場を見てきた身として、次期「Z」はどのようなモデルになるかを考えてみたい。
歴代Zとの出会い 背景にアメリカと深い関係
今回、次期「Z」に関する情報がアメリカから漏れてきたように、現時点で「Z」への関心は日本人よりアメリカ人の方が強いと感じる。
その背景には、「Z」とアメリカとの深い関係がある。
「Z」の歴史を振り返ると、アメリカでの成功が「Z」の継続を保証してきた印象がある。
まずは、実際の声を紹介しよう。
アメリカには「Z」のオーナーズクラブが多数あるが、そうしたミーティングに参加すると、70年代からの初代(S30)オーナーにも出会うことがある。
彼らに70年代当時の話を聞くと「このスタイリングで、この走り。しかも、当時としては欧州スポーツカーやアメリカのマッスルカー比べて、かなりの割安感があった」と証言する。
それが第2世代(S130)、そして第3世代(Z31)と時代が進むにつれて、より大きく、よりズッシリとしたグランドツアラーへと進化。とはいえ、ボディデザインのイメージで初代を継承した。
筆者(桃田健史)は80年代中盤からアメリカで活動しているため、2代目と3代目にリアルタイムで乗る機会が数多かった。
当時の感覚は、日本車に乗っているというより、アメ車に乗っているようなイメージすらあった。
「Zはこのあと、いったいどんな風に進化するのか、少し心配だ」と、友人のアメリカ人たちと話したことを思い出す。
ところが……。
第5世代(Z33) 成熟の過程を体感
初めて第4世代(Z32)を見たのは、北カリフォルニアのシアーズポイントレースウエイ(現ソノマレースウエイ)。北米日産関係者が走行テスト用にプロトタイプを持ち込んでいた。
ワイド&ローのエクステリアデザイン、開放感あるインテリアデザイン、そして旋回性が一気に向上した走り。まさに新生「Z」という印象だった。
そんな第4世代(Z32)が生産を終えて2年が経った。
2002年、日本では報道陣向け試乗会が開催前で、ディーラーの店頭に新車が並ぶ前に、第5世代(Z33)をアメリカで思いきり走らせた。
当時、カリフォルニア州ガーディナにあった北米日産本社から「350Z」の広報車を借り出した。市街地とフリーウエイを走りながらの第一印象は「なんて、足(サス)が硬いんだ」だった。
ロサンゼルス郊外のミニサーキットを貸し切り、日本の自動車雑誌向けに加速性能や旋回性能の測定も行った。
その数週間後、Z33のチーフエンジニア氏とじっくり意見交換した。
「あれ(硬い足)がアメリカからのリクエストでした」
「ご心配なく、サスもエンジンもミッションも随時、乗りやすくなるよう改良しますから」
「Zの本質は、グランドツアラーですから」という言葉通り、Z33は徐々に改良され、次いで登場したZ34となりグランドツアラーとして走行性能は上がった。
ビックマイチェン ブランドの行方を占う
そしていま、話題は第7世代(Z35)となった。
海外での報道内容や、日本の自動車メディアでの予測は、いわゆるビックマイナーチェンジとして捉えている。ベース車は現行インフィニティで、エクステリアデザインがいま風になる。
それが本当に、世界のZファンが望むZの姿なのだろうか?
歴代Zとの体験を振り返りながら、筆者としては大いに疑問がある。
第一、Z34は登場以来、すでに11年が経過している。他の日産モデルでも共通だが、あまりにも新型へのシフトが遅過ぎる。
こうした経営判断ミスは、ゴーン体制による負の遺産である。日本の街中で、Z34を見かける機会は極めて少ない印象がある。
繰り返すが、Zは日産という企業の象徴的存在だ。
日産が本気で、新しく生まれ変わるのであれば、Z35はプラットフォームを刷新し、次世代パワートレインを搭載するフルモデルチェンジが必然だと思う。
スープラのように、海外メーカーを含めた他社との協業という手段も、自動車産業界の現状を踏まえれば、選択肢の1つになるかもしれない。
現状、世界のZファンの心の中では、Z35に対する期待と不安が交錯していると思う。
見方を変えると、日産がZ35をどのような形で世に送り出すかが、今後の日産ブランドの行方を占う上で大きなカギとなる。
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