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大型スクーターブームを紐解く 新たな流行再燃の予感!

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大型スクーターブームを紐解く 新たな流行再燃の予感!

■ビックスクーブーム新たな章の幕開けか!

 いままた、ビッグスクーターに注目が集まりつつあります。今年はヤマハが1月に『XMAX』をデビューさせると、ホンダも7月に新型『FORZA』を発売して対抗。かつて「ビッグスクーター(ビグスク)ブーム」と呼ばれた時代もありましたが、メーカーは再燃しようと仕掛けてきているのです。ビグスクブームって、一体どれほどにスゴかったのでしょう。今回はその時代を振り返ってみます。

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 大型スクーターがブームとなるなんて、レーサーレプリカ全盛の1980年代後半から1990年代初めには夢にも思いませんでした。50~125ccの小排気量スクーターはたくさん存在し、若者や主婦層を含め人気がありましたが、250ccクラスのスクーターは珍しく、「わざわざオートバイの免許を取ったのに、どうしてスクーターに乗るの?」って聞かれるほど、当時は理解されていませんでした。

 そんななか、最初に250ccスクーターを発売したのはホンダでした。1984年8月『スペイシー250フリーウェイ』です。静粛性、経済性、耐久性に優れた専用設計の水冷エンジンを、前後10インチの足まわりを持つ車体に搭載。変速機構には滑らかな走りが楽しめるワイドレシオのトルクセンサー付きVマチック(無段変速)を採用しました。フロントフォークの沈み込みを低減させるメカニカル・アンチダイブ機構とトレーリングリンク式を組み合わせたTLAD(トレーリングリンク&アンチダイブサスペンション)で、ノーズダイブを抑制した安定した乗り心地を実現しています。

 もちろん若者たちは見向きもしません。ただし、筆者(青木タカオ)の記憶の片隅には、このフリーウェイの姿がありますから、乗っている人がいなかったわけではないのでしょう。1980年代のSF映画に出てきそうな顔は、いま見るとなかなかカワイイですし、ボクは嫌いではありません。

 1986年4月にはツーリング用途にも対応した「フュージョン」を発売し、これがロングセラーとなります。当初はフリーウェイと同類にしか思っていませんでしたが、2000年以降のビグスクブーム到来後に、この四角いスタイルが高く評価され、スタイルをそのままに生き長らえます。国内累計販売台数は約5万8600台を数え、2006年9月には誕生20年を記念した「フュージョンSE 20thアニバーサリー」が発売されるほどの人気ぶりでした。

■ヤマハはオジサン臭い乗り物からの脱却を測る

“オジサン臭い”乗り物だった250ccスクーターに新風を巻き起こしたのが、ヤマハ『マジェスティ』です。1995年8月にデビューすると、年間計画販売台数4000台を上回る5000台をわずか4ヶ月で販売。1996年の軽二輪(126から250cc)クラスでは1万台近くを売り、トップセールスとなったから驚きます。

 足まわりは前後12インチで、ボディも大柄。迫力のあるスタイルやシート下の大容量トランクも好評でした。

 こうなると他メーカーも放ってはおきません。1997年6月にホンダは『フォーサイト』を新発売。謳い文句は「スポーツ感覚溢れるスタイリッシュスクーター」としましたが、まだまだ若者向けとは言い難いデザインです。

 クラス最大容量(40L)の前後に長いシート下の大型トランクには、A3サイズのアタッシェケースをはじめ、いままで二輪車には収納不可能であった傘やバットなど900mmまでの長尺の収納が可能となり、ビジネスユースだけでなくスポーツやレジャーにいたるまで幅広い用途において優れた使い勝手を実現し、ゆとりあるライフスタイルを演出しようと、ホンダは取り組んだのでした。

 1998年3月にはスズキも『スカイウェイブ タイプI/II』を発売し、いよいよ混戦となってきます。水冷4バルブエンジンはクラストップの23馬力を誇り、足まわりは前後13インチ。ビッグスクーターには珍しいモノショック式のリアサスペンションを備えました。IIはリアシートにバックレストがあり、タンデムがより快適な仕様です。

 「ビグスクブーム」と呼んでいいのはこの頃からではないでしょうか。マイナーチェンジを繰り返し精悍になっていくマジェスティに対抗し、ホンダが『フォルツァS』で対抗したのです。

 『フォーサイト』に残っていたオジサン臭さはもうどこにもありません。躍動感とスポーティさに満ちあふれ、快適で余裕のある走行が楽しめる空力特性に優れたボディ形状となっています。フロントは大径13インチで、左右独立型のデュアルヘッドライトもスポーツバイクのよう。軽二輪スクータークラス初のタコメーター装備も話題を呼びました。8月にはアイドルストップシステムと前後輪連動ABS付きの『フォルツァ S』もラインナップに加えています。

 マジェスティが好調のヤマハは、500ccもの排気量を持つ並列2気筒エンジンを積むオートマチックスポーツを2001年8月に登場させ、これがまた欧州を中心に大ヒットとなります。新開発CVTエンジンによる胸のすく加速感、スポーツバイク感覚で人車一体感を楽しめるハンドリング、長距離タンデムランに対応できる居住性や利便性などが人気の秘訣で、ビッグバイクにもオートマ人気が押し寄せたのでした。

 巨体を悠々と走らせる600ccクラスのスクーターをホンダは2001年4月に発売しました。DOHC2気筒エンジンを積む『シルバーウイング』です。フロントに大径14インチ、リヤに13インチのホイールをセットし、フラッグシップモデルにふさわしい高級感と居住性を両立。防風効果に優れたボディフォルムやウインドスクリーンなどで、タンデムでも快適なクルージングが味わえました。また、同年11月には、バリエーションモデルとして400版もラインナップしています。

 大排気量なら任せろと、スズキは650ccエンジンを搭載した『スカイウェイブ650/LX』を2002年1月にデビューさせます。クラス初の電子制御CVTミッションは、有段式にマニュアル変速操作も可能としました。LXは上級グレードで、電動格納ミラーやABSを搭載します。これでヤマハ、ホンダ、スズキが250ccクラスに続いてオーバー400クラスでもスクーターで市場を奪い合うことになったのです。

 マジェスティは1999年にフルモデルチェンジし、これもまたヒット。人気を確固たるものにしていきます。ホンダはフォルツァで、スズキはスカイウェイブで対抗してきますが、2002年6月には『マジェスティC』をリリース。ショートスクリーン、パイプハンドル、5連ホワイトメーター、メッキミラーなど、ストリートで人気のカスタムパーツたちをそのまま新車に盛り込んだスタイルで人気を博しました。

 2002年に合計2万台を超える出荷台数を記録したマジェスティですが、軽二輪・国内メーカーでは14年ぶりの快挙だったのです。なかでも『マジェスティC』の人気は突出して、若年層からの人気により同シリーズ中50%弱の販売比率を占めました。

 さらにヤマハは2004年2月に『マジェスティ400』も欧州向けに発売しています。このときヨーロッパの126cc以上スクーター市場は年間24万台規模で推移。特に需要の中心であるイタリアにおいて、マジェスティ(250cc)は初代モデル投入以降高い人気を保っており、日本だけでなく欧州でもビッグスクーターは人気だったと言えるのです。

■カワサキは、ウルトラCでビックスクーター市場に参入

 じつはカワサキも蚊帳の外ではありませんでした。カワサキは、『スカイウェイブ250 タイプS』をスズキから車両を供給され、カワサキブランドで2002年1月より発売しました。

 ショートスモークスクリーンやバーハンドル、ハイマウントストップランプを内蔵したグラブバー一体式リヤスポイラーなど、ストリートカスタムのテイストを随所に盛り込みながらも、大型のシートや大容量のトランクスペースといったスクーターならではのユーティリティも充実しています。カワサキのビグスク、いま乗っていたら注目度高いかもしれません。

 水冷4スト単気筒エンジンにワイドレシオのVマチック無段変速機構を組み合わせ、モーターサイクルの開放感とスクーターの快適性を両立した新しい走行フィールを目指した変わり種も登場していました。2004年6月にデビューしたホンダ『PS250』です。スクーターの外装を取り外し、フレームを剥き出しにしたスタイルは斬新でしたが、ヒットには至りませんでした。跳ね上げるとバックレストになるリアシートなどアイデア満載でした。

 その後も2005年にヤマハ『マグザム』、2008年にスズキ『ジェンマ』といった個性派モデルたちが続々と登場してきましたが、ビグスクブームは少しずつ陰りを見せはじめていきます。街乗り中心のユーザーたちに打撃を与えたのは、二輪車への駐禁取締り強化もあったかもしれませんし、かつてのビッグスクーターのスタイルがもう飽きられてしまったのかもしれません。

 しかしまた『XMAX』や新型『FORZA』が、新しいスタイルで人気を呼んでいます。高速道路にも乗れるし、便利で手軽でスポーティと、もともと魅力あふれるカテゴリであることは知れ渡っているだけに、「おっ!」と注目されるモデルが登場すれば、再び人気ジャンルとなるポテンシャルは充分に秘めているのは言うまでもありません。

 しばらくはまたヤマハvsホンダの争いとなりそうですが、もしかしたらスズキもスカイウェイブを新しくしてくるのかもしれませんので、目が離せません!!

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