はじめに
プジョーの3桁数字を用いる車名は、数十年に渡り大きく変わってはいない。1960年代初頭、ポルシェが新型スポーツカーを901と名付けようとして、商標侵害にあたるというプジョーのクレームで911に改めたという話は有名だ。
それゆえ、よく知られている慣習的なこともある。たとえば3ではじまるのは中型ハッチバック、9ではじまるのはル・マン制覇を目指すトップクラスの耐久マシンだ。しかし、そこまで明確に決まったものがない4が、ときとしてもっとも好ましく興味深いクルマに与えられてきた。
1935年の402は、後輪スパッツを備える、ファミリーカーでありながら空力を考慮したクルマとしてはごく初期の一例だ。打って変わって403は『刑事コロンボ』の劇中車でおなじみの愛すべき小さなクルマで、ブランドのデザイン言語の近代化を牽引した。販売台数が100万台を超えた初のプジョーでもある。
その後、405のMi16は多くのクルマ好きのハートを射止めたが、これは実質的に205GTiのセダンバージョン。記憶に新しいところでは、406も魅力的だった。とくに、ピニンファリーナが手がけたクーペは、1990年代を通してみても、もっとも美しいクルマの部類に入る。
それゆえ、408がちょっとこれまでになかったようなカテゴリーのクルマとして登場しても、驚きはしなかった。これを「セダンとSUVの融合」だとわれわれに語ったのは、プジョーのリンダ・ジャクソンCEOだ。斬新なほどにストレートな表現だが、それ以上の形容はいらない。
ノッチバックのクロスオーバーは、徐々に一般化しつつある。SUVに求めるような地上高と、そこまでどんくさくない、よりエレガントなボディを両立する。遠くないうちに、この手のクルマは増えそうだ。
そんななかで、ランゲージ・オブ・アトラクションと題した新たなデザインアプローチを、この目を引く興味深い408で具現化してみせたプジョーの判断はなかなか抜け目がない。とはいえ、デザイン先行で中身がないのでは困る。そこを検証しよう。
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
2021年、16ものブランドを含むステランティスが設立されて以来、エンジニアリング合理化の規模はかなりのものになった。408もその一環で、EMP2 V3プラットフォームはDS4やシトロエンC5X、はたまた同じプジョーで格下の308とも共用する。
ということは、エンジン単体からマイルドハイブリッド、PHEV、そしてBEVまで対応できるわけだ。とはいえ、現時点では3気筒ガソリンのピュアテックと、2機種のPHEVのみの設定。年内には、マイルドハイブリッドやBEVも上陸するとみられる。
今回のハイブリッド180 e-EAT8は、PHEVのパワーが低いほうで、1598ccターボガソリンと電気モーターで180psを発生する。モーターは、エンジンとトランスミッションの間に設置。最上位のハイブリッド225も同様のメカニズムだが、システム最高出力が225psに引き上げられる。
いずれも前輪駆動で、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。コイルスプリングとパッシブダンパーを組み合わせる。これが、クラスも形状も近いC5Xとの重要な違いだ。シトロエンは油圧バンプストッパーと、PHEVにはカメラを用いるアダプティブダンパーを採用し、乗り心地向上を図っている。
動力用バッテリーの容量は12.4kWhで、荷室の床下に搭載される。公称の航続距離は64km、モーターのみでの出力は111ps。充電は最大7.4kWに対応する。
ボディの存在感は大きいが、全長は508SWより短く、BMW3シリーズの現行セダンよりほんのわずか長い程度。ボディパネルのシャープな折り目は、張り出したフェンダーやホイールアーチのクラッディングと相まって、このクルマの見誤ることない個性を演出する。もちろん、シルエットも独特で、508ではトーンダウンしたフロントの牙のようなLEDが、408では強調されている。
あまりないくらいテーパーのかかったガラスハウスも特徴的。切り立ったテールエンドと小ぶりなスポイラー、キラキラしたLEDテールライトも含め、408のルックスは際立ったものとなっている。
内装 ★★★★★★★★☆☆
たとえば競合モデルとなるメルセデスGLCクーペあたりから乗り換えても、408のヴィジュアルのインパクトやマテリアルの質感に雲泥の差というほどの開きはない。それどころか、プジョーはこのところレベルアップしている。この新たなファストバッククロスオーバーのコックピットは、よりプレミアムになろうとしているプジョーの努力が、ここ最近では一番うまくいっている。
巧みにデザインされたダッシュボードの上端に配置されたスリムな送風口や、GT仕様のトランスミッショントンネルは、ハイエンドのドイツ車並みの仕上げ。メーターパネルのディスプレイは、驚くほど説得力のある3D効果をみせ、タッチ式の画面とメニューパネル、トグルタイプの物理スイッチからなる3層の操作系は、興味深く洗練されたアプローチだ。すくなくとも、われわれは好意的にみている。
また、その個性を生かした音環境も備わる。高いウインドウラインやコンケーブ形状のダッシュボードは、キャビンに円形劇場のような雰囲気をもたらす。一般的には、GT専用モデルにみられる類いのものだ。複合的なテクスチャーを用いたフロントシートは広々して乗員を包み込むような形状。ドライバー&パッセンジャーシートパッケージを選べば、ヒーターとマッサージ機能も加わる。
本革巻きのステアリングホイールは、プジョー独自のiコックピットに特有の小径なもの。ガッチリしたリムはたやすく手の内に収まるが、もっとも低く下げても、メーターパネルの下端にかかってしまう。
後方視認性も限定的だが、これは奇妙なほど傾いたリアウインドウを採用した代償だ。全体的には、長距離走っても快適な空間だ。
小物入れや、後席レッグルームも良好。その点では508以上だ。ただし、408PHEVの荷室容量は471Lで、508SWの530Lに水を開けられている。
走り ★★★★★★☆☆☆☆
408のラインアップには、まだ508にあるようなプジョー・スポーツ・エンジニアリング仕様がない。そのため、もっとも速いバージョンは0-100km/hの公称タイムが7.8秒のハイブリッド225だ。今回のハイブリッド180は8.1秒だが、われわれが計測した0-97km/hタイムは8.2秒だった。まずまずのタイムだが、この速そうな見た目のクルマとしては特筆するほどではない。
48−113km/hのキックダウン加速は7.3秒で、これもそれほど速くはない。とはいえ、130psの3気筒のみを積むエントリーモデルのピュアテックとは異なり、オーバーテイクの妨げになるほど遅くもない。
公道上における408のパフォーマンスは、おそらく客観的な数字より性格のほうが重要だろう。また、デフォルトのハイブリッドモードであれば、おおむねいい感じだ。8速ギアボックスがときどきギア選択でバタついたり、クルマの頭脳が予期しないエンジンとモーターのコンビネーションをもたらしたりすることもある。
しかし、全体的に見ると、走り出しはまずモーターが太いトルクを発生して、満足できるキレのいいレスポンスをみせる。エンジンがそれに加わるにつれ、加速はまずまずよく持続する。
スポーツモードを選ぶ必然性は薄い。シフトパドルを使いたいと思うことはおそらくない。かなり薄っぺらい感触で、フィールはパッとしない。トランスミッションが、手動操作に対して反応する時間も長い。
PHEVなので、408ハイブリッド180はEVとしても走行できる。また、ハイブリッドとスポーツの両モードでしか使えないが、回生ブレーキを強めるBモードも備える。111psのモーターに多くを望まなければ、EVとしての機能も、実測1746kgのクルマの割には上々だ。走りはスムースで洗練されたもの。フル充電で48~64kmくらいは走れる。
ただし、航続距離が100km近くあれば、PHEVとしてもっと魅力的な提案になるだろう。フワフワしたブレーキのペダルフィールもどうにかすれば、さらに状況はよくなるはずだ。
使い勝手
インフォテインメント
408室内のディテールの多くは、ステランティスの旧PSAブランドモデルとの共通点がみられる。インフォテインメントシステムもまた同様だ。10インチのタッチ式センター画面は大きく、ユーザーのフラストレーションは回避できるが、非常に魅力的だったり、いまどきのトレンドを感じさせたりするほどではない。
ソフトウェアは、ときどき遅れを見せるが、全体的にはシームレスに機能し、グラフィックは、2023年現在の新車としてはまずまず鮮明だ。音量調整はステアリングホイールの操作部だけでなく、実体ダイヤルも用意される。
プジョー最新のインテリアに施した多数のアップデートでは、画面下にスッキリ並べられたiトグルが含まれる。これはメディアプレーヤーや空調、スマートフォンのペアリングなどの使いやすいショートカットを提供してくれる。408は、Android AutoとApple CarPlayのどちらも使用できる。
ファミリーカーとしては、充電とデータ転送用のポートが充実している。USB−Cポートは前後席とも2口ずつある。12Vソケットは、前席と荷室に備わっている。
燈火類
最上位グレードにはフルマトリックスLEDヘッドライトがテストされている。ただし、今回はテストする機会がなかった。
ステアリングとペダル
ペダルはかなりセンター寄りだが、快適な操作を妨げるほどではない。しかし、クルーズコントロールを使ったあとには、ブレーキペダルが予想以上に左寄りだったことを思い出さなければならない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
もし、408にスタイリング以上の長所があるとすれば、驚くほど魅力的で磨かれたハンドリングだ。
とはいえ、これには説明が必要だ。このプジョーのファストバックには、LSDの類が一切用意されていない。また、パワートレインがエキサイティングなものでないことは、すでに触れたとおりだ。運動性が高そうに思わせる要素は、グッドイヤー・イーグルF1を履いていることくらいだ。にもかかわらず、走り志向のドライバーに訴えるものが多分にある。
まずそれに気づくのは、コーナーへの進入時だ。サスペンションの荷重がきちんとかかっていることを教える程度にはロールするが、それ以上にはならない。ステアリングレスポンスもうまく調整されていて、一貫したロールレートとの麗しいマッチングをみせる。フィードバックは限定的だが、手応えは増減する。
いっぽう、小径ステアリングホイールとセンターから切りはじめたところのクイックなレスポンスは、このクルマにそれらしくみせるようなバックアップのない、本来の俊敏なフィーリングをもたらす。しかし、日常的な速度域で運転する408オーナーは、もっと驚きを経験するだろう。
S字コーナーは指先の動き程度で走り抜け、そのプロセスに心から満足できる。グリップとバランスは求める以上によく、コーナリング中にスロットルでアジャストできそうな気配さえある。根底には、ホットハッチ的な性質が感じられるのだ。
濡れた路面では、唯一の大きな弱点が露呈する。トラクションだ。ジャンクションを速めの速度で抜けようとしたときや、タイトなコーナーの出口では、フロントアクスルがぎこちなく地面を引っ掻き回す。おとなしく走ることがメインのクルマでは、比較的小さな問題だが、注目には値する。508では低いボディが際立たせているだけで、運動性はほぼ同じだからだ。
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
408は大部分がゆったりしていて控えめだ。ほとんどの道を楽に走れて、高い速度域でも群を抜いた落ち着きぶりで、キャビンは快適に時を過ごせる。このクラスのクルマとしては、静粛性も上々だ。113km/h巡航で69dBAというのは、最近テストしたメルセデスGLC300と同等。シトロエンC5Xピュアテック180も同じ数値だったが、エンジン車でイコールならシトロエンのほうが多少静かにできている、といえるだろう。
明らかに、408におけるプジョーの空力関連の仕事は功を奏していて、ダウンサイジングユニットのガソリンエンジンは主張が控えめ。高負荷時にも、ノイズがよく抑えられている。EVモードでは、期待通り静かだ。
欠点を挙げるなら、セカンダリーライドだ。サスペンションが、粗い路面や轍、スピードバンプなどからの入力を吸収しきれないのだ。そういう状況ではとにかく過敏で、タイヤサイズを下げたいところだが、20インチタイヤばかりが悪いとはいえないかもしれない。扁平率45%と、いまどきでは厚めのサイドウォールを持つのだから。
驚くほど優れたハンドリングを実現するために、乗り心地を多少妥協したことには賛否両論あるだろう。しかし、このバランスが故意に作られたものだとしても、それが申し分なくうまくいっているとは言い難い。
購入と維持
PHEV仕様は、ガソリン仕様よりだいぶ高価なので、CO2排出量差によるメリットが小さく、パフォーマンス不足が我慢できるなら、ピュアテック130を検討する価値はある。
シトロエンC5Xとも比較するかもしれない。プジョーほど魅力を感じさせず、ドライビングが楽しくない、というのがこれまでの通例だが、このシトロエンはなかなかおもしろいクルマだ。乗り心地はもっと熟成され、同等仕様ならより安価だ。ただし、どちらのフランス車も、リセールはフォルクスワーゲングループなどのモデルに後れをとる。
408、それもPHEVが気に入ったなら、電気モーターのアシストが最低限でもツーリング燃費は14.9km/Lをマークする。航続距離は600kmほどに達する計算だ。充電の機会が確保できれば、公称燃費の76.0~95.7km/Lに近い、もしくはそれ以上の経済性を得られるはずだ。
郊外をおとなしく走ると、エレクトリックモードでの電費は5.8km/kWhで、65kmは走れることになる。もちろん、速度を上げればもっと短くなるだろう。
エンジンでの充電も可能だが、当然ながらその場合は経済性が落ちる。ツーリング中、燃費計の数字が9km/Lを切ることもあったが、これは充電量を確保するEセーブモードを選択し、エンジンが走行中にバッテリーを充電しようとした場合のことだ。
スペック
レイアウト
プラットフォームは、ステランティスが5億2000万ポンド(約946.4億円)を注ぎ込んだEMP2 V3。シトロエンC5XやDS4、ヴォグゾール・アストラ、また同等サイズのプジョーなどに広く用いられているものだ。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット的なメカニズム、リアがトーションビーム。横置きエンジンとギアボックス組み込み電気モーターによって、前輪を駆動する。前後重量配分は57:43だ。
エンジン
駆動方式:フロント横置き、前輪駆動
形式:直列4気筒1598ccターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:-
ボア×ストローク:φ77.0×85.8mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:DOHC4バルブ
エンジン最高出力:150ps/-rpm
エンジン最大トルク:25.4kg-m/-rpm
許容回転数:-rpm
ハイブリッドアシスト:永久磁石同期モーター駆動
モーター最高出力:111ps/-rpm
モーター最大トルク:32.6kg-m/-rpm
システム最高出力:180ps/6000rpm
システム最大トルク:36.8kg-m/1750rpm
馬力荷重比:106ps/t
トルク荷重比:21.7kg-m/t
エンジン比出力:94ps/L
ボディ/シャシー
全長:4687mm
ホイールベース:2787mm
オーバーハング(前):904mm
オーバーハング(後):996mm
全幅(ミラー含む):2070mm
全幅(両ドア開き):3650mm
全高:1478mm
全高:(テールゲート開き):2210mm
足元長さ(前席):最大1120mm
足元長さ(後席):730mm
座面~天井(前席):最大1030mm
座面~天井(後席):910mm
積載容量:471~1545L
構造:スティール・モノコック
車両重量:1696kg(公称値)/1746kg(実測値)
抗力係数:0.28
ホイール前・後:20in
タイヤ前・後:245/40 R20 99V
グッドイヤー・イーグルF1
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:8速AT
1速:5.07/7.7
2速:2.97/13.4
3速:1.95/20.3
4速:1.47/26.9
5速:1.12/32.0
6速:1.00/39.4
7速:0.81/48.8
8速:0.67/58.7
最終減速比:3.36:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
平均:13.4km/L
ツーリング:14.9km/L
動力性能計測時:6.4km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:76.0~95.7km/L
燃料タンク容量:40L
駆動用バッテリー:リチウムイオン・12.4/11.2kWh(総量/実用量)
現実的な航続距離(モーターのみ):64.4km
現実的な航続距離(エンジンのみ):538km
現実的な航続距離:608km
CO2排出量:26g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:トーションビーム/コイルスプリング
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.6回転
最小回転直径:11.1m
ブレーキ
前:-mm通気冷却式ディスク
後:-mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動、ダッシュボードにスイッチ配置
静粛性
アイドリング:44dBA
3速全開時:74dBA
48km/h走行時:60dBA
80km/h走行時:62dBA
113km/h走行時:69dBA
安全装備
ABS/EBD/EBA/APCBS/ESP/HSA/ISA/LKA/LPA
Euro N CAP:4つ星
乗員保護性能:成人76%/子供84%
歩行者保護性能:78%
安全補助装置性能:65%
発進加速
テスト条件:湿潤路面/気温16℃
0-30マイル/時(48km/h):3.3秒
0-40(64):4.7秒
0-50(80):6.3秒
0-60(97):8.2秒
0-70(113):10.6秒
0-80(129):13.6秒
0-90(145):17.0秒
0-100(161):21.4秒
0-110(177):27.0秒
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:142.7km/h)
0-1000m発進加速:29.5秒(到達速度:182.7km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
メルセデス・ベンツGLC300 AMGライン・プレミアムプラス(2023年)
テスト条件:乾燥路面/気温24℃
0-30マイル/時(48km/h):2.4秒
0-40(64):3.5秒
0-50(80):4.8秒
0-60(97):6.5秒
0-70(113):8.3秒
0-80(129):10.8秒
0-90(145):13.7秒
0-100(161):17.4秒
0-110(177):22.3秒
0-402m発進加速:15.0秒(到達速度:151.0km/h)
0-1000m発進加速:27.4秒(到達速度:191.8km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):2.5秒
30-50(48-80):3.0秒
40-60(64-97):3.5秒
50-70(80-113):4.2秒
60-80(97-129):5.4秒
70-90(113-145):6.5秒
80-100(129-161):7.9秒
90-110(145-177):10.0秒
制動距離
テスト条件:湿潤路面/気温16℃
30-0マイル/時(48km/h):11.1m
50-0マイル/時(64km/h):29.9m
70-0マイル/時(80km/h):57.5m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.37秒
ライバルの制動距離メルセデス・ベンツGLC300 AMGライン・プレミアムプラス(2023年)
テスト条件:乾燥路面/気温24℃
30-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):23.1m
70-0マイル/時(80km/h):45.5m
結論 ★★★★★★★★☆☆
押しの強さには賛否あるものの、プジョー408が新たな境地にあることは確かだ。結局、これはひとびとをSUVに駆り立てるような、車高の高さや実用的な雰囲気で売るクルマではない。
また、プジョー508やBMW3シリーズのような、昔ながらのスマートさを持つものでもない。すでに存在するプラットフォームとエンジンを用いるので、白紙から起こしたボディが必要となった、というのが408のプロジェクトである。楽勝だ。
しかしながら、同じようなクルマがあふれるファミリークロスオーバーカテゴリーの中で408は、ほかにないほどソウルフルなクルマだ。魅力的で丹念に作り込まれたキャビンと、驚くほどみごとなハンドリングも備わっている。
室内は広く、PHEVが生活環境にフィットするなら、適応しやすく効率的。さらには、直感的で運転しやすい。それでも、おかしなクセがないというわけではない。たとえばそれはiコックピットであり、ときどきパワートレインが見せるおかしな挙動だ。ライバルと比べて、もう少し安ければとも思う。
しかし、ライバルには408のような、シンプルに物欲を刺激するいくつかの要素が欠けている。なにより、地上高を引き上げた4ドアファストバックにポテンシャルがあるということを示す、408は好例だ。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーン408は奇妙だ。外観はクロスオーバー的な地上高だが、ドライビングポジションはかなりセダン的。どちらかと言えば、逆のほうが好まれるのではないだろうか。個人的には、もっと低いシルエットで、鼻先も荷室デッキも長いほうが好みだ。
マット・ソーンダースもしもスペースと現行プジョーのデザイン言語を同時に手に入れたいなら、もう少しだけ出費を増やして508のワゴンを選ぶ。PHEV仕様なら、スイスのアーミーナイフのように万能で、よくできたステアリングも備わるから。
オプション追加のアドバイス
個人ユーザーは、PHEVの利点を慎重に検討するべきだ。ガソリン単体の408ピュアテック130は価格が安く、まずまずの性能を備える。グレードは、アリュール・プレミアムを選べば、必要なものはすべて揃う。
改善してほしいポイント
・過敏なセカンダリーライトを和らげれば、もっと円熟味のあるクルマになるはずだ。
・ブレーキペダルのデッドスポットを改善してほしい。今のままでは、自信を持って操作できない。
・このシフトパドルはいらない。マニュアルシフトに対する、パワートレインのレスポンスが改善されないのであれば。
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