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ビッグワン発表から30周年!CB1300SFまで続く人気の秘訣を「初代」CB1000SFの構造から読み解く

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ビッグワン発表から30周年!CB1300SFまで続く人気の秘訣を「初代」CB1000SFの構造から読み解く

長年にわたり、ホンダビッグネイキッドの旗艦に君臨し続けるホンダ CB1300シリーズ。
2021年モデルでは「スロットルバイワイヤ」を採用。また、スポーツ/スタンダード/レインの3種に切り替え可能なライディングモード、トラクションコントロール、クルーズコントロールも搭載するなど電子制御機能が追加され、さらなる進化を遂げている。
今や人気のロングセラーシリーズとなったCB1300の源流は、1991年第29回東京モーターショーに登場した「プロジェクトBIG-1」のコンセプトから生まれたCB1000SF(スーパーフォア)だ。
「次代を担うホンダのネイキッド・ロードスポーツはどうあるべきか」を考え、「CBで育った日本のホンダファンの心を捉えてやまない、日本のフラッグシップモデルの実現」を目指した「プロジェクトBIG-1」発表からも30周年となる2021年。「初代BIG-1」ことCB1000SF初期型のディテールを振り返ることで、改めてホンダの考える大排気量ネイキッドの魅力に迫ってみたい。

*当記事は八重洲出版『PROJECT BIG-1 Honda CB1000-1300』の記事を編集・抜粋したものです。

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CB1000SF(SC30)のエンジン「威風堂々とした水冷4気筒」

80年代末から始まったネイキッドブームで、最初に主導権を握ったのはカワサキだった。そして空冷4気筒を搭載するゼファー3兄弟(400/750/1100)が好調なセールスを記録したことから、 一時「ネイキッドのエンジンは空冷」という図式ができそうになるが……。
水冷であることを少しも恥じることなく、むしろ水冷ならではの機能美が感じられる、威風堂々としたスタイルのBIG-1(ビッグワン)が1991年に発表されたことで、状況は一変。以後、ネイキッドのエンジンは何でもアリの時代に突入していくこととなったのである。
なおBIG-1ことCB1000SFの水冷4気筒エンジンはスポーツツアラーのCBR1000Fをベースとしているが、日常域での扱いやすさを高めるために吸排気系の刷新やPGM-IG点火システムの導入、ピストン形状の変更、バルブタイミングの見直し(オーバーラップと作用角が狭く、リフト量が少なくなった)、ミッションの6速→5速化などが行なわれている。
それでは、以下にCB1000SFの各部の特徴とこだわりを紹介していく。

キャブレターは扱いやすさを考慮し小径に

最高出力や最高速の向上を目指すのではなく、良好なスロットルレスポンスと低中速域における扱いやすさを追及した結果、キャブレターはCBR1000F用のVP87(38mm径)より4mmベンチュリー径が小さいVP45(34mm径)が採用された。いずれのキャブレターも負圧式で、製造はケーヒンが担当。
ボディ左側面に装着されたユニットはスロットル開度センサーで、ここで得た情報がイグナイターに送られると、イグナイターはエンジン回転数と併せて瞬時に演算処理を行ない、最適な点火時期(上死点前10~50度)でスパークプラグに火花を飛ばす。

エンジンマウントはまさかのアルミ削り出し

ネイキッドに限った話ではないが、スチールフレームのバイクではエンジンマウントプレートもスチールとするのが一般的。
だが質感を徹底追求したCB1000SFの場合は、この部分にカスタムパーツを思わせるアルミ削り出し素材を使用している。ちなみに、初期型では前側2点のみだったアルミ製プレートは、1994年型以降は後部マウントにも採用された。

CB1000SF(SC30)のメーター「質感を追求したアナログ2眼式」

カスタムパーツのようなアルミパネルに各種インジケーターランプが配置され、中央には水温計が備わっているものの、メーターまわりにはかつてのCB-Fシリーズを思わせる雰囲気がある。
フルスケール190km/h(輸出仕様は260km/h)のスピードメーターと9000回転からレッドゾーンが始まるタコメーターの外周には、質感を高めるステンレスリングを装着。
なお1994年のマイナーチェンジではスピードメーター内にサイドスタンド警告灯が追加され、同時に左側スイッチボックスにはハザードランプ用のオンオフ機構が備わるようになった。

CB1000SF(SC30)の燃料タンク「大容量と迫力を両立」

CB1000SFのデザインでもっとも力が注がれたのは、23Lもの大容量を誇るガソリンタンク。
ビッグバイクならではの美しさを表現するために「力を抜いた強靭な筋肉」をイメージし、周囲の部品を威圧することなく、内に秘めた十分な力と存在感をアピールすることを念頭に置いて造形された。
実際の製造時には、過去に例がない形状だったため、プレス成形とペイントの専用ラインを設定。ホワイト×レッドカラーは当初は塗り分けがうまくいかなかったが、2色が溶け込まない塗料を開発して問題を解決した。

CB1000SF(SC30)のテールカウル「ボリューム感を強調する跳ね」

大型かつ四角いテールランプ(バルブは2灯式)を採用したリヤまわりにも、かつてのCB-FシリーズやCB1100Rを思わせる雰囲気があるが、CB1000SFではスポーティな躍動感を表現するために、テールカウル全体を跳ね上がり気味のフォルムとし(開発途中ではもっと跳ね上がっていた)、後方から見たセクシーさとボリューム感の強調にこだわった。
一方、燃料タンクとテールカウルの間に位置する逆三角形のサイドカバーは、あえてプレーンな面構成とすることで、マシン全体のバランスを取っている。

CB1000SF(SC30)の車体構造「走行性能と美しさの両立」

初めて「ネイキッド」を意識して製作した1989年型CB-1では、ダウンチューブを持たないダイヤモンドタイプのフレームを採用したホンダだが、「プロジェクトBIG-1」から生まれたCB400SFとCB1000SFの両方では、オーソドックスなダブルクレードルフレームを採用。
開発時にはコンピュータ解析を用いてしなやかさと剛性のバランスを追求しつつ、見た目の美しさも重視した。

トップブリッジはヘアライン仕上げのアルミ製

ステアリングステムは、上下ともアルミ製。
ハンドルクランプを別体式としたトップブリッジは鋳造で製作されているが、上面にヘアライン加工が施されているため、削り出しのカスタムパーツのように見える。一方、鍛造で製作されたボトムブリッジは、締め付け用のピンチボルトを片側2本ずつとすることで、必要にして十分な剛性を確保している。

フロントフォークはRC30用ベースのクイックリリース式

当時のネイキッドでは珍しいインナーカートリッジとクイックリリース式アクスルホルダー(製法は鍛造+切削)を採用した43mm径のフロントフォークは、TT-F1/スーパーバイク用のホモロゲーションモデルとして限定販売されたRC30ことVFR750R用がベース。
初期型は調整機構なしだが、1994年型からはプリロードと伸び側ダンパーがアジャストできるようになった。
90年代初頭のロードスポーツのタイヤは、すで に前後17インチが主流となりつつあったが、CB1000SFはセクシー&ワイルドなスタイルを実現するために、あえて前後18インチを採用。
もっとも前後18インチと言ってもひと昔前とは異なり、サイズはかなり太めのフロント120/70R18、リヤ170/60R18。このタイヤと3本スポークのホイールは専用設計だ。

フロントブレーキキャリパーはCBR900RRと共通

フロントブレーキに採用されたニッシン製の4ピストンキャリパーは、CB1000SFと同年にデビューしたCBR900RRと同じパーツで、ディスクは当時のホンダ車ではもっとも外径が大きい310mm。
ブームが始まったころのネイキッドには「この分野にはどの程度の運動性が必要なのか」という、メーカーの迷いが少なからず感じられたものだが、CB1000SFにはそれはほとんどなかったようだ。

極太スイングアーム+リザーバータンク付きショック

豪華なフロントに負けず劣らず、足まわりはリヤも迫力満点。
90mm×40mmのアルミスイングアームは、メイン部に昨今ではめったに使われなくなった押し出し材を用い、バフ研磨後にアルマイト処理が行なわれたもの。
リザーバータンク付きのショーワ製リヤショックの調整機構はプリロードのみだが、1994年型から圧縮/伸び側のダンパーアジャスターが追加された。

アルミ鍛造のタンデムステップホルダー

現代の目で見れば取るに足らない要素かもしれないが、別体式のタンデムステップブラケットを質感の高いアルミ製としたうえで、そのブラケットをフレームにボルト留めとしたのも、当時のネイキッドとしては画期的。
このころのタンデムステップは、メイン部と共用の大型ブラケットに装着されるか、 フレームに溶接されたブラケットに装着されることが多かったのだ。
後に登場するビッグネイキッド、ヤマハXJR1200やスズキGSF1200、カワサキZRX1100などは、CB1000SFのスタイルを踏襲している。

CB1000SF(SC30)のマフラー「カスタムパーツを思わせる4into1式」

エキゾーストシステムは、1/2番気筒と3/4番気筒の排気管が先に集合する4-2-1式で、継ぎ目を持たないインパクト成形後にヘアライン処理が行なわれたアルミサイレンサー(開発段階では初代CB400SFのようなメガホンスタイルも検討された)。
その手前には、消音効果を高めると共にトルク増強に貢献する容量2.5Lのプリチャンバーが設置されている。

ホンダ CB1000SFの主要諸元(1992年発売当時)

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:77.0mm×53.6mm 総排気量:998cc 最高出力:93ps/8500rpm 最大トルク:8.6kgm/6000rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:2220 全幅:785 全高:1130 ホイールベース:1540 シート高800(各mm) タイヤサイズ:F120/70R18 R170/60R18 車両重量:260kg(乾燥重量235kg) 燃料タンク容量:23L
[車体色]
ホワイト×レッド、ブラック×グレーメタリック
[価格]
92万円(1992年発売当時)

レポート●中村友彦 写真●八重洲出版/ホンダ 編集●上野茂岐

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みんなのコメント

2件
  • 新車で買って乗ってたけどデカかったなぁ
    でもゼファー1100なんかよりずっと軽くて
    乗り出すと軽くてブレーキも不安なくて
    意のままに動いてくれるし
    押し歩きも楽だった
    航続距離もバカみたいに長かった
    今そのままのデザインで85%のサイズで発売されたら
    速攻買います
  • エンジンにダミーでもフィンがあって欲しい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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