10月27日、WRC世界ラリー選手権第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー』はデイ2のSS3~8が行われ、初日4番手につけていたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に浮上した。23歳の“現チャンピオン”とドライバーズタイトルを争うTOYOTA GAZOO Racing WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、チームメイトとの間にティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)を挟み総合3番手につけている。同じくTGR-WRTの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合5番手だ。
前日の26日(木)にチェコの首都プラハで開幕したWRC初開催イベントであるセントラル・ヨーロピアン・ラリー。ふたつのスーパーSSを経て総合4番手で競技2日目となる27日(金)のデイ2を迎えたポイントリーダーのロバンペラは、この日設定された計6つのSSのうち半数以上の4本でベストタイムをマークする力走を見せた。
最高の一日から暗転、「ブレーキングでリヤを失った」/2023年WRC第12戦CER デイ2後コメント
今大会で僚友のエバンスに対するドライバーズポイントのギャップを広げることができれば最終戦『ラリージャパン』を待たずに、2年連続ワールドチャンピオン獲得を決めることができる“フライング・フィン”は、前夜からの雨で路面が濡れ、さらに落葉の影響で滑りやすくなっているチェコのターマック(舗装路)ステージで持ち前のスピードを発揮する。彼はデイ2のオープニングとなったSS3で幸先よくベストタイムを刻み、総合4番手から2番手に順位を挙げると勢いそのままに午前中の3本で連続ステージウイン。SS4終了時点で前日の首位ヌービルを交わして総合トップに浮上した。
他を寄せ付けない圧倒的なスピードであっという間に29秒ものギャップを築いたロバンペラは、午後も安定した速さを維持しステージ3番手、1番手、2番手で再走ループを走破。今大会最長121.80kmの競技区間で争われたデイ2を終えた段階で、後続車を36.4秒引き離している。
「今日は非常にトリッキーだった」とロバンペラは走行後に語った。
「幸運なことに今回はスタート順に対して天候が味方してくれた。(ラリーカーが走れば走るだけ路面が汚れていくため)最初のクルマで良かったよ。満足のいく一日だった」
逆転戴冠のためにはロバンペラとのポイント差を詰め30ポイント未満にしなければならないエバンスも、ウエットコンディションのなかで好ペースを発揮したがチームメイトの速さに太刀打ちできなかった。
ウェールズ出身のドライバーはタイヤフィッティング直前のSS5でヌービルを逆転し総合2番手に浮上した後、午後のSS6ではステージウインも飾った。しかし続くSS7と一日の最後に行われたSS8では、いずれもヒョンデのエースに先行を許し3番手に後退。ヌービルと10.8秒差、首位に立つロバンペラとは47.2秒という大きなタイム差ができている。
■ラッピ、2戦連続でクラッシュ
そんなエバンスから43秒の後れを取ったオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)は総合4番手。さらに大きなギャップを開けて5番手に勝田が続き、9.1秒後方の6番手に通算8度のチャンピオン経験を持つセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がつけた。
ミュンヘン在住のオジエによる“ホーム”での勝利の望みは、SS3でのタイムロスによって早々に打ち砕かれた。オジエは今朝の1本目のステージで右フロントのホイールにダメージを負って約40秒のタイムを失ったのだ。また、このアクシデントで3番手から10番手に順位を下げた彼は予備のタイヤを1本しか積んでいなかっため、その後の5つのステージでリスクを負うこともできなかった。それでも一日の最後には8番手から6番手へと順位を上げ、困難な一日を終えている。
SS8でオジエに逆転を許したテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)は、ベテランのフランス人ドライバーから3.2秒遅れての総合7番手に。8番手にはMスポーツ・フォードWRTのグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)が続く。チームメイトのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)はSS8でコースオフがあり、その際にホイールにダメージを負って5分以上タイムを失った。これにより総合20番手に順位を落としている。
さらに大きなマシンダメージ負いリタイアとなったのは、エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)だ。彼はSS5のスタートから1.2km地点で、ブレーキング時にバランスを崩しコースオフ。マシン後方を大きく破損するクラッシュを喫した。幸いクルーは無事だったが、デイリタイアを余儀なくされている。
28日(土)のデイ3は、ドイツ南東部の都市パッサウに設置されているサービスパークを中心に午前中はオーストリアで2本、ドイツで1本のステージが行われる。午後はミッドデイサービスを経て同じステージをふたたび走る予定だ。計6本のステージの合計距離は109.50km、リエゾンを含めた一日の総走行距離は571.68kmとなっている。
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何をどうしたらあんなペースで走れるんだ?