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カーボンニュートラル! F1撤退! この先ホンダの「タイプR」はどうなる?

掲載 更新 39
カーボンニュートラル! F1撤退! この先ホンダの「タイプR」はどうなる?

 サーキットで本領を発揮するために誕生したのがタイプR

 ホンダのミッドシップ軽スポーツカー「S660」の生産終了が発表され、駆け込み需要により実質的な完売状態になったということが話題となっています。本質的にはスポーツカーというのはS660のように専用プラットフォームであるべきと考える人も多いでしょうし、もっといえば専用パワートレインを持っているべきなのかもしれません。

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 その意味ではホンダのラインアップにおいて純粋なスポーツカーといえるのは、完全に専用アーキテクチャに基づく「NSX」くらいでしょうか。とはいえ、ホンダのスポーツカーといえば初代NSXによって生まれた「タイプR」というキーワードを軸に考えるべきという意見もあるでしょう。

 初代NSXタイプRが誕生したのは1992年11月、当時の280馬力規制の影響もあってパワートレイン自体はファインチューンレベルですが、ボディやサスペンションのチューニングによってサーキットでのスポーツ走行を楽しめるように仕上がったモデルです。そのコンセプトをひと言でいえば「サーキットベスト」、スパルタンなことがタイプRという伝統は、この時点で明確になっていました。

 また、初代のNSXタイプRではエクステリアの差別化ポイントとして、ボディカラーには1965年にF1初優勝を果たしたマシン(ホンダRA272)をインスパイアした専用色「チャンピオンシップ・ホワイト」を設定。さらにフロントに赤色のホンダ・エンブレムを採用しました。この2点は、以降のタイプRにおけるマストな装備として、ホンダのスポーツカースピリットを象徴するアイコンになっていきます。

 そんなタイプRが、ホンダのラインアップにおいて一般化した(多くの人の手が届く価格帯になった)のは1995年のことでした。同年8月、FFのスポーツクーペ/セダンモデルのインテグラにタイプRが初設定されたのです。

 その後、1997年8月にはシビックに初めてタイプRが設定されました。インテグラタイプRは1.8リッター、シビックタイプRは専用設計の1.6リッターエンジンを搭載。それぞれのカテゴリーでサーキットベストを目指したポテンシャルは、市販車ベースのモータースポーツでは最強のマシンとなっていきました。スポーツカーというよりは、モータースポーツで使える市販車といったキャラクターともいえました。

 走りの象徴タイプRはカーボンニュートラル時代には難しいのか

 しかし、それぞれ2代目になるとそうしたキャラクターは変貌します。

 2代目のインテグラタイプRは2001年7月、シビックタイプRは2001年10月に誕生していますが、いずれも基本的には同じ設計の2リッターエンジンを積み、シビックのほうはイギリスで生産するモデルとして、ちょっと洒落たスポーツハッチバックという風にキャラクターをシフトしていきました。また、同時期でいえば2002年5月にNSXにタイプRが復活していますが、正確にはNSX-Rという車名であってタイプRとは一線を画した商品企画という見方をされることもあります。

 その後はインテグラタイプRが消滅、2007年3月には国内生産のシビックタイプRが復活しました。4ドアボディとなったこのタイプRは、引き締めたシャシー性能に先代モデルをブラッシュアップした2リッターエンジンを搭載。サーキットベストというタイプRのコンセプトに立ち返ったスパルタンな走りを披露するモデルでした。2009年にホンダのピュアスポーツモデル「S2000」が生産終了したこともあり、シビックタイプRはホンダスポーツの象徴という風に位置づけられた面もあります。

 なお、この時期にはイギリスで生産されたシビックタイプR(欧州仕様)を日本に持ち込んだ「シビックタイプRユーロ」も存在していました。こちらはスポーツハッチバックというキャラクターで、国産のシビックタイプRほどゴリゴリのスポーツカーというイメージはありませんでした。

 その後、2015年10月に2リッターターボを積むシビックタイプRが「FF世界最速」を旗印に誕生します。このモデルの生産はイギリスで、世界最速を証明するステージはドイツ・ニュルブルクリンク旧コース。つまりライバルは世界だったのです。そしてサーキットベストというコンセプトは極められていきました。

 すでに完売状態の現行シビックタイプRの発売は2017年9月。その究極仕様といえる軽量バージョン「リミテッドエディション」は2020年10月にローンチされています。そのイエローのボディカラーは、過去のタイプRシリーズの伝統を感じさせるものでしたが、やはりタイプRといえば1965年のF1マシンRA272にルーツを持つチャンピオンシップ・ホワイトでしょう。

 しかし、この色をタイプRの象徴としてしまったということは、ホンダがタイプRを生み出すということはF1への関わりを連想させることになります。次期シビックにもタイプRは存在すると噂されていますが、ホンダが2021年をもってF1活動を終了すると宣言している状況において、タイプRを出すことの説得力があるかといえば疑問ではないでしょうか。

 一方で、ホビーとしてサーキット走行を楽しむユーザーは確実に増えています。その意味ではサーキットベストというタイプRのコンセプトを求める層は一定数いるでしょう。とはいえ、かつてのようにホンダ自身が市販車を使うモータースポーツ(シビックワンメイクレース)をサポートすることがなくなって久しいのも事実。

 そもそもパリ協定によって世界的にCO2排出量の削減を目指している時代で、なおかつホンダも2050年カーボンニュートラルを目標に技術リソースを集中しようとしているなかで、サーキットベストという揺るがぬコンセプトを持つタイプRの存在意義は問われる時代にはなっているといえそうです。

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みんなのコメント

39件
  • 悲しいけど初代NSXやDC2 EK9などのワクワクするような車を作ってたホンダはもういない

    正直時代の影響もあるし、企業としてはしょうがない面もあるが、s660まで終わってしまった
    NSXはアメ車になってトルクベクタリングが最悪だし
    FK8もイギリス…
    日本企業じゃないの?

    NBOXはいい車だけど、ほんとにそれでいいのかホンダ
  • タイプRはこの先どうなる?

    国内のニーズから外れた内容と価格になる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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