今年4月にアクティが生産終了となり、オリジナルの軽トラックはハイゼットとキャリイだけとなってしまったが、軽トラックは古くてもその魅力が褪せることはない!
今やファーストカーとして乗られるほど市民権を得ている軽トラック。そんな軽トラへの愛を伝えたくて仕方がない清水草一氏が、自身のハイゼットジャンボと現行軽トラック2台を乗り比べて、最新軽乗用車には及ばない点はあれど、それでもやっぱり「軽トラックが最高だ!!」という熱い思いをブチまけていく!!
世界に数台のモデルも! 買うにはそれなりの「覚悟」も必要?? レーシングカーの中古車情報 3選
画像ギャラリーでは注目の実用系パーツもご紹介!!!
※本稿は2021年9月のものです
文/清水草一、萩原文博(軽トラ中古事情)、写真/ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2021年10月10日号
[gallink]
■フェラーリにだって負けない!! 原始的な走りにLOVE
思わず「今日は天気が良くて農作業日和ですね」と声をかけたくなる壮観さ! 軽トラ軍団揃い踏みだ(最後尾は比較用のeKクロススペース)
今年、生まれて初めて軽トラを買って、その本能を直撃する原始的な走行フィールに衝撃を受けた! 軽トラだと、近所を走ってるだけでなぜか顔がニヤける。この楽しさはいったいナニ!?
ただ、私の軽トラは1990年式のハイゼットトラックジャンボ、しかも5MTだ。現代の軽トラはどうなのか、キャリイとハイゼットトラックの現行モデルと比べてみた。
すると、30年の時を超え、基本的にはそれほど変わってない! 撮影当日は気温35℃の猛暑につき、我がジャンボと現代の2台とでは、エアコンの効き(と内外装のボロさ)に大差があったが、走りそのものはそれほど大きく違わなかった!
かつては旧サンバーのような四輪独立懸架の軽トラもあったが、現在生産されているキャリイとハイゼットトラックは、我がジャンボと同じリアリーフリジットサスだ。私にとってリーフリジットの愛車は生まれて初めてで、これが猛烈に新鮮だった。
路面の凹凸は、左右の後輪が同時に「バス~ン!」と受け止める。空荷だと後ろが軽いから軽やかに跳ねる。これが軽トラの原始的な走行フィールの源泉となっている。
軽トラは空荷だと「バス~ン」「ボヨ~ン」と跳ねるが、それこそが軽トラの味と言える
と言っても、決して乗り心地がゴツゴツというわけではない。「軽トラ」という先入観を持って乗ると、あまりにもカイテキで拍子抜け! 我がジャンボはショックが抜けてるので「ボヨ~ン」という動きが大きいが、現代の2台はそこもしっかり吸収する。
エンジンも素晴らしい。現代の2台は、30年前に比べると車重が100kg以上重くなっているが、実用トルクやパワーが大幅にアップしているので、トルコンATでもスイスイ走る。
これでMTならその走りはスポーツカー的だろう。なにせ我がジャンボは、あのフェラーリを髣髴(ほうふつ)とさせるほどスポーティなのだから!
日々のお仕事に使うなら別だが、クルマ好きの趣味として軽トラに乗るなら、断然MTがお薦めだ。ATだとラクチンすぎて、何も感じないかもしれない。やっぱMTを駆使して、パワーをダイレクトにリーフリジットの後輪に伝えてこその軽トラだべ!
軽トラ車種別諸元表
■アイドリング&走行時でどうなる!? うるさくてもLOVE
騒音計を使用し車内での静粛性をチェック。最新の軽トラは「高級サルーン」と言えるくらい静か! エアコンも効くし、これ以上何を望む!?
軽トラに車内の静粛性を求める人もいないだろうが、静かなほうがカイテキなのは言うまでもない。我がジャンボは、たいてい窓全開ということもあり、走行中の会話は大声でないとムリ。クーラー(エアコンではない)を入れていると、アイドリングしているだけでも相当うるさい。
で、実際騒音を計測してみたところ、言うまでもなく我がジャンボが一番うるさかった。というより、現代の2台は信じられないほど静かなのだ。自分のから乗り換えると、「高級サルーンでは!?」と思うほど静かだ。
アイドリング時、より静かだったのはキャリイだったが、ハイゼットも決してうるさいとは感じない。そこから発進して40km/hで巡行すると、逆にハイゼットのほうがかなり静か。キャリイはコモリ音が室内に響いた。たまたまこの速度域で共鳴が発生するのかもしれない。
最後に比較のためにeKクロススペースに乗ってみると、ほとんど無音! なんだこの静かさは! 今の軽ってこんなにカイテキだったっけ!? でもこれって、比較して初めて感じるもので、現代の軽トラの静粛性は充分に高いと断言するぜ。
車内静寂性の比較
■どれだけ水がこぼれるのか!? こぼれてもLOVE
テストはベストカー編集部でおなじみの音羽ニュルで行った
新旧3台のリアリーフリジット軽トラを乗り心地チェック! ついでにeKクロススペースとも比較してみた。調査方法は、「ビーカーの水がどれくらいこぼれるか」。漫画『頭文字D』のテストですな。コースは編集部近くの「音羽ニュル」。波乗り舗装路を含んだ一般街路だ。
まずは自分のジャンボで走行。ソフトで乗り心地抜群の愛車だが、いざテストしてみるとかなりこぼれる。一番こぼれるのは波乗り部ではなく、交差点を曲がる時。曲がりながら凹凸を越えると、リーフリジットで斜めにハネてザバッとこぼれてしまう。体感的には乗り心地良好なんだけど。
続いて現行ハイゼット。サス形式は30年前と同じだが、しなやかさはかなりアップしていて、非常にフラット感が高い。ただ、やっぱり交差点でちょっとこぼれてしまいました。
写真のように揺れてビーカーからこぼれ出た水の量を計測した。同じリアリーフリジットを採用しているハイゼットとキャリイだが、乗り比べてみるとその差は体感できるほど大きく、あふれ出た水の量にも表れていた。しかし、独立懸架式恐るべし!
キャリイは新旧ハイゼットに比べると、リアサスの横剛性が明らかに弱く、縦揺れに横揺れが加わる。直線でも微妙に左右にヒョコヒョコしながら走るので、フラット感が乏しい乗り味だ。調査結果にもそれがしっかり反映され、交差点を曲がる時のこぼれ方は、我がジャンボとも大差なかった。
最後にeKクロススペースで走ってみたら、一滴もこぼれませんでした! 四独サスってこんなにイイの!?
でもまぁ、リーフリジットのヒョコヒョコ感あってこその軽トラだ。これが軽トラの美点だと断言するぜ!
水のこぼれた量
■MAX積載でどうなるのか!? 一生懸命でLOVE
やはり軽トラックは荷物を載せて走るのが本来の姿! ということでテストを実施。編集部員(60kg×2名、70kg×2名、90kg×1名の計350kg)が載(乗)っている。※テストは私有地で安全に配慮して行っています
軽トラの最大積載量は350kg。恥ずかしながらワタクシ、軽トラにちゃんと荷物を載せて走ったことがありません。それで今回、私有地内で350kgの荷物(人間)を積載し、ソロリと発進するテストを行いました。
まずは現行ハイゼットから。後輪がグッと沈み込み、後輪に荷重がかかっているのをビシビシ感じる。そのままゆっくりアクセルを踏んで発進。空荷より重いけど(あたりまえ)、ATなので発進はなんら問題なし。前後重量配分は良好なれど、速度を上げるにつれて重心の高さが気になる予感がする。
続いて我がジャンボでトライ。ふだんは使わない1速で発進。ううむ、さすがに最初のひと転がりが重い。スポーティなドライブフィールは完全に消失しそうだ。しかしこれが軽トラ本来の姿。こうやって一生懸命働く軽トラもステキだね!
(ここまでのTEXT/清水草一)
■もう新車じゃ買えない!! 軽トラ中古車事情
2021年7月、トヨタ、日野そしていすゞが展開している、商用車事業プロジェクト「コマーシャルジャパンパートナーシップ(CJP)」にスズキとダイハツが新たに参画することが発表された。
CJPは日野といすゞが培った商用車事業基盤にトヨタのCASE技術を組み合わせることで、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目標に立ち上げた取り組み。
ここに軽自動車を得意とするスズキとダイハツが加わったことで、協業体制を軽自動車まで拡大させ、いずれ軽商用車は統一されるはず。
軽商用車の新車部門において、現在スズキとダイハツが圧倒的なシェアを占めているのはご存知のとおり。
ホンダ アクティ(中古車価格:23万8000円~210万円)…2009年登場の最終型は、ホイールベースの短縮やタイヤの切れ角を広げるなど基本的なパッケージングを見直すことで、広いキャビンと軽No.1の小回り性能を実現(当時)。最低地上高185mmを確保し、リアには軽トラック唯一のけん引フックを標準装備するなど、使い勝手のよさが光る
軽トラックでは、スズキキャリイとダイハツハイゼットトラックがオリジナルで、キャリイはOEM供給され、日産NT-100トラック、三菱ミニキャブトラックとして販売。またハイゼットトラックはトヨタピクシストラック、スバルサンバートラックとして販売されている。
以前は、ホンダや三菱、スバルも自社開発していたが、ホンダアクティトラックは2021年4月に生産終了。三菱とスバルはOEM供給となり、バッジが異なるだけで、性能面では同じということになっている。
三菱 ミニキャブトラック(中古車価格:1万円~198万円)…1999年に登場したミニキャブトラックは三菱の自社開発。センターミドシップレイアウトを採用し、セミキャブスタイル&ロングホイールベースが特長。そして荷台幅を拡大し、積載性能を向上させている。エンジンは、高い燃費&環境性能を実現した新リーンバーンMVVという3気筒SOHCを全モデルに搭載している
では、中古車ではどうだろうか。2013年に登場した現行型キャリイの中古車は、約1536台流通していて、価格帯は約21.8万~約398万円と幅広く。250万円以上のクルマはキャンピングカー仕様となる。
一方2014年に登場したハイゼットトラックは、約1300台の中古車が流通していて、価格帯は約38万~約440万円。こちらも高価格帯の中古車はキャンピングカー仕様となる。
また、2009年~2021年まで販売されたホンダアクティトラックの最終モデルの中古車は約564台流通していて、価格帯は約23.8万~約210万円。
スバル サンバー(中古車価格:4万9000円~179万8000円)…1999年に登場したサンバートラックは、フルキャブボディの採用による、クラストップレベルのカーゴスペースの確保や、スペース効率と走行安定性に優れる軽トラック唯一のRRレイアウトが特長。搭載するエンジンは出力向上した4気筒を採用。新設計の4輪独立サスペンションにより、乗り心地と操縦安定性を両立
これらのモデルは最新のモデルが最も流通台数が多くなっているが、スバルサンバートラックはスバルが自社生産していた1999年~2012年までのモデルが約573台と最も多い。また三菱ミニキャブトラックも自社開発車だった1999年~2014年式が約390台と最も多くなっている。
OEM化によりベース車のひとり勝ちとなる一方で、中古車でしか手に入らない自社開発モデルはそれぞれの個性が際立ち、高い人気を維持していることがわかった。
(TEXT/萩原文博)
■まとめ:すべての道は軽トラに続く? 軽トラ愛の伝道
軽トラ愛がダダ漏れの清水草一氏。永年数々のクルマに乗ってきたライターがここまでメロメロになる魅力が軽トラにはあるのだ
世のクルマはおしなべて、ウルトラ快適かつラクチンになっている。あまりにも快適すぎて、体で感じる情報量が減っている。
その点軽トラは、情報量が実に豊富だ。まず、着座位置が前輪の真上ってのがイイ。ハンドルを切ると、タイヤの真上で「曲がり」を体感できるわけで、それだけでフツーの乗用車より情報量は豊かだ。もちろん路面の凹凸もダイレクトに伝わってくる。
これまで自分は、どっちかっていうと後輪に近いところに座るクルマに多く乗ってきたが、それより前輪に近いほうが『攻めてる』気がしないでもない!
そして、軽トラは軽い。現行モデルでも700kg台~800kg、我がジャンボは640kgしかない。軽さこそスポーティさの源泉。2WDなら後輪駆動だし!
しかもキャリイやハイゼットはキャブオーバータイプで、エンジンが座席の下(の少し後ろ)にある。つまりミドシップ。ただし空荷だとリアが軽い。前後重量配分は6:4くらいだ。
リアが軽いので、2WDだとタイヤが空転しやすいし、我がジャンボみたいにABSがついてないと、簡単にリアがロックしてブレーキングドリフト状態に。おー、なんてプリミティブでステキなんでしょう!
軽トラは本来、荷物を積むためのクルマだけど、ほかにこんなに軽くて安いミドシップの後輪駆動車なんてない! 走りを楽しむためだけに買う価値がある!
ただ、できればMTを選んでネ! そのほうがダイレクト感100倍増だから。
(まとめTEXT/清水草一)
【番外コラム】メーカー純正でもエンスー心をくすぐる個性派が多かった軽トラック
ダイハツ ハイゼットデッキバン
ハイゼットには1983年からロングキャビンの「ジャンボ」が設定されているが、ダブルピックアップの「デッキバン」も伝統のひとつ。どっちかっていうとハイゼットカーゴに近い気もするが、4人乗れる軽トラってスゲエ! スズキもジャンボに対抗して「スーパーキャリイ」を出したけど、デッキバンはダイハツだけ!
今や亡き三菱ミニキャブ(現在はキャリイのOEM化)には、泥濘地用の「4クローラー」が存在した。普段はタイヤで道を走り、悪路ではタイヤを外してクローラーを装着するという超マニアックなモデルだ。
三菱 ミニキャブトラック 4クローラー
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みんなのコメント
現在の規格に乗り換えたらものすごく広く感じたね。