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マンションだってEV充電できる!! EV充電可能なタワー式パーキングがぞくぞく誕生!!

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マンションだってEV充電できる!! EV充電可能なタワー式パーキングがぞくぞく誕生!!

 都心などの大都市圏でのEV普及の大きなネックの要因として、マンションなどのタワー式パーキングでの充電問題が指摘されている。しかし、それも今は昔。タワー式パーキングや、多段式パーキングでもEV充電が可能なシステムが開発され、実際に施工された例が増えているのだった。

文:梅木智晴(ベストカー編集委員)/写真:池之平昌信

マンションだってEV充電できる!! EV充電可能なタワー式パーキングがぞくぞく誕生!!

駐車パレットに200V充電ソケットを設置できるとは!!

車両を格納する駐車パレットに200V電源ソケットを設置することで、駐車中のEV充電を可能とするタワー式パーキングの施工例が増えてきた

 戸建て住宅ならば駐車スペースに200V電源を引けばよい。しかし、マンションなどのタワー式パーキングだと、充電環境を整えるのが難しい。大規模マンションなどでは平置きできる場所に普通充電設備を備えるケースも見るようになってきたが、台数に限りがあるし、一定時間が経過したら自分の駐車スペースに移動しなければならない。

 夜間、駐めている間に充電完了、というわけにはいかない。それに、非EVユーザーの住人にしてみれば、自分達にはなんのメリットもないことに共用スペースが使われ、さらに維持管理のために共益費が使われるとなれば、当然反発もあるだろう。

「実は、エレベータパーキングでもEVの充電、できるんです」。

 一般的にはタワー式パーキングなどと呼ばれる、パレット式パーキングの開発、施工のトップクラスのシェアを誇るIHI運搬機械株式会社の担当者は言う。昨年あたりから、実際の施工例も増えてきているという。

 車両を格納するパレットは、マンションなどの場合、契約ユーザーごとに番号などにより指定された、いわば「専用スペース」だ。

 パレット本体に200V普通充電用のコンセントを備えることでEV充電に対応させるというハード自体はそれほど難しいことではない。

EV充電対応のタワー式パーキングパレット。(1)200V電源ソケット。この位置と対角線上の反対側の2か所に設置される(2)これが電源ソケット部(3)充電ケーブルはこのようにセットする

 パレット本体は昇降機によって上下してタワー内の所定の位置に格納される。格納時にタワー側にある電気コネクターと結合して通電可能となる、という構造だ。このシステムであれば、全バレットに200Vコンセントを備えることが可能となる。

パレットにクルマを駐めたら充電用ケーブルをセットする。今回はIHI運搬機械沼津工場内の開発用施設で撮影したため、規定に則りヘルメットを着用している

 EVユーザーは帰宅したなら駐車場のパレットに愛車を入れ、普通充電用ケーブルをセットして格納すればいい。所定の場所に格納されれば通電して充電が開始される‥‥‥、のだが、ここで大問題が発生する。

充電時間をシェアする「輪番充電」で効率よく充電

 大規模マンションの駐車場ともなれば格納台数は100台以上にもなる。1台あたり4kVAの電力が必要なため、仮に全パレットをEV充電対応とした場合、大規模工場並みの電力を確保しなければならない。

 こうなると専用の電力設備が必要となり、電力会社との契約も特殊なものとなり、基本料金も高額となる。これを非EVユーザーの住人にも負担してもらうことになるとすれば、当然反発も生じる。

輪番充電のイメージ。タワー式パーキングの全パレットにEV充電対応ソケットを設置しながら、同時充電可能台数を4台に制限することで電源設備の容量を抑えるのだ(IHI運搬機械パンフレットより)

 そこでIHI運搬機械が提案するのが「輪番充電」なのだ。これこそが大規模マンションのタワー式パーキングのEV充電対応を現実的なものにするキモと言っていい。

 つまり、現実問題として収納全台数が同時期に一気に充電することはないでしょ? という考え方だ。仮に同時に充電するのを4台に制限すると、最大16kVA の電力量となり、通常電柱に来ている電力でカバーできる電力量になるのだという。これであれば電力会社と特別な契約は不要で、比較的安価に充電用電力を引くことができる。

 実際の運用では、例えば充電枠一枠あたり最大4時間などの制限をかけ、スマホのアプリで充電時間を予約し、その時間に対し課金をする。こうすれば使いもしない時間に空予約が入っていて使えないといった事態を抑止できるというわけだ。

 現実的なEVの使い方では、1日あたり20km程度の走行距離というユーザーが多いということが独自の調査結果からわかったという。となれば4時間程度の充電ができれば日々の使用には不便はない。

 この輪番充電が極めて現実的な方法だということがご理解いただけるだろう。大規模マンションなどの数百台規模の大型タワー式パーキングの場合、例えばシステムを何系統かに分割して1系統あたり同時充電4台というグループを作ることで、小電力量での対応が可能となる。

充電の予約はスマホアプリで管理する。予約時間で課金することで、無用な予約を抑制することが可能となる

 このタワー式パーキングに対し、比較的小規模な多段式パーキングでもEV充電が可能なタイプがすでに開発され、実際に施工されている。郊外型マンションなどによくみられるタイプの駐車場で、最下段が地下に潜り、地上部分は2~3段程度の多段式というタイプだ。

 こちらもタワー式同様、パレット本体に200V電源のソケットが設置されており、駐車中にEVの充電が可能。タワー式のように格納時にパレットが回転する構造ではないため、ソケットは後方に1か所で、結線され常時通電可能な状態となっている点が異なるが、実際に通電して充電をするのは予約による輪番式とすることも可能である。

こうした多段式パーキングでもEV充電対応型の施工例が増えているという

EV充電対応型の多段式パーキングの例。赤丸部が200V電源ソケットだ

ボディサイドに張り出す充電ケーブルの接続スペースがネックになる

 ところで、今回取材に乗って行ったアリアの全幅は1850mm。パレットはちょうど全幅1850mm対応なので、もちろん問題なく格納できる。

 ただし、ここが問題なのだが、右側フロントフェンダーにある200V普通充電用のリッドを開くと10cmほど張り出してしまう。さらに充電ケーブルの差し込み部(充電ガン)を差し込むとプラス2cmほど出っ張る車種もある。上から見ると、パレットのタイヤガイド側端からはみ出してしまうのだ。

車体側面に充電ソケットがある車種がほとんど。リッドを開いたときの張り出し、充電ガンを挿した際の張り出しが10~15cmあり、この分の余裕がパレット側にないと駐車中の充電をすることができない

 残念ながらこの状態ではセンサーが反応して安全装置が作動するためパレットを移動させるエレベーターは作動せず、所定位置に格納できないのだ。つまり、アリアだと車両自体は格納することが可能だが、格納中に充電することはできないのだ。

 そこでlHl運搬機械では、ワイドボディに対応した「グランシリーズ」を開発し、すでに施工例もあるとのこと。こちらならばアリアはもちろん、さらに全幅の広いベンツEQSやBMW iXでも格納中の充電が可能となる。大きな特徴として、パレットがフラットで中央部の凸がなく、また両端の折り曲げ部もないため出し入れ時にホイールを当てて傷つけてしまう心配がないというのも嬉しい。

充電リッドを開いた全幅が2300mmプラス145mmまで対応可能となるグランシリーズ。パレットには端の折り曲げ部の凸がないため、出し入れ時のタイヤ接触の心配がないのも嬉しい

 とはいえ痛し痒しでもある。タワー式にせよ多段式にせよ、こうしたパーキングはなるべく少ないスペースに効率よく格納することで、より多くのクルマを駐めることができるのだから、なるべく「キチキチ」に詰めて格納したい。グランシリーズは、ある程度スペースに余裕を作ることができるタワー式パーキングでないと採用が難しいという側面もある。

 例えば日産リーフやホンダeだと充電ソケットはフロントボンネット部にあるため、充電リッドを開き、充電ガンをセットしても車体横に張り出すことがないため幅狭パレットでも格納が可能。しかし、多くのEVが車体横に充電ソケットを備えるため、「全幅プラス15cm」程度の余裕が必要になるのだ。

 IHI運搬機械のタワー式パーキング開発担当者に聞くと、自動車メーカーでは充電リッドの開口時の寸法や、充電ガンをセットした際の張り出し量を公開していないため、実車による実寸計測をして対応しているのだという。充電ガンの形状もメーカーによってさまざまで、リッド部の深さやリッド内でのソケットの位置などが規格化されていないため、パレット側に固定した充電ケーブル&充電ガンを設置することもできないのだという。このあたり、今後のEV普及を目指すのであれば、世界的な規格化が必要だと感じた。

 まだまだクリアすべき課題はあるものの、こうして大規模マンションのタワー式パーキングでのEV充電は可能になりつつある。パーキング開発、施工企業だけではなく、自動車メーカーが協力することでタワー式パーキングでのEV充電設備の普及は格段に進められるはずだ。

こうしたタワー式パーキングでもEV充電が可能なのだ。今後さらに施工例が増えていくことになろう

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みんなのコメント

23件
  • 将来維持管理や更新費用で絶対揉めるやつ。
  • そんなモン出来て当たり前。
    別に技術的には簡単なもの。
    問題は利用料や初期投資費用をどっからどうやって回収するか?て、話。
    EV乗らない住人にのっけりゃ反対されるし、
    利用料金にのっけりゃ高くなって使わん。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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