フォード製2.3L 4気筒ターボを採用
英国の自動車メーカーであるアリエルは7月10日、新型のオフロードモデル「ノマド2」を発表した。11日に開幕するグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開の予定だ。
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先代のノマドを発展させたもので、2.3L 4気筒ターボガソリンエンジンを採用し、最高出力は309psに達する。英国価格は税込みで6万7992ポンド(約1400万円)から。発表前からすでに約80台の予約を受けていたという。
フィラーキャップとペダルボックス以外のほとんどすべての部品が先代モデルとは異なる。デザインはもちろんのこと、最大の変更点はパワートレインだ。
これまではホンダ製の2.4L 4気筒を使用してきたが、新型ではフォード製2.3Lに変更。基本スペックはホットハッチのフォーカスSTと同じだが、3種類のECUチューニングパターンが用意されている。
最もベーシックなもので最高出力263ps、最大トルク37.7kg-m。次いで最高出力306ps、最大トルク45.6kg-m。最も強力なもので最高出力309ps、最大トルク52.8kg-mを発生する。
トランスミッションはフォーカスSTと同じHパターン6速MTだが、オプションとしてシーケンシャル6速も用意する予定だ。
ホンダ製エンジンからフォード製に切り替えた主な理由は調達のしやすさにあるという。ただし、アリエル・アトム4に搭載されているシビック・タイプRのエンジンを変更する予定はない。
ノマド2の0-97km/h加速は3.4秒、最高速度は215km/hに達する。
288mm径のディスクブレーキとABSが標準装備される。トラクション・コントロールとスタビリティ・コントロールも搭載される。
使い勝手の良さと安定性、悪路走破性を追求
ノマド2は欧州連合(EU)の小規模生産(スモールシリーズ)向けの型式承認に適合しているため、欧州では年間1000台まで販売することができる。英国の個別車両承認制度であるIVAから解放された形だ。
骨格となるスペースフレーム・シャシーは、先代モデルよりも太いチューブで形成され、コックピットへのアクセス性を向上させるために主要なサイドメンバーの位置が変更されている。
新設計によりシャシー剛性は60%向上しているが、車両重量は「数%」しか増加しないという。
ボディサイズ等の正式な数値は、「クリスマス前」の納車開始前に発表される予定だが、暫定データでは標準重量680kgとなっている。
全輪独立ダブルウィッシュボーン・サスペンションにはアンチダイブのジオメトリーを採用し、長いサスペンショントラベルにもかかわらず安定性を高めている。
チーフエンジニアのジム・マッケイニー氏によれば、ノマド2は悪路でのソフトな乗り心地はそのままに、さらに速く走れるようになったという。
コックピットはおなじみのレイアウトで、複合素材のバケットシート、小型のデジタル計器、ブロック単位で明確に表示されたスイッチ類が配置されている。
現時点では、プロトタイプによりウェールズのラリー・テストコースで8000km以上を走行している。
「ノマド」はどうして生まれたのか
以下、アリエルのサイモン・サンダース取締役とのQ&A。
――先代のノマドはどのようにして生まれたのですか?
「アイデアの芽は、アトムを作って間もない頃に生まれました。米国のある男性から、サスペンションのトラベルを長くしたアトムを作れないかという電話をいただいたのです。どれくらいの長さが欲しいか尋ねたところ、『3フィート(90cm)くらい』と言われました。その段階ではお断りしましたが、ノマドのアイデアと原理はアトムにあったのです」
――他にノマドと似たようなクルマはあるでしょうか?
「(ランドローバーの)ディフェンダーからサンドカー、サイドバイサイド・バギー、ダカール・レーサーまで、さまざまなオフロード車を見て回りました。ですが、アトムと同じような原理を具現化したものはありません。アトムを親しみやすく使い勝手のいいレーシングカーと捉えるなら、オフロード用の似たようなクルマはなかったように思います。いずれも特殊な目的のために非常に極端な乗り物になりがちで、公道走行には向いていません」
――どのようなところにアリエルらしさがありますか?
「使い勝手がよく、公道でも快適で、楽しいものでなければなりません。アリエルは、ドライバーが楽しめるクルマを作るために『本格的な楽しさ』というスローガンを掲げています。AUTOCAR誌がラリーカーとノマドを対決させたところ、ノマドが勝ちましたね。本格的なクルマであると同時に、楽しいものでなければなりませんが、わたし達はそれを実現したのです」
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