NASCAR第22戦：シボレーの若手エリオット、シリーズ参戦99戦目で初優勝。トヨタが2～5位独占

　モンスターエナジーNASCARカップは8月5日、ニューヨーク州ワトキンス・グレン・インターナショナルで第22戦が行われ、チェイス・エリオット（シボレー・カマロZL1）がシリーズ参戦99戦目で悲願の初優勝を飾った。

　第22戦の舞台となったワトキンス・グレンはニューヨーク郊外にあるロードコース。オーバルコースを中心に争われているNASCARだが、年に3戦のみロードコースでのイベントがあり、この第22戦はその第2ラウンドにあたる。

　レースは20周、20周、50周の3ステージ合計90周で争われ、ポールシッターのデニー・ハムリン（トヨタ・カムリ）を先頭にレースはスタートした。

　ステージ1序盤はハムリンを交わしたカイル・ブッシュ（トヨタ・カムリ）がレースをリード。これをマーティン・トゥルーエクスJr.（トヨタ・カムリ）が追う展開となる。

　トップをひた走るカイル・ブッシュは3秒以上のリードを構築していたが、ステージ1終了間際の18周目にグリーンフラッグ下でピットインしたためトップから脱落。代わってトゥルーエクスJr.がトップチェッカーを受けた。

　ステージ1を制したトゥルーエクスJr.はステージ2までのインターバル中にピット作業を行ったため、ステージ2は12番手からのスタートに。先にピットを済ませていたカイル・ブッシュがふたたびトップに浮上した。

　ステージ2は、先と同じくカイル・ブッシュがリードを広げるかと思われたが、後方から追い上げてきたエリオットが徐々に背後へ迫ると、最終コーナーへの飛び込みでカイル・ブッシュのインを突いてオーバーテイク。そのまま逃げ切りステージ2を制した。

最終ステージ3へのインターバルで、エリオットはステイアウトしたためリーダーのままレース再開。そのスタートから約10周後の54周目に出されたイエローコーションで上位争いに変化が起きた。

　このイエローコーション中、各マシンがぞくぞくとピット作業を行うなか、ハムリンは左フロントタイヤを交換したクルーがピットウォールに戻る前に発進。ホイールガン用のホースを引きちぎってコースへ復帰したためペナルティを受けることに。

　同じく上位を争っていたカイル・ブッシュは予定給油量に達する前にピットアウトしてしまい、再度のピットインを余儀なくされ順位を落としている。

　レースは59周目、トップにエリオット、2番手オースティン・ディロン（シボレー・カマロZL1）、3番手カート・ブッシュ（フォード・フュージョン）、4番手にトゥルーエクスJr.といったオーダーで再開された。

　この残り31周という周回数は、給油なしで走りきれるぎりぎりのライン。そのため各ドライバーには燃料とも戦いながらのレースを繰り広げた。

　リスタートから間もなく前を走る2台を交わし2番手に浮上したトゥルーエクスJr.は、約2秒前方のエリオットを追い詰めていく。

　レース残り10周になると、トゥルーエクスJr.は首位エリオットの背後に迫り、2台はテール・トゥ・ノーズ。2台とも残りの燃料を気にかけながらのバトルを繰り広げた。

　2台のバトルはファイナルラップまで続いたが、チェッカーまでわずかのところでトゥルーエクスJr.の燃料がなくなり勝負あり。エリオットが、NASCAR殿堂入りを果たしている父ビル・エリオットと同じく、ロードコースでカップシリーズ初優勝を遂げた。

「なんて言えばいいか分からない。本当に興奮しているし、感情も高ぶっている。そして救われたような気分だ」とエリオット。

「これまで3年間（カップシリーズを）戦ってきたけど一度も勝つことができていなかった。今日は（初優勝の）絶好のチャンスだと思っていたし、それを現実にすることができた」

　ガス欠に見舞われたトゥルーエクスJr.はチェッカーまでマシンを運んで2位を奪取。3位にはカイル・ブッシュが続いたほか、4位にダニエル・スアレツ（トヨタ・カムリ）、5位にエリック・ジョーンズ（トヨタ・カムリ）が入り、トヨタは2～5位までを独占している。

　モンスターエナジーNASCARカップ第23戦は8月12日、ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。