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三菱はランエボだけじゃない! 本気すぎるコルト「ラリーアート・バージョンR」が与えた衝撃

掲載 更新 17
三菱はランエボだけじゃない! 本気すぎるコルト「ラリーアート・バージョンR」が与えた衝撃

軽快なハンドリングをドライバーにもたらしてくれた

 20代でも社会人なら頑張れば何とか新車で買え、免許取り立てでも扱いやすい性能とサイズで、人も荷物も乗せられて普段使いにも便利。そんなBセグメントのホットハッチは、いつの時代も若いクルマ好きの味方であり続けた。

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 が、2000年代前半は1990年代初頭のバブル経済崩壊、その後に起きたRV・ミニバンブームの余波を受けて、セダンやコンパクトカーにも高い居住性が求められた時代。さらに2002年の排ガス規制強化もあり、高性能なターボエンジンを搭載したホットハッチ、そしてスポーツカーは次々と生産終了の憂き目に遭った。

 そんななか、三菱もCセグメントカーである「ミラージュ」3ドアの実質的後継モデルとして、Bセグメント5ドアハッチバックの「コルト」を2002年11月に発売。高い居住性とスタイリッシュなデザインを兼ね備えるワンモーションフォルムを採用していたが、「ブーレイ顔」と呼ばれる富士山型のフロントグリルが不評だったこともあり、先行する初代トヨタ・ヴィッツや初代ホンダ・フィットにデビュー当初から苦戦を強いられている。

 だが、スポーツカー好きの視点で見ると、初代ヴィッツとフィットは当初スポーティモデルの設定がなく、またモデルライフ途中で追加されたものも特装車を除き、“ホットハッチ”と呼ぶにはいささか以上に役不足。特にトヨタは、ヴィッツの前身にあたるスターレットでは、ターボエンジンとMTを組み合わせたホットバージョンを長年にわたり設定していたため、より一層残念に思えたものだ。

 果たしてそんなスポーツカー好きの声に応えようとしたのかは定かではないが、三菱は2004年10月にコルトをマイナーチェンジした際、平成17年排出ガス基準50%低減レベルに適合する、新開発の4G15型・1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載したスポーティモデル「ラリーアート」を追加する。

 この時点の4G15のスペックは147ps/6000rpm&180N・m/2500rpmで、トランスミッションは6速マニュアルモード付きCVTのみとなっていたが、専用の15インチアルミホイール&高性能タイヤ、フロント15インチ&リヤ14インチのディスクブレーキ、フロントストラットタワーバーを標準装備。サスペンションと電動パワーステアリングも専用チューニングとして操縦安定性を高めるなど、見た目だけではなく中身もスポーティな仕様に仕上げていた。

 そして2006年5月、この「ラリーアート」をベースとしたホットバージョン「ラリーアート・バージョンR」が誕生する。

スポット溶接を打ち増しし操縦安定性を向上

 待望の5速MT車、それも高い耐久性を持つゲトラグ社製5速MTとZFザックス社製クラッチを搭載したモデルを設定するとともに、4G15型エンジンは排気系の見直しにより、154ps/6000rpm&210Nm/3500rpm(CVT車は180Nm/2500rpm)にまで性能アップした。

 足元には横浜ゴム社製の205/45R16 83Wハイグリップタイヤ、と7本スポークの16インチアルミホイール、欧州専用ターボモデルと同サイズのフロント15インチ&リヤ14インチディスクブレーキ、高摩擦材ブレーキパッド、専用チューニングのサスペンションを装着し、ステアリングのギヤ比もクイック化。ブレーキアシスト付きABSやEBD、5速MT車にはさらにASC(アクティブスタビリティコントロール)も採用している。

 そしてボディには、従来の約1.5倍にも及ぶ箇所へスポット溶接を増し打ち。さらに前後サスペンションの取付部およびDピラー周辺を重点的に補強することで、ボディのねじり剛性を約30%高め、操縦安定性をより一層向上させた。

 エクステリアも走り本位の設計で、フロントバンパー・グリル・ボンネットとも開口部を拡大・追加してエンジン冷却性能をアップ。タイヤサイズ拡大に合わせて前後にオーバーフェンダーを装着したほか、リヤバンパー下部をディフューザー形状としている。

 インテリアも、前席にスポーツシートを標準装備、レカロ社製セミバケットシートをオプション設定し、後席を3名掛けから2名掛けに変更。ランサーエボリューションシリーズと同様のシフトレバー・ケーブルやアルミプレート付きABCペダルを装着したのも、「バージョンR」ならではのポイントだろう。

 そんなコルトラリーアート・バージョンRの走りはまさに「ミニ・ランエボ」と言うべきもの。ごく低い回転域から余りあるトルクを生み出す4G15が5速MT車で1110kgの軽量ボディを力強く加速させ、それを大幅に固められたボディ・シャシーが余裕をもって受け止め、かつソリッドで軽快なハンドリングをドライバーにもたらしてくれる、三菱車らしい痛快な仕上がりだった。

限定モデルは再販希望が多数で200台も追加!

 2008年4月にはさらに、ドア開口部全てに「連続シーム溶接」と呼ばれる線状の溶接を施すことで、ボディの縦曲げ剛性を約10%向上させた「ラリーアート・バージョンRスペシャル」を追加。

 この連続シーム溶接は熟練工による手作業で行われたため、わずか300台の限定モデルとして設定されたのだが、販売終了後も多くの再販希望の声が上がったため、2010年1月にはさらに200台の追加生産・販売が発表されている。

 このように、2000年代においては国産車のみならず世界的に見ても希少な、ターボエンジンを搭載するBセグメントのホットハッチだったコルトラリーアート・バージョンRだが、2012年に現行6代目ミラージュと入れ替わる形で、惜しまれながらも生産を終了。

 現行4代目スズキ・スイフトスポーツが2017年9月に誕生するまで、ターボエンジンを搭載する国産のBセグメントホットハッチは5年もの間不在となった。

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みんなのコメント

17件
  • 三菱が本気になれば、スバルやマツダを凌ぐ高性能車は容易に作れるだけの技術は持っている。
    だが、PHVやEVの電動車に傾注する方針を示している以上、高性能ガソリン車への回帰はない。
  • コルトプラス ラリーアートに乗ってますが良い車ですよ。
    装備も充実してるし、走りも良いです。
    ただ、燃費が余り良くないのがたまにキズです。
    三菱の車は頑丈な所がよいです。
    以前はekで24万キロ乗り、今のコルトプラスは23万キロ走ってます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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