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【F1チームを支える人々/マクラーレン】ノリス担当から若手育成に転属。ドライバーが全幅の信頼を置くJ.M.ロペス

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【F1チームを支える人々/マクラーレン】ノリス担当から若手育成に転属。ドライバーが全幅の信頼を置くJ.M.ロペス

 F1チームには多数の人々が関わり、さまざまな職種が存在する。この連載では、普段は注目を浴びる機会が少ないチームメンバーに焦点を当て、その人物の果たす役割と人となりを紹介していく。今回は、マクラーレンのテスト責任者で若手育成も担当する、ホセ・マヌエル・ロペスに焦点を当てた。

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 F1ファンにとって最も声を認識しやすいチームメンバーのひとりは、レースエンジニアだろう。チーム無線を通して、走行中のドライバーは、レースエンジニアとコミュニケーションを取っているからだ。

 一般に公開される無線で、ドライバーと担当レースエンジニアの声を頻繁に聞くことで、このペアが強く連想されるようになる。そのため、無線で別の声が流れてくると、ファンは驚くかもしれない。

 マクラーレンのランド・ノリスのレースエンジニアはウィル・ジョセフだが、過去の一部のレースで、スペイン訛りの声が流れてきたのに気付いた人もいるだろう。それがノリスのパフォーマンスエンジニアを務めていたホセ・マヌエル・ロペスだ。

 今のF1では開催数が24戦と非常に多いため、チームがひとつの役割を複数のスタッフに交代で割り当てるという方法が取られている。マクラーレンのそういった意向によって、ロペスは2023年に何度かレースエンジニアの役割を果たした。

 ロペスは2020年シーズンからノリスのパフォーマンスエンジニアを務めた後、今年からテストと若手ドライバー育成の責任を担っている。彼の経歴をここで振り返ってみよう。

 マドリード工科大学で機械工学を学び、デルフト工科大学で学位を取得したロペスは、すぐにレースの世界に入った。フォーミュラ・ルノー2.0ユーロカップに出場するスペインを拠点とするチーム、エプシロン・エウスカディで働き、ジュニアエンジニアとして大きな経験を積み、修士課程を修了した。

 ジュニアレースのカテゴリーは、多くの才能あるエンジニアが経験を積む場所であり、ロペスも例外ではない。2011年にはより大規模な組織であるカーリンに移り、レースエンジニアとしてのスタートを切った。それと並行してシミュレーションエンジニアとしても働き、2014年シーズンにはチームのF3データエンジニアの責任者に就任した。

 2014年後半、ロペスはフォーミュラEのサポートもキャリアに加えた。マヒンドラ・レーシングチームがカーリンの支援を受けていたため、パフォーマンスエンジニアとしてブルーノ・セナとカルン・チャンドックをサポートしたのだ。

 ロペスがF1の世界に入るチャンスをつかんだのは、新チーム参戦という出来事があったからだ。2016年シーズンにグリッドに登場したハースで、チーム創設後の4年間、ロペスはパフォーマンスエンジニアとテストレースエンジニアを務め、最初はエステバン・グティエレスと、後にケビン・マグヌッセンと共に働いた。

 マグヌッセンは才能あるエンジニアであるロペスを非常に気に入っていて、2019年末にロペスがマクラーレンからのオファーを受けた際に、彼を心から褒め称えた。

「彼はそのチャンスに値する」と当時マグヌッセンは語った。

「信じられないほど優秀なエンジニアだ。彼の成功を心から願っている。彼が去るのは残念だけど、彼のような人物をつなぎとめるのは難しいだろうと常に感じていた」

 ハースからマクラーレンに移り、ロペスはノリスのリードパフォーマンスエンジニア兼テストレースエンジニアとなった。マグヌッセンからの高い評価を裏付けるように、マクラーレンは2023年、そして2024年初めに連続してロペスを昇進させ、F1テスト責任者の役職に就かせ、ドライバー育成プログラムにおける責任も担わせた。

 ポジションが変わったことによって、ロペスがグランプリ・ウイークエンドでファンの目に触れる機会は減ることになったが、若手ドライバーをサポートするための体制を整えるという仕事も任され、彼はチーム内で着実に昇進を果たしている。

 目覚ましいペースで進歩するロペスは、チーム代表アンドレア・ステラの下で正しい方向に進んでいるマクラーレンチームから、非常に高く評価されている。今はレースチームから一歩離れているが、今後数年間のうちに、ファンが彼の姿や声に触れる機会は増えてくるはずだ。

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