最近、国産SUVにもPHEV化の波が顕著になってきた。RAV4 PHEV、アウトランダーPHEVなど選択肢が増えてきたが、なかでもナンバーワンはどのモデルなのか。じっくりと検証してみた。
文/永田恵一、写真/ベストカー編集部
最近にわかに選択肢が増えたけど……国産PHEVのSUVナンバーワンって結局何なのよ!?
■国産のPHEV搭載SUV4台がエントリー!
2012年に登場した初代アウトランダーPHEV。長らく国産競合モデルはなかったのだが、現行型になってライバル車も登場するように
2012年に登場した先代アウトランダーPHEVが先駆車となったミドルSUVのプラグインハイブリッドカー市場は、なかなかフォロワー(後追い)が現れなかった。
しかし、2020年登場のRAV4 PHV(現在はPHEV)、2021年はPHEV専用車への移行という形での現行型アウトランダーのフルモデルチェンジ、昨年2022年にはハリアーとCX-60のPHEVが登場し、近年急速に選択肢が充実したジャンルになってきた。
という背景もあり、ここでは実父が2年前に買ったRAV4 PHVをしばらく乗っていた経験もある筆者が、前述した4台を項目ごとに10点満点で評価し、このジャンルのベストバイを考えてみた。
■トヨタRAV4 PHEV(563万3000円、現在はZグレードのみの設定)
RAV4 PHEV。環境性能だけでなく、スポーツカー並みの加速力を併せ持ったハイパフォーマンスSUVだ
バッテリー搭載量 18.1kWh
EV走行距離 95km
WLTC総合燃費 22.2km/L
システム出力 306ps
現行カムリでデビューし、最近ではFFベースが中心となったクラウンファミリーやレクサスNX、RXなども採用するようになったTNGA-Kプラットホームを使ったオーソドックスなミドルSUV。
トヨタ式の2.5L2モーターハイブリッド+後輪はモーター駆動の4WDとなるPHEV。プラグインハイブリッドカーの利便性はもちろん、フルパワーとなるシステム出力は306psへのパワーアップにより、0-100km/h加速が6.0秒というスポーツカー並みの速さを持つ。
さらに以前は補助金を使うとRAV4ハイブリッドの価格差が意外に少なかったこともあり、登場直後に受注停止となるほどの人気車となった。
■トヨタハリアーPHEV(620万円、Zグレードのみの設定)
ハリアーPHEV。RAV4 PHEVとは違い、ベースモデル同様に洗練された都会派SUVとしての佇まいを持っているのが特徴
バッテリー搭載量 18.1kWh
EV走行距離 93km
WLTC総合燃費 20.5km/L
システム出力 306馬力
RAV4に対し、「高級かつシティ派向け」というキャラクターを持つハリアーのプラグインハイブリッドで、PHEVも純エンジン車とハイブリッドのRAV4とハリアーの違い同様のキャラクターを持つ。プラグインハイブリッドのシステムはRAV4 PHEVと共通だ。
■三菱アウトランダー(484万1100~570万5700)
アウトランダーPHEV。現行型から先代で設定されていたガソリン車はなくなり、PHEV専用モデルとして登場した
バッテリー搭載量 20.0kWh
EV走行距離 83~87km
WLTC総合燃費 16.2~16.6km/L
システム出力 200ps台中盤
PHEVとしては2代目モデルとなるアウトランダーはプラグインハイブリッド専用車に移行し、三菱と日産のアライアンスもあって現行エクストレイルの兄弟車となった。プラグインハイブリッドのシステムはエンジン直結モード付2.4Lシリーズハイブリッド+後輪もモーター駆動となる4WDだ。
■マツダCX-60 PHEV(539万~626万4500円)
マツダのFRラージモデル第1弾として登場したCX-60。そのトップグレードとなるのがPHEVモデルだ
バッテリー搭載量 17.8kWh
EV走行距離 74km
WLTC総合燃費 14.6km/L
システム出力 323ps
CX-60はマツダが社運をかけて開発したラージと呼ばれるFRプラットフォームを使う、オーソドックスなミドルSUVである。プラグインハイブリッドのシステムは、日産が以前フーガやスカイラインに使っていた1モーター2クラッチに近いもので、プロペラシャフトがあるオーソドックスな4WDとなる。
■動力性能ではどれだ?
RAV4 PHEVの加速感はアクセルを深く踏み込むと、シームレスでエンジンの感覚が薄い独自のもの
システム出力306psというパワートレーンを搭載するRAV4とハリアーは、アクセルを深く踏むとシームレスかつエンジンの存在感が薄いという不思議な感覚のなか、スペックどおりのスポーツカーのような加速を味わえ、600万円級のクルマにふさわしい付加価値を持つ。
アウトランダーの絶対的な動力性能はシステム300ps以上の3台には及ばないが、それでも十二分であり、ハイブリッドシステムの違いによる電動感の強さとよりエンジンの存在感が薄いという特徴も持つ。
CX-60は絶対的な動力性能では4台のトップで、トルコンレスの8速ATというトランスミッションを持つこともあり、トランスミッションのない3台とは違ったタイプの爽快な加速感も楽しめる。
ただ、エンジン、モーター、トルコンレスATのマッチングがまだうまくいっていないせいなのか、ハイブリッドカー状態でギクシャク感を覚えることがあり、その点で減点した。
RAV4 PHEV 10点 ハリアーPHEV 10点 アウトランダー 8点 CX-60 PHEV 8点
■燃費&EV走行距離などはどうか?
燃費とEV走行距離についてはRAV4 PHEV&ハリアーPHEVには及ばず3位になったアウトランダーPHEV
これはRAV4以外詳細に燃費計測をしてことがないため、スペックの順とした。なお、冒頭に書いた実父のRAV4は満充電からのEV走行可能距離が70km少々、ハイブリッドカー状態での燃費は18km/Lといったところだ。
なお、RAV4とハリアーは急速充電機能がないため中継器を介したVtoH(住宅への給電)はできないが、100V電源からの1500W分の給電は可能だ。また、急速充電機能がないことで、急速充電インフラへの負担を減らしている点も見識のひとつと言える。
CX-60はハイブリッドカー状態での燃費が今ひとつなのに加え試乗した際、後から説明書を見てもアウトランダーでいう「電気を行き先や街乗りなどで使うために温存するセーブモード」に相当する走行モードが見つからず(RAV4とハリアーにはある)、この点はプラグインハイブリッドカーとして?マークだ。
RAV4 PHEV 10点 ハリアーPHEV 9点 アウトランダー 8点 CX-60 PHEV 7点
■ハンドリング&乗り心地はどうだ?
ハンドリング性能&乗り心地はアウトランダーが1位を獲得。三菱伝統の4WD性能も威力を発揮!
RAV4はアクティブなキャラクターどおり、軽快なハンドリングと固めながら不快感のない引き締まった乗り心地を両立。なお、これから新車でRAV4 PHEVを買う人にはあまり関係のないことだが、筆者は実父のクルマを含め最近まで18インチタイヤを履くRAV4 PHEVにしか乗ったことなく、18インチのRAV4 PHEVはハンドリングや乗り心地では純エンジン車やハイブリッドのRAV4のRAV4に届かない印象だった。
それが最近乗った19インチのRAV4 PHEV(現在は19インチが標準で、18インチへのインチダウンのメーカーオプションあり)は前述した好印象なので、RAV4 PHEVを買うなら新車、中古車ともに19インチ装着車がお薦めだ。
ハリアーは高級なキャラクターを反映しているのに加え、バッテリー搭載による重量増もいい方向に働いているのか、純エンジン車やハイブリッドのハリアーに対して乗り心地はより重厚感があって静粛性も向上と、高級SUVにふさわしい快適性を備える。
アウトランダーは20インチタイヤ装着車だと乗り心地にわずかな硬さを感じることはあるが、全体的には良好だ。さらにハンドリングは前後輪電動駆動となる4WDやグラベル、スノーなど4つの走行モードにより、雪道などの滑りやすい道でも安心感ある中運転を楽しめることを評価し、10点を付けた。
CX-60は乗り心地が高速道路などではそれほど問題ないが、街乗りペースや荒れた路面で時折「ギシッ」という音も伴う不快な硬さを感じる点と、ワインディングロードでは意外にロールが大きいことなどで7点とした。
RAV4 PHEV 8点 ハリアーPHEV 9点 アウトランダー 10点 CX-60 PHEV 7点
■好みの分かれるインテリアは?
高級感のあるCX-60のインテリア。車格に見合った上質感を備えている
RAV4 PHEVのインテリアはこのクラスとしては標準的なもので、純エンジン車とハイブリッドのRAV4にあるアドベンチャーのような明るい雰囲気のものがあるとなおいい。
残りの3台は、それぞれ600万円級のクルマにふさわしい高級感や華やかさ(アウトランダーとCX-60は上級グレードの場合)を備えている。
RAV4 PHEV 7点 ハリアーPHEV 9点 アウトランダー 8点 CX-60 PHEV 9点
■気になる居住性&ラゲッジスペースは?
CX-60はベースがFRということもあり、充分ではあるもののフロントミドシップ構造の採用で全幅の広さに対して狭い部分もあり
4台ともこのクラスのSUVとして充分な広さを備えているという前提で見ていくと、RAV4はソツがなく、ハリアーはクーペルックのエクステリアによりラゲッジスペースに荷物を満載に積むなら、ラゲッジスペースは3台に対しちょっと狭い。
アウトランダーは十二分な広さに加え、イザという時に便利な7人乗り3列シートの設定があることで10点を付けた。CX-60はFRのフロントミドシップ構造のため、1890mmと3台に対して全幅が広いわりにトランスミッションの張り出しにより前席横方向の足元空間が狭い点が気になる。
RAV4 PHEV 9点 ハリアーPHEV 8点 アウトランダー 10点 CX-60 PHEV 8点
■総合評価&まとめ
総合評価ナンバーワンはハリアーPHEVという結果に!
最終的な総合評価は次のとおりになった。
RAV4 PHEV 44点 ハリアーPHEV 45点 アウトランダー 44点 CX-60 PHEV 39点
CX-60以外の3台の総合評価は非常に拮抗したもので、それだけに選ぶ際には価格が主となる購入条件や使い方、重視するポイントによって自分に合ったものを選ぶといいだろう。
CX-60については可能性は感じるが、現状では熟成不足が目立ち、薦めにくいというのが率直なところで、今後の改良に期待したい。
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みんなのコメント
環境対応車に直線番長は不要。
太陽光発電パネルとV2Hと連携して自家用バッテリーとしる利点がEVにはある。
国のDP事業「再エネ電気を最大限活用するため、(中略)DERを活用した安定かつ効率的な電力システムの構築と、再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを目的とする。」は、電気自動車が参加出来るが、トヨタのPHVは最新型のプリウスのみというていたらく。
PHEVのライバル比較はアウトランダーPHEVとCX-60 PHEVのみで行うべきだ。
CASE時代に車をスタンドアロンでしか評価できない評論家だな。
個人的にはトヨタのこの2車では、足が弱すぎてSport Utility Vehicleとしても厳しい。
他メーカーは全部急速充電無い=V2Hの選択が出来ないんだから。
後、自己発電もちゃんと性能を明記してるしね。