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GT3カップを超えるアクティブエアロ ポルシェ 911 GT3 RSへ試乗 前例ないシリアスさ 後編

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GT3カップを超えるアクティブエアロ ポルシェ 911 GT3 RSへ試乗 前例ないシリアスさ 後編

スプリングレートはGT3の50%増し

今回ポルシェが設定してくれた試乗会では、通常の992型911 GT3を腕の立つインストラクターがドライブし、新しい911 GT3 RSを運転するジャーナリストが追走するというスタイルだった。テクニカルなシルバーストーン・サーキットで。

【画像】前例ないシリアスさ ポルシェ911 GT3 RS 競合するスポーツモデルと比較 GT3も 全151枚

先行するGT3は、後続の人の技術に合わせて速度を調整するつもりだったのかもしれない。だが実際は、濡れた高速コーナーでグリップ力やブレーキング時の安定性を保つことに苦労する様子を、観察することになった。

筆者が運転するGT3 RSが、比較的安定してアスファルトを掴み続けるのとは対象的なほど。最新のアクティブ・エアロの効果は大きい。

また今回は広く平滑なサーキットだったということもあり、公道での印象はお伝えできない。GT3でも既にスプリングレートは充分高いが、GT3 RSではさらに50%も引き締められている。乗り心地は褒めにくいのではないかと予想するが、それは後日だ。

少なくとも、普段乗りに対する妥協が1つはある。このGT3 RSには、フロントボンネットを開くと通常なら備わる荷室がないのだ。

ポルシェによると、アクティブエアロ・システムを搭載する都合上、エンジンの冷却系を一新する必要があったという。そのため、従来は荷室だった場所に大きなラジエターが固定されている。助手席後方のロールケージの間には、鞄を置けると思うが。

手元で瞬時に変更できるシャシー特性

足まわりでは、GT3 RS専用となるマルチアジャスタブル・アダプティブダンパーとアクティブLSDを搭載。独自チューニングのトラクション・コントロールにスタビリティ・コントロールも実装される。

ステアリングホイールのボスを取り囲むように、それらを調整するロータリーノブがレイアウトされ、ドライバーは走りながら任意にシャシー特性を変更できる。ドイツ・ヴァイザッハの技術者が手掛けた例としては、初めてといえる内容だろう。

そのノブを回すことで、アダプティブダンパーの圧縮時と伸長時の硬さを瞬時に調整可能。通常のGT3と同等のレベルにまで、柔らかくすることもできる。またアクティブLSDの設定も、加速と減速時の効きを手動で変えられる。

最初は、濡れたサーキットを高速で走行しながら、それらのノブを意識して回すことが複雑に感じられた。しかしメーター用モニターに操作内容が表示され、各ノブの中央のボタンを押しながら設定項目を選べるため、慣れると意外なほど簡単だった。

ドライバーがコーナリングラインを自在に調整したい場合は、トラクション・コントロールを弱め、圧縮時のダンパーを少し緩くし、減速時のLSDの効きを弱くすればいいだろう。縁石に乗り上げた時の安定性を高めたい場合も、ノブ1つで調整できる。

歴代モデルより遥かに高いシリアス度

最新のポルシェ911 GT3 RSは、明らかに歴代のモデルより遥かにシリアス度が高い。従来以上にサーキットへベクトルが向けられたマシンといえる。同時に、知的な技術を搭載することで、状況への順応幅もより広い。

雨のシルバーストーン・サーキットでも、素晴らしい能力を味わうことを許してくれたことが、それを証明している。濡れながら、GT3 RSは静かに強く輝いていた。これが晴れていればと、もどかしい気持ちにさせられた。

911 GT3 RSを運転するのに最適な条件の日に、ブレーキングポイントを削りながらタイトコーナーへ飛び込んでみたい。センセーショナルという言葉では表現しきれないほど、圧巻の走りを披露してくれるのだろう。

その事実を、自ら確かめられる時が待ち遠しい。具体的な評価も、その時までお預けとしよう。

ポルシェ911 GT3 RS(欧州仕様)のスペック

英国価格:17万8500ポンド(約2945万円)
全長:4572mm
全幅:1900mm
全高:1322mm
最高速度:296km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.9km/L
CO2排出量:305g/km
乾燥重量:1450kg
パワートレイン:水平対向6気筒3996cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:525ps/8500rpm
最大トルク:47.3kg-m/6300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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