今シーズンは厳しい戦いが続いてきたアストンマーティン勢。今季ここまでQ3に進出したのは、フェルナンド・アロンソが4回、ランス・ストロールが1回という状況だった。しかも前戦ベルギーGPでアストンマーティンは、予選下位2台を占めてしまうという体たらくであった。
しかし今回のハンガリーGP予選では、アロンソ5番手、ストロール6番手と躍進。しかもアロンソのタイムは、ポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)から僅か0.109秒遅れ。この1週間で天国と地獄のような違いだ……一体何が起きたのか?
当然のことながら、ネット上では「エイドリアン・ニューウェイが、AMR25に魔法の粉を振りかけたんだ!」という声が溢れた。しかしニューウェイは以前から、2026年マシンの開発に集中しており、今季マシンには関わっていないはずだ。
「正直に言って、コース特性の問題だと思う」
アロンソ今回の好調さについて、そう語った。
「7日前のスパ以来、マシンに大きな変更が加えられたわけじゃない。今回のレースには、新しいパーツはない」
「コースレイアウト、つまりコース特性が、どうやら僕らのマシンにぴったりと合っているようだ。なぜこのマシンがスイートスポットでうまく機能しているのかを理解するのは良いことだ。それを理解できれば、今後のレースでもそれを活かせるだろう」
ベルギーGPのフリー走行では、アロンソが新しいフロントウイングを評価。中~高レベルのダウンフォースが必要なサーキットでの採用を視野に入れていた。当時チーム代表のアンディ・コーウェルが説明したように、この新型フロントウイングは、フロア下やディフューザー、ビームウイングに向かう気流の質を改善し、全体的な効率を向上させるためのものだ。
今季のAMR25はストレートでの性能が著しく低く、フロントエンドのグリップが低くアンダーステア傾向であるにも関わらず、リヤタイヤの温度管理に優れているというわけでもなかった。エミリア・ロマーニャGPで初めて搭載され、その後イギリスGPでも再調整された新たなフロアを含む多くのアップデートは、この点の効率性を改善することを目的にしていた。
ハンガロリンクは、フルスロットルで走る区間がスパ・フランコルシャンよりも短く、アストンマーティンのような非効率なマシンにとって過酷なコンディションではない。だからこそアロンソは、今週末が変革の兆しになったと捉えることには消極的だ。
そしてアロンソのもうひとつの懸念は、今季のアストンマーティンは、特に決勝で後退する傾向にあるということである。
「正直に言って、日曜日のレースは難しいモノになるだろう」
そうアロンソは語った。
「スタート時と同じ順位でフィニッシュできればいい。夏休み前のチームのポイントを考えると、5位と6位になれれば素晴らしい成績で、それが最初の目標となるだろう」
「ただ後方には脅威があることを理解しておく必要がある。マックス(フェルスタッペン/レッドブル)が後方(8番手)からスタートするし、ルイス(ハミルトン/フェラーリ)も同様(12番手)だ。簡単な戦いにはならないだろう」
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