スーパースポーツのEV化が加速する
ポルシェの最新EV「タイカン」が日本上陸。テスラ「モデルS」対抗として、プレミアムEV市場が活性化してきた。
航続距離の短さなんてネガじゃない! ガソリン車じゃあり得ない電気自動車のメリット4つ
従来、EV(電気自動車)というと、環境にやさしく、ゆったり、おっとり、のんびりといったイメージを持つ人が多いはずだ。そのため、停止状態から100km/hまでの到達スピードは、2秒台だの3秒台だのといったハイパフォーマンス系EVに対して、ある種の違和感を持ち人がいても不思議ではないと思う。
ところが今後、フェラーリ、ランボルギーニなどもパワートレインの電動化が加速することは確実な情勢だ。なぜ、こうなってしまったのか?
もっとも大きな要因は「生き残るための必然」だ。日本では、2035年までに新車100%電動化を掲げるなど、世界的にクルマの電動化の義務化が進んでいる。
そうしたなかで、普通乗用車や軽自動車の場合、既存エンジンに発電機を兼用するモーターを搭載するマイルドハイブリッドや、トヨタハイブリッドシステムのようないわゆるストロングハイブリッド、また日産e-POWERのようにエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッド、そして外部からの充電も可能なプラグインハイブリッドなど、各メーカーの社内事情や主要な販売国などの要因から、さまざまな電動車を選択することになる。
このなかに、BEV(バッテリーEV)とも呼ばれる、内燃機関を併用しないEVが含まれるが、EVでは航続距離を稼ぐためには大型バッテリーを搭載するというのが現状だ。
こうした状況をスーパースポーツカーを中心に考えると、思い切ってフル電動化し、EVの本質であるパワー&トルクの制御を高度化し、内燃機関では実現できなかった加速感や四輪電子制御による圧倒的な走行パフォーマンスを追求しよう、というトレンドが生まれた。
ポルシェはフォルクスワーゲンのEV戦略の影響も
こうしたなかで、ボルシェがEV化を積極的に推進するのは、ワケがある。フォルクスワーゲングループは、2015年に発覚したディーゼル不正問題で世界市場でブランドに対する大きなダメージを負った。
そこからのV字回復をかなり意識し、2016年の中期経営計画で「EVシフト」を打ち出した。これに対して、多くの自動車メーカーからは「電動化は今後、段階的に進むが一気にEV化は時期尚早だ」という見方が強かった。
フォルクスワーゲングループとしては、EV化を進める上で大きな課題である車両のコスト削減のため、フォルクスワーゲン、アウディ、セアト、シュコダ、ランボルギーニ、ベントレー、そしてポルシェなどグループ傘下ブランドで量産効果を狙った電動化戦略を推し進めてきた。
そのなかで、ポルシェのEVでは800Vの高電圧化や、出力350kW(日本では150kW)の大出力型の急速充電システムを開発を急いだ。
こうしてポルシェを含むフォルクスワーゲングループのEV強化が進むなか、2010年代後半から2020年に入り、世界の経済界で、ESG投資(環境、社会性、ガバナンスを考慮した企業への投資)への注目が一気に高まり、自動車メーカー各社がEVの早期量産化を目指すという大きなトレンド変化が生じている。エコという概念が変わっていくなか、スーパースポーツEVの在り方も変わっていく。
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