新車値引き情報 [2023.06.26 UP]
X氏の値引き大作戦 狙うは新型ZR-V! 大苦戦の人気SUVは29.1万円引き
いま実用性で選ぶSUVはこの2台! ZR-V vs RAV4
強気のZR-Vに大苦戦 ホンダの敵は……ホンダだ 逆転! 逆転!! また逆転!!!
【プロローグ】 愛車のウェイクは購入して7年目に突入。こまめにメンテナンスしていることもあり、いまのところ故障もなく快調に走っています。
かつて俳優・玉山鉄二さんの「ドデカクつかおう。ウェイクだよ!」のCMで話題(?)となった車内空間の広さはもちろん、いまも健在。軽自動車とは思えない使い勝手の良さです。ちょっとオーバーウェイトですが、ターボ付きなので街乗りでは不満はありません。
しかし近頃、高速道路を走るとストレスを感じるようになってきました。遠出した時の疲労感は無視できないレベルです。
実際、妻が昨年末に購入したN-WGNを走らせてみると、その差を痛感! エンジンは実にパワフルで、アクセルを踏み込むとイメージ通りに加速してくれます。乗り心地も快適で、路面の凸凹をうまくいなしてくれます。静粛性と音響性能も高く、N-WGNで快適に走った後、ウェイクに戻って音楽を聴きながら走ると残念な気持ちになってしまいます(苦笑)。
正直、妻のクルマを運転する度に「ああ、新車に買い替えたい!」という、思いが強くなっていきました。
そして、ついに下の娘の大学卒業を機に決意しました。今回は軽自動車ではなく、流行のSUVを狙います。ただし、ガソリン価格の高騰を受け、走りや乗り心地だけでなく、燃費も重視。選考基準は「WLTCモード燃費が20km/ℓを超える」として候補を選びました。
【交渉1日目】 昨年後半、まずは日産へ出向く。応対してくれたのは体育会系のイケメン。住まいが同じ地区だったため、地元の話題で盛り上がる。
エクストレイルに試乗。ちょっとアクセルペダルに足を乗せただけでスムーズに動き出す。さらに踏み込むと低速域から気持ちよく加速してくれる。
「おおっ、これが噂のe-POWERか!」
我がウェイクはターボ付きではあるが、車重がけっこうあるためアクセルを踏んでもすぐには加速してくれない。エクストレイルは加速感に飢えている気持ちを強く刺激。購買意欲も加速する。同乗した妻も加速と乗り心地の良さに感動していた。
セ「エクストレイル、気に入っていただけましたか?」
X「とても気に入ったのですが、問題は支払い条件です」
提示してきた支払い総額は512万円。やっぱり500のラインを超えてしまった。
セ「決めてもらえるなら、頑張りますよ」
日産を後にして自宅に帰る車内でのこと。e-POWERの実力を体験して浮かれている私に妻が「クルマに500万円かけるって、どうなの?」
このひと言で我に返る(笑)。徐々に冷静さを取り戻していくと、妻のおっしゃる通り。電動とはいってもエンジンを搭載しているので、燃費も決して良いとはいえない。支払い総額を抑えるためにグレードや装備を下げるという手もあるが、それだときっと後悔するだろう。
【交渉2日目】 ホンダカーズA店へ。ここは妻のN-WGNを購入したお店で、いつ行っても店員さんが笑顔で出迎えてくれる。ちなみに、電話をすると、うちの番号が登録されているようで、こちらが名乗らなくても即座に「Xさん、いつもお世話になっています」と応えてくれる。“お客様ファースト”を実感させてくれるお店だ。
応対してくれたのはN-WGNから付き合っているセールスさん。関西弁まじりのトークでユーモアたっぷりのベテランだ。変な駆け引きをしない人なので、交渉もしやすい。
早速、ヴェゼルに試乗させてもらう。走り出しは軽快だが、先日試乗したエクストレイルのような力強い加速感はない。ただし、取り回しはよい。価格がリーズナブルでお財布にはありがたいが、電動シートのオプション設定がないなど装備面では物足りない。
試乗後、不満点を伝えると、
セ「Xさん、SUVをお考えなら、ニューモデルのZR-Vはどうですか? 発売は来年(2023年)春になりますが、すでに売り込みを開始しています。近々、実車が届くので試乗もできますよ」
カタログや動画を見せてもらうと、ボディデザインは私好み! 一気に興味が湧く。
年末は仕事とプライベートで忙しく、クルマ選びを中断することにした。
ミドルSUVは即座にアウト! 本命ZR-Vは値引きがアウト!!
【交渉3日目】 年が明けてだいぶ経ってしまったが、ようやく時間が取れるようになったので、クルマ選びを再開する。
価格的には問題があるが、やはりSUVといえば、ハリアーの存在を無視できない。
メーカーのホームページで納期の目処をチェックすると、なんと「1年以上」とのこと。いますぐ契約しても納車は2024年……現行モデルは2020年6月の発売なので、4年目に入ってしまうではないか。
我が家の駐車場にはサイズ的に厳しいし、価格的にも希望のグレードにすると、500万円を軽く超えてしまう。妻が難色を示すのは間違いなし。結局、今回は縁がなかったようだ。
一方、ここにきてZR-Vが急浮上。サイズ的にも価格的にも今回のクルマ選びに最適! という気がしてきた。
ホンダカーズA店に連絡して、妻のN-WGNの点検に合わせてZR-Vの試乗をお願いした。
店に到着すると、すぐさま担当セールスさんが出てきて「Xさん、お待ちしていました。試乗車の用意ができています!」。
ZR-Vを運転してみると、足回りが少し硬い感じがする。e:HEVは低速ではかなりモーター感があり、スムーズに加速していく。スポーツモードはさらに軽快で、軽く踏み込むだけで制限速度に達する。ハンドリングも優秀で、素人が運転しても操作性が優れていることがはっきりとわかる。電動パワーシートやBOSEサウンドシステムなど希望の装備が標準で付いているのも嬉しい。価格的にもリーズナブルで、これなら妻の賛成が得られそうだ。
ショールームに戻って商談開始。e:HEVのZグレードにドラレコとフロアマット、ナンバーフレームなどを付けて見積もりを出してもらった。ちなみにボディコーティングとメンテナンスパックを勧められたが、必要性を感じないし、できるだけ支払い総額を下げたいのでカットしてもらう。
このセールスさん、妻のN-WGNのときはいきなり大幅な値引きを出してくれたので、大いに期待する。ところが、見積もりに記載されていた値引き額はたったの10万円。
X「えっ、値引きはこれだけですか……軽自動車より厳しいじゃないですか……もっとやってくれますよね」
セ「発売前の新型車なので厳しいんです。上乗せするとしても、端数をカット(約6万円)するのが精一杯ですね」
1回目の商談で16万円引き。発売前の新型としては悪くないと思うが、X氏となったからには20万円以上を勝ち取りたい。「もう少し検討させてください」といって態度を保留した。
【交渉4日目】 マツダへ。CX-60をじっくり見せてもらった。エクステリアは最高にかっこいい。インテリアも上質だ。しかし、全幅が1890ミリで、我が家の駐車場には大きすぎる。排気量が3リッターを超えるため、維持費もかかりそう。
ともあれ、見積もりを出してもらうと、値引きは8万円。
セ「マツダは他社とは違って、大幅な値引きができません。CX-60はこれが限界です」
一気に購入意欲が減退。
ここで秘策を使うことにした。この販売店は「マツダ」の看板を掲げているが、実はサブディーラー的に他社のクルマも取り扱っている。実は、私がいま乗っているウェイクもこの店から購入しているのだ。その時はダイハツの正規ディーラーでは5万円止まりだった値引き額を「県外の販売店から仕入れる」という裏技を繰り出して、倍額の10万円引きにしてくれたので契約となった。
そこで、いまや本命に浮上してきたZR-Vに対象を変更して見積もりを依頼した。
セ「他社の見積もりはすぐには出せません。夕方まで待ってください」
今回も裏技を駆使してZR-Vから大幅な値引きを提示してくれるかも……期待が膨らむ。
夕方、再びマツダへ。
セ「すみません。ZR-Vは10万円引きしかできません。これ以上はどうやっても無理です」
20万円引きが飛び出すかも……と思っていたのだが、残念……。
激突! 馴染み店VS初見店 本社決裁で大団円と思いきや……
【交渉5日目】 気分はZR-V一択。こうなったら松本氏の指南に従って「ホンダはホンダをもって制す」を実践しよう。自宅からちょっと遠くなるが、ホンダカーズB店に出向く。先日商談したホンダカーズA店とは経営が異なるお店だ。あらかじめネットで商談予約をし、購入の意思表示をしておく。
ホンダカーズB店に乗り込むと、すぐに20代のセールスさんが応対してくれた。中年体型の私とは違い、スーツ姿が似合う清潔感のある若者だ。
X「狙いはZR-Vで、すでに近所のホンダカーズA店と商談しています。正直、ここのお店は我が家から遠いのですが、安くしてくれるなら購入するつもりで来ました。ぐずぐずしていると納期が遅れる一方なので、今週中に決めるつもりです」
セ「わかりました」
X「現在乗っているウェイクはいちおう査定してもらいますが、下取りに出すかどうかは約束できません。納車が近づいた時点で、買い取り専門店にも査定してもらい、しっかり比較して一番高く買ってくれる店に売却するつもりです」
セ「下取り車に関しては納車直前まで保留していただいてかまいません」
X「つまり、ホンダカーズA店とは“値引きの勝負”ということになりますよね」
セ「決めていただけるように頑張ります!
上司に相談してくるので、お待ちください」
しばらくして戻ってきた。提示してきた見積もりを見ると、肝心の値引き額の記載がない。
セ「今月中に決めてもらえればA店さんには負けない数字を出しますよ」
X「で、具体的には?」
セ「20万円から30万円はいけると思います。いま上司が不在なので、はっきりした数字は夕方、お電話でお知らせします」
X「20と30では全然違いますよ。10万円の差ですからね」
セ「もちろん30に近いほうと考えてください。頑張ります!」
X「期待しています」
いったん引き上げる。
正直、30という数字が飛び出すとは思っていなかったので半信半疑だ。話を進めても最後の最後になって「上司に30万円引きをお願いしたら怒られました」などといって20万円程度の値引きで話をまとめようとしてくるのではないだろうか……。
ともあれ、ホンダカーズA店の担当セールスさんに電話を入れてB店との経緯を伝える。
セ「えっ、ZR-Vでそこまでやりますか……うちは前回の数字(16万円引き)でも厳しいんです。今回も決めていただいて、奥さんのN-WGNと一緒にうちで面倒をみさせてもらいたいと思っていたのですが……」
X「無理をいってすみません」
セ「いやいや、かまいません。とりあえずB店の数字がはっきりしたら知らせてください」
セールスさんの反応から「ZR-Vから値引き20万円超」はかなり厳しい数字ということがひしひしと伝わってきた。もしも、同レベルの条件となったら、なじみのA店から購入したいという気持ちもあるのだが、それも難しそうだ。
夕方、ホンダカーズB店のセールスさんから電話が入る。
セ「Xさんにはぜひとも決めていただきたいので頑張りました。車両本体と付属品から27万円引きにします。これでお願いします! 月末だから出せた数字なので明日までに決めていただきたいです」
X「わかりました。頑張ってくれましたね。ただしA店さんとも商談を約束しているので、この場で決めることはできません。明日、かならずお返事します」
セ「わかりました!」
セールスさんの口ぶりからは「他店でこの数字が出せるわけがない。うちに決まりだ!」という、自信を感じた。私も残念ながらB店に内定という気持ちになっている。
平静を取り戻し、ホンダカーズA店に電話をする。しかし、B店を上回る数字を出すのは無理だろう……いや、同じ数字も厳しそうだ。「ギブアップ」といわれることを覚悟した。
ところが、予想外の展開となる。27万円引きを伝えると、
セ「Xさん、同じ値引き条件ならうちで買ってもらえますか? 約束してくれるなら本社に掛け合います!」
X「えっ、できるの?」
セ「正直、いままでZR-Vから20万円を超える値引きを出したことがありません。店舗の裁量ははるかに超えちゃってます。だから本社に決裁を求める必要があるんです」
X「う~ん……同じ数字なら先に出してくれたB店さんを優先しないと失礼ですよね。すみません、同じならB店から買うことになっちゃいます」
セ「そうですよね。わかりました。28万円引きならうちから買ってくれますか?」
X「はい、1万円でも上回ってくれるなら妻もお世話になっているので決めますよ」
セ「では、いったん電話を切ります。しばらくお待ちください」
10分後、A店から再び電話。
セ「すみません。結果からいうとダメでした。本社の上層部まで話をあげたのですが、ZR-Vは車両本体10万円引きが限度だそうです。付属品の割引をプラスしても、とても27万円引きにはなりません。ご期待に沿えず、申しわけありません」
最後はあっさり白旗でしたが、本社に掛け合って頑張ってくれたセールスさんにはただただ感謝、感謝、感謝!
【交渉6日目】 夕方、契約のためホンダカーズB店へ。もちろん最後のひと押しを仕掛けるつもりだ。
X「検討した結果、パドルライト(5万600円)を追加することにしました。これを含めていくらにしてくれますか? 納得がいけば、この場で契約します。ほら、今日はこうしてハンコを持ってきていますよ」
セ「わかりました。どうしても今日、契約をいただきたいので頑張ります……(電卓を叩きながら)……では、車両本体と付属品(合計22万2030円)から29万1130円引きにします。支払い総額は413万円です。これがぎりぎり限界です!」
おおっ、ダメもとで迫ったところ値引きが2万円もアップした。ここまでやってくれれば大満足。にっこり笑って契約。
なお、この時点ではエコカー減税の取り扱いがはっきりしていなかったため、環境性能割は9万5700円、自動車重量税は4万9200円となっているが、正式に決まれば減額される。自動車税は一応、5月分からが計上されているが、納期は未定(半年以上)とのこと。
ウェイクの下取り額は「現状100万円、納車時期には85万~90万円」とのこと。約束通り、「下取りに出すか、買い取り専門店に売却するか」は納車の時期がはっきり決まった時点で決めることができる。
購入データ
HONDA ZR-V
e:HEV Z
From静岡県
トータル値引き 29.1万円
値引き採点 5
当初は10万円引きだったが、経営の異なるホンダ2社の競合によって最終的に車両本体と付属品(22万2030円)から29万1130円引きまでアップした。値引き率は7%を超えている。
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