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4ドアのフェラーリか?──新型アルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ試乗記

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4ドアのフェラーリか?──新型アルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ試乗記

マイナーチェンジを受けたアルファロメオのセダン「ジュリア」のハイパフォーマンス・モデル「クアドリフォリオ」はどんなクルマか? 小川フミオが試乗した。

最大の美点は”官能性”

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“セダンの最高峰”と、いえるかもしれないのが、アルファロメオ「ジュリア」だ。セダンには、もちろん、ひとを乗せるとか、快適に移動できるとか、いろいろな”性能”が求められる。

ジュリアの場合、運転を楽しめるという点において突出している。アルファロメオというブランドへの憧れを感じているひとには、ぜひ試してもらいたい。失望しないはずだ。

2020年8月のマイナーチェンジでは、待望の純正ナビゲーションシステムを搭載するなどインフォテインメントシステムを刷新した。さらに運転支援システムもアップデートされ、たとえばACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、ハイウェイ走行時に車線中央を走行することを積極的にサポートするようになった。

アルファロメオというと、一時期はハッチバックのブランドのようになっていた。事実、ジュリア登場までの数年間はハッチバックの「ミト」と「ジュリエッタ」が主力モデルだった。

とはいえ、1990年代とそれ以前を振り返ってみると、すぐれたスポーツセダンやスポーツクーペで名を成したブランドである。いまのジュリアは、まさにアルファロメオのヘリティッジの正統な継承者(車)だと思う。最大の美点は”官能性”を意識させてくれることだ。

ファミリーむけセダンとはべつの顔がある

ジュリアは“4ドアのスポーツカー”といえるほど運転を楽しめるモデル。なので、前記のデジタル技術がどこまで必要なのか……個人的にはほとんど要らない気がするものの、一般的には、今回の装備充実で販売面での障害が取り除かれたそうだ。フェラーリにもACCがつく時代だからしかたないだろう。

とはいっても、今回試乗したクアドリフォリオで高速道路を安逸に”流して”いるだけで満足できるひとは、まずいないかもしれない。車名にある「クアドリフォリオ」(アルファロメオレーシングチームが1923年に使った幸運のシンボル四つ葉のクローバーのこと)は、ジュリアのなかでも特別なモデルを意味する。

通常のジュリア・シリーズが2.0リッター直列4気筒であるのに対して、クアドリフォリオは2.9リッターエンジン搭載。アルファロメオの日本法人であるFCAジャパンの言葉を借りると「ジュリアとステルヴィオの頂点に位置するハイパフォーマンスマシン」になる(SUVのステルヴィオにも設定がある)。

2891ccV型6気筒ターボエンジンは、375kW(510ps)の出力と600Nmのトルクでもって、後輪を駆動する。そのパワー感に加えて、超がつくほどシャープなハンドリングが身上なのだ。

全長4635mmのボディに、2820mmのロングホイールベースなので、後席もじゅうぶんに使えるセダンパッケージを持つ。もちろん、家族で乗るのもいいだろう。でも、クアドリフォリオには、ファミリーむけセダンとはべつの顔がある。

エンジンは“炸裂する”という言い方がもっともふさわしいようなパワフルさだ。6速が直結のギア比と、しっかりエンジンパワーを味わわせてくれる設定の8段オートマチック変速機を介しての駆動力は、強烈なダッシュを生み出す。

206kW(280ps)と400Nmの2.0リッター4気筒ターボエンジン搭載の「ヴェローチェ」も、かなりのスポーティさをもつモデルである。

それに対してクアドリフォリオは、さらにトルクが分厚いぶん、低回転域から高回転域にいたるまで、運転を楽しめる幅が広いのを特徴としている。

クルマ好きがクルマ好きのために作ったクルマ

はっきりいって「速すぎる」と思うぐらいだ。しかし操縦性も乗り心地も、それに遮音性もすぐれているため、速度感がとぼしい。速度計の確認を忘れないようにしないと危ない。運転免許があっというまになくなりかねない。

とりわけ、分厚いトルク・バンドの領域でエンジンをまわし、すばらしくダイレクトな操舵感覚を味わえるのが、「ダイナミック」というドライブモード(アルファロメオ的には「DNA」というドライブモードの「D」モード)を選ぶと、“4ドアのフェラーリ”といいたくなるようなはじけた加速感と、なんとも楽しいコーナリング感覚が堪能できる。

まさにこれこそ、1960年代に世のクルマ好きがとりこになったアルファロメオの再来なのだろう、と思うほど。ある種のタイムスリップした感覚を楽しめる。

かつてのBMW「3シリーズ」はこんなイメージのクルマだった。いまはハンドリングも(ジュリアに較べれば)マイルドになったので、クアドリフォリオ(1174万円)のライバルは「M3」(1324万円)、あるいはメルセデスAMG「C43 4MATIC」(995万円)、アウディ「RS5スポーツバック」(1340万円)などだろう。

手強い競合が揃うマーケットだ。ただしドイツ車はどれも速いけれど、ハンドリングなど安全マージンが高く、たとえ高性能モデルであっても、いってみれば”角”を丸めている。それがよくないわけではない。でも、ジュリアとのちがいが明確にそこにある。ドイツ車は(超)速いセダン、それに対してジュリアは、4ドアのスポーツカー。

ジュリアは、ドイツ車のようにハイパワーを4輪駆動システムで平和に吸収することもない。感覚的には、よりダイレクトで、ドライバ−がクルマと直結したように走れるフィーリングを前面に出している。それがクルマ好きを幸福な気分にしてくれる。このクルマには、クルマ好きがクルマ好きのために作ったという雰囲気がある。だからこそほかに類のないクルマとして成り立っているのだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

2件
  • 密かにルーフの材質がカーボンからアルミに変更されている。本来ならこれだけで数十万円の値下げだろう。車としてのパフォーマンスやフィーリングは最高なので、初期モデルでこだわった部分のコストダウンはわからない程度のものに抑えてほしいところだ。
  • ついにクァドリも5座になったのか。
    4座だからパスした人、少なくないと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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