この記事をまとめると
■オペル1900GTは、トヨタ2000GTに見間違えられるほど似ている
リトラクタブルが普通に見える! 変わり種ヘッドライトのクルマ8選
■横回転式ヘッドライトが1900GTの大きな特徴だ
■1900GTはアメリカにも輸出され「ベビー・コルベット」という愛称で親しまれた
トヨタの名車にそっくりな1900GTを振り返る
スーパーカーブーム真っ只中の1970年代。日本代表はトヨタ2000GTで、ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリBBと比べればフロントエンジンだし6気筒だし、いろいろ見劣りはしたけれど、「これには勝ってる!」といわれていた車種もあった。そのひとつがオペル1900GTだ。
見た目は似ているので間違える人もいたようだが、スペックは我らが2000GTのほうが上。たとえばエンジンはトヨタ2000GTが2リッター直列6気筒DOHCだったのに対して、オペル1900GTは1.9リッター4気筒SOHCだった。さらに、ヨーロッパには1.1リッターOHVまであった。
よって現地での車名はオペルGTであり、GT1900/GT1100という呼び方がされていたようだ。
プラットフォームも、専用設計のバックボーンフレームに前後ダブルウイッシュボーンのトヨタ2000GTに対し、オペルGTは当時の大衆車カデットのプラットフォームを使っていた。これは、日本でいすゞジェミニとして生産販売された世代のひとつ前のカデットだ。
スポーティなフォルムにあわせて、エンジンの搭載位置はフロントミッドシップとなっていたものの、フロントがダブルウイッシュボーン、リヤは3本のリンクで支持されたリジッドアクスルというサスペンション形式も同じだった。
ボディサイズは全長4115mm、全幅1580mm、全高1280mmと、長さと幅はトヨタ2000GTよりやや小柄である一方、背は明確に高く、ピュアスポーツというよりミニGT的なキャラクターだった。
リトラクタブル式ならぬ回転式ヘッドライトを装備していた
ちなみにヘッドライトは正確にはリトラクタブル式ではなく、左右ともにコクピットから見て左回転でランプが現れ、右回転で格納されるという回転式で、モーターやバキュームなどは用いず、センターコンソールのレバーで開閉する方式だった。
このように、我が国ではトヨタ2000GTと比較してしまいがちなオペルGTではあるが、海外では「ベビー・コルベット」と呼ばれることが多い。
考えてみれば、シボレーもオペルも同じGMグループだし、スタイリングは同じ1968年にデビューした3代目コルベットの初期型、通称アイアンバンパーに似ている。海外のメディアではコルベット同様、GMのコンセプトカー、マコ・シャークIIに影響を受けたという記述も多い。
ボディの架装は鉄道車両作りを本業とするフランスのブリッソノー・エ・ロッツという会社が担当していたが、まもなく同社が、現在欧州最大の鉄道車両・インフラ会社であるアルストムに吸収されたことで、自動車業界から撤退することになり、オペルGTの生産も1973年で終わった。
しかしながら生産台数は約10万台と、トヨタ2000GTとは比べ物にならないほど多かった。そのうち7割がアメリカに輸出されたそうで、ベビー・コルベットという愛称が与えられた理由がよくわかる。
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