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『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符

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『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符

 F1スペインGPが開催されたカタルニア・サーキットはこれまで、F1マシンのパフォーマンスを確認する上でうってつけなコースだとされてきた。しかし、多種多様なコースでカレンダーが組まれている今、それが正しいのかどうか、ドライバーから疑問の声が挙がっている。

 カタルニアはF1のテスト会場として長く使われてきたサーキットであり、過去30年間にわたってカレンダーにも組み込まれてきた。チームやドライバーにとっても馴染み深い場所であり、F1マシンのパフォーマンスを測るには良い場所だと言われている。

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 しかしその考えには賛同できないという人達もいる。今年、スペインGPで3位となったルイス・ハミルトン(メルセデス)が「結果を鵜呑みにしてはいけない」と語ったのも、その一部だ。実際、メルセデスは過去2シーズン、データも豊富に持つこのカタルニアで“偽りの夜明け”を迎えてきた。

 カタルニアは様々なタイプのコーナーが組み合わされていることから、マシンの各コーナーでのマシンハンドリングを高次元でバランスさせることがチームに求められる。そしてドライバーにとっては、タイヤマネジメントの面で厳しいサーキットだ。

 しかしF1が2022年に新たなグラウンドエフェクトカー時代に入ると、非常に異なるセットアップが必要になった。そして、コース自体も2023年から最終コーナー前のシケインが撤去されるなど変化。それだけではなく、今ではF1カレンダーに多くのストリートコースが組み込まれているなど、カタルニアを取り巻く状況には大きな変化がある。

 フェラーリのカルロス・サインツJr.は、今と昔でカタルニア・サーキットの位置づけも変わってきていると指摘した。

「バルセロナ(カタルニア)は昔から、『バルセロナで速ければどこでも速い』と言われているコースだった」

「僕はバルセロナのようなコースよりも、モナコやカナダのような場所がもっと多いことから、今のF1は変わってしまったと思っている」

「多くの縁石や縁石が加わったり、バンピーなレイアウトのコースが数多く追加されている。モナコ、シンガポール、カナダ、バクー、ラスベガス、メキシコなど、バルセロナとは似ていないコースがはるかに多い。前はもっとバルセロナのような欧州スタイルのコースが多かったと思う」

「バルセロナで良いマシンになっていてたとして、それは普通ならシルバーストンやハンガリー、スパなんかで良い車になることを意味していた。でもバルセロナで良いからと言って、バクーで良いとは限らないんだ」

 そして、2度のF1王者であるフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)も、サインツJr.のそういった考えに同意した。

「カルロスの言っていたように今や、バルセロナは他の4~5個のコースでどうなりそうかを理解する上で助けになるコースだ。他のタイプのコースもたくさんあるから、さほど興味深いコースではなくなっている」

 なおF1の開催カレンダーの内訳を見ると、2024年は24戦中の10戦でストリートスタイル(縁石利用と最大ダウンフォースレベルが求められるイモラとメキシコを含む)のコースで開催されている。割合で言うと4割で、2004年の2割からは大きく増えている。

 こうしたサインツJr.らの考えとは裏腹に、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は今でもカタルニア・サーキットが全体的なマシンの優劣を示すことにはつながっていると言う。

「たしかにストリートサーキットはどんどん増えていってる。でもここ(カタルニア)で速いということは、そのマシンが全体的に優れているということを示してもいる」

「ただ、カレンダーにおいては良かったり悪かったりする。奇妙なコースもいくつかあったりするからね」

 ただカタルニアで好成績を収められれば、オーストリア、イギリス、ハンガリー、ベルギー、オランダ、イタリアで成功が見えてくるという意見も、さほど明確なものではない。これはレッドブルも認めることであり、実際にはこれらの開催地もそれぞれが独自の特徴を持っている。

 レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハンはカタルニアについて「ここは比較的高速で、空力の感度が求められる」と語る。

「それから我々は(オーストリアで)海抜1000mにあり、3本の直線と3つの低速・高速コーナーを走る。そしてシルバーストンでは、ほとんどが(アクセル)全開だ」

「つまり、どのコースもそれぞれの課題があるということだ。そして我々がうまく仕事をすれば、競争力のあるマシンを手にすることができるだろう」

「他の人達はどうする? 我々はマシンコントロールには影響を与えられない。そして、彼らとは相対的な評価を受ける」

「そしてハンガリーでは再び、最大限のダウンフォースを求められる。その次はスパだ。おそらくジェッダ(サウジアラビア)のような場所以外では、最も薄い(空気抵抗の少ない)リヤウイングで走ることになる」

「これらは通常のレースだが、我々はダウンフォースを入れ替えて冷却も変えて行く。それこそ、モンツァの前の最大ダウンフォース仕様から最小ダウンフォース仕様というふうにね」

「まあ、問題ない。もし全て似たようなコースだとしても、楽しめると思う」

 バルセロナへの評価が疑問視されていることには、いくつか考慮すべき背景もある。例えば2026年からスペインGPはマドリードの市街地コースで開催される予定となっているが、それ以降もこのコースをカレンダーに残そうとしている現サーキット経営陣とアロンソの関係がうまくいっていない、という情報もあるのだ。

 もっとも、サインツJr.とアロンソの言い分は、ある面では正しいものでもある。最後のシケインをなくしたカタルニアは、マシンパフォーマンスをテストするのに十分ではないと言える。

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