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【F1第20戦無線レビュー(2)】アロンソ「なんて週末だ。きみたちのおかげだ!」7年ぶりの表彰台獲得に歓喜

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【F1第20戦無線レビュー(2)】アロンソ「なんて週末だ。きみたちのおかげだ!」7年ぶりの表彰台獲得に歓喜

 2021年F1第20戦カタールGPの後半、依然としてルイス・ハミルトンが首位を走り続けていた。そんななかレースの折り返しを過ぎると、3番手を走行中の僚友バルテリ・ボッタスが突然タイヤのパンクに見舞われ、その後も複数のマシンにパンクが発生した。カタールGP後半を無線とともに振り返る。

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【F1第20戦無線レビュー(1)】「楽しもう。少しギャップを縮めてみようよ」2番手維持のフェルスタッペンがチームに提案

 レースが後半に突入した29周目の時点で、首位は依然としてルイス・ハミルトン(メルセデス)、6秒5後ろにマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、さらに25秒後ろにバルテリ・ボッタス(メルセデス)、4番手セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)はさらに19秒遅れという状況だった。5番手にはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がつけ、6番手ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が7秒差を詰めようと必死に追う。

 しかし序盤13周目にタイヤを換えていたガスリーは、そろそろ2度目のピットインのタイミングが近づいていた。それに対し直接のライバルであるアルピーヌ勢は、アロンソが23周目、エステバン・オコンも24周目にピットインしたばかりだ。ガスリーの担当エンジニア、ピエール・アムランが、その状況を伝えた。

アムラン(→ガスリー):他はみんな、1ストップで行くぞ

 2ストップ作戦のアルファタウリは、完全に戦略を読み間違えていたようだ。それ以上にペースが伸びない。

 33周目、ボッタスがターン7で大きくコースオフを喫した。

ボッタス:パンクだ!

 左フロントタイヤのパンクに見舞われたボッタスは緊急ピットイン、14番手まで後退した。それを見て他のドライバーたちは一気に慎重な走りに切り替えた。アルファタウリ・ホンダの角田裕毅、ガスリーが次々に2度目のタイヤ交換へと向かう。

 そんななか、タイヤのことなどまったく気にせず飛ばしているのがアロンソだった。

カレル・ルース:バランスはどうだ? タイヤは?
アロンソ:すべて完璧だ!

ルース:ガスリーとのギャップは6秒8まで縮まった。ボッタスに引っかかったからね。でも問題ない。とにかく完走しよう。
アロンソ:了解した。ここからは楽しむよ。クルマは今日もすごくいい
ルース:わかった。エンジョイ!

フェルスタッペン:ボッタスはパンクなのか?
ジャンピエロ・ランビアーゼ:そうだ

 異次元の速さで周回を重ねる上位2台にも、気になる兆候が出ていた。

フェルスタッペン:振動が出てる

ハミルトン:フロントタイヤに少し振動だ

 3番手を快走していたペレスを、レッドブルは41周目にピットに入れ、ミディアムタイヤに換えさせた。これでペレスは7番手まで後退してしまう。

ペレス:なんで2ストップにしたんだ?
バード:それでいいんだ。表彰台、行けるぞ! 1ストップの連中は、必ず苦しくなるから

 しかしアロンソのペースは衰えず、オコンにハッパをかける余裕まで出ていた。

アロンソ:エステバンにライオンのように守り切れと言ってくれ

 直後にオコンはあっさり抜かれ6番手に後退したが、4番手ランド・ノリス(マクラーレン)も左フロントタイヤのパンクチャーに見舞われ、49周目に緊急ピットイン! アルピーヌはペレスを挟む形で、3、5番手体制を築いた。

 後方では13番手の角田がひとつでも順位を上げようと、ダニエル・リカルド(マクラーレン)に激しく迫っていた。担当エンジニアのトム・スタラードが、頻繁にリカルドに情報を送る。

スタラード(→リカルド):角田は3秒後ろだ

 ちなみにスタラードは角田のことをツノーダと、かなり癖のある呼び方をしている。

スタラード:ターン4と5の縁石に注意だ

スタラード:ツノーダが、コンマ9秒まで来た

 しかしチェッカー2周前の55周目にVSCが出たことで、リカルドはからくも逃げ切った。

 1回しかタイヤ交換していないアロンソは、ハードタイヤで34周を走り切ろうとしていた。

アロンソ:このまま行けるのか?
ルース:大丈夫のはずだが、左フロントに注意だ

 フェルスタッペンがファステスト狙いで、3回目のピットインに向かった。すかさず反応するハミルトン。

ハミルトン:ボックスか
ピーター・ボニントン:いや、あと1周しかない
ハミルトン:彼がボックスしたのかと訊いたんだ
ボニントン:そうだ

 フェルスタッペンは最終周でファステストを叩き出して一矢を報いたものの、ハミルトン完勝のレースだった。チェッカー直後のハミルトンの無線は、残り2戦に向けて強い決意を語るものだった。一方のレッドブル・ホンダ陣営も、7番手からの2位表彰台。さらにコンストラクターズ選手権ではポイント差を大きく縮めただけに、敗れた悔しさはさほど見せなかった。

ボニントン:P1だ。最高のドライビングだった。初めてのサーキットを完全制覇だ!
ハミルトン:素晴らしい仕事をしてくれたね!このまま攻め続けよう。僕らなら、できる!
トト・ウォルフ代表:最高だ、ルイス。このままサウジに行くぞ!

クリスチャン・ホーナー代表:ダメージを最小限に抑えたぞ
フェルスタッペン:楽しかったよ

 そして7年ぶりに表彰台に上がったアロンソは、喜びを爆発させた。

アロンソ:やったぞ!
ルース:最高だ!
アロンソ:なんて週末だったんだ。きみたちのおかげだ!(この結果が)来年のトレンドになることを期待してるよ
ルース:よくやった。運にも恵まれたけどね
アロンソ:7年も待ったんだぜ!

ジョシュ・ペケット:P5だ
オコン:ははは。このタイヤで、すごい運転だっただろ
ペケット:本当によくやった
オコン:ポイントをどっさり稼いだね。フェルナンドもすごかった。昨日から、すごい運転だった
ペケット:3位と5位、望みうる最高の結果だ

 対照的にアルファタウリ・ホンダは2台完走しながらノーポイントに終わった。

角田:(第1スティントの)ソフトは最悪だった
スピニ:リヤウイングに捨てバイザーが引っかかっていた。ダウンフォースが50ポイント少なかった。そのせいだ
角田:だとしても遅過ぎた。FP2はもっと速かった
スピニ:そうだね。十分に速くなかった

ガスリー:今日の結果は、まったく理解できないよ。最初から最後まで、ずっとプッシュし続けた。なのにどうして、こんなに遅かったんだ……。左フロントタイヤは、完全になくなってる
アムラン:わかった。チェックする。次で挽回だ
ガスリー:アロンソのペース、特に第1スティントの速さは、ショックだったよ。何であんなに速かったんだ

 前戦まで選手権5位のアルピーヌに同ポイントまで迫っていたアルファタウリ・ホンダだったが、2戦を残して25ポイントの大差をつけられてしまった。

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