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洗練さのなかにもジープらしさは健在──新型グランド チェロキー L試乗記

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洗練さのなかにもジープらしさは健在──新型グランド チェロキー L試乗記

ジープのフラグシップモデル「グランド チェロキー L」のセールスが好調だ。同モデルの魅力を小川フミオが考えた。

初代から変わらぬ良さ

新型ホンダ・プロローグの全貌公開!

ヨーロッパとアメリカが力を合わせて作ったSUVと呼ぶのがふさわしいだろう。2022年に日本でも発売開始されたジープ・グランド チェロキー Lは、ひと味ちがうSUVが欲しいひとにぴったり。使われている技術は洗練されていて、いっぽう、個性的な乗り味。3列シートの利便性も魅力だ。

ひとことで評価すると、機能性の高いモデルである。広い室内には3列のシートが並び6人乗りあるいは7人乗りが選べるし、荷物の積載量も多い。かつ、力強い走りのエンジンに高度な4WDシステムを組合せる。なにしろ、そもそも悪路のために生まれた“ジープ”だから当然か。

内外装も、ジープという“アイコン”に価値を見いだせる人のために、しっかりブランドバリューを感じさせてくれる。

「7スロット」と呼ぶジープ車独特のフロントグリルデザイン、それに四角ばったフェンダーアーチ。「ラングラー」といったオフロードテイストの強いモデルに対して、グランド チェロキーは(伝統的に)都会的ともいえる洗練されたボディデザインを特徴としているが、そこに“伝統”を上手にマッチさせ、個性を生んでいる。

思い起こすと、グランド チェロキーが日本に導入されたのは1990年代前半。初めて初代に乗ったときは、贅沢なクルマで、あたらしいマーケットを開拓しようというジープの意気込みを感じたものだ。

そのあとモデルチェンジを繰り返して、いまや5代目となったが、内外装のデザインを中心とした基本的な印象は変わっていないように思える。パッケージングには自信があるのだろう。

ただしクオリティやエンジン、足まわり、それに安全装備がアップデートされつづけ、最新モデルには(日本未導入だが)プラグイン・ハイブリッドも設定された。

新型はインテリアも魅力的だ。ホイールベースが3090mmあり、キャビンスペースはとにかく広い。1列目、2列目は頭上まわり、足まわり共に広々としているうえ、3列シートも短~中距離移動なら大人でも十分耐えられるサイズだから、いざというときの利便性が高い。

内装素材も、近年の米国プレミアムカーの例にもれず、凝っている。スウェード調だったり、ウッドだったり、クロームだったり、と、異なるテクスチャーをうまく組み合わせて、居心地の良さを高める。

しかも右ハンドルだ。かつてのアメ車と異なりペダルレイアウトに違和感はない。日本車とおなじような、ごくごく普通の感覚で運転出来る。大柄のボディではあるものの、見切りがいいから日本の都市部でも取りまわしにはさほど困らないだろう。必要であれば高精度の360度カメラを併用すれば良い。

「これぞアメリカ車!」もうひとつ、グランド チェロキー Lには大きな魅力がある。他車とは明確にちがうドライビングにおける“味”だ。

電子制御を含めて諸技術をうまく使いながら、エンジン特性や足まわりの動きなどをチューニングしている。ソフトでありながら、不安感はいっさいない乗り心地と操縦性の両立を実現した。歴代グランド チェロキーのなかでもっとも走りが良いかもしれない。

ステアリング・ホイールを切ったときの操舵感は、神経質さはみじんもなく、かといって“鈍”ではない。足によくフィットしたトレッキングシューズというか、信頼できるワークブーツというか、そんなたとえも使いたくなる。もっとオシャレだけれど。

スポーツカーのような硬さとか過敏に近いようなステアリングではない。どちらかというと、ジープおなじみの、サスペンション・ストロークが長い、ややフワッとした動き……「これぞアメリカ車! 」という乗り味。欧州製SUVとは大きく異なる。この個性だけでもグランド チェロキー Lを選ぶ価値は大いにある。

基本シャシーはアルファロメオ「ステルヴィオ」などとも共用のはずなので、その気になれば、もっとスポーティな乗り味も実現できただろうけれど、あえて、“これがジープだよね”と嬉しくなるような、おなじみともいえるテイストが作りこまれているのが興味深い。

全長5200mmのボディと3090mmの長いホイールベースの組合せによる、堂々とした体躯。今や希少な自然吸気の3.6リッターV6は、210kWの最高出力と344Nmの最大トルクを発揮する。必要にして十分だ。

最大トルクが発生するエンジン回転数は4000rpmと、ちょっと高めの設定。それゆえ、そこまでエンジン回転を上げていくときに、トルクがどんどんと増えてクルマが力強く加速していく感覚を楽しめるのもイマドキ珍しいかも。

8段オートマチック変速機は、電子制御されていて、右足の動きからドライバーの意思を汲み取る能力には長けているようだ。たとえば、高速ではどんどんギアを上げて燃費をかせぐいっぽう、カーブが続く道ではトルクバンドをしっかり維持して、アクセルワークによる加減速にうまく対応してくれる。

“アメ車の走りは微妙”という思い込みがもしあるのならば、それは捨てるべきだ。新しいグランド チェロキー Lはサイズに見合わず運転が楽しい。

日本で展開されるのはグランド チェロキー L リミテッド」(907万円)とグランド チェロキー L サミット リザーブ(1132万円)。ドライブトレインや、安全装備の多くは共通。前者は2列目シートがベンチタイプの7人乗りで、後者はアームレストをもつキャプテンシートの6人乗り。オーディオやシート調整など、快適装備も後者が充実している。

かつてのグランド チェロキーが300万円台で購入出来たのを考えると、割高のように思うかもしれないが、クオリティや装備、性能、そして7人乗りであることを考慮すれば、妥当だと思う。

文・小川フミオ 写真・小塚大樹、田村翔

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