「ベンテイガ」を破った「ウルス」
ランボルギーニのスーパースポーツSUV「ウルス」が全長約20kmのヒルクライム・コース、パイクスピークに挑み、それまでベントレー「ベンテイガ」が持っていた市販SUVでの記録を大きく超えるタイムでフィニッシュしたというニュースが、一瞬で世界を駆け巡ったのは記憶に新しい。ましてやそのマシンが、ほぼ10日後には世界初公開を控える、ウルスの進化型であるということは確実だったのだから、その話題には何よりも大きな価値があった。
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カーボン素材を多用したボディ
ランボルギーニの計画したスケジュールどおり、ウルス改め「ウルス・ペルフォルマンテ」は、モントレー・カーウィークの幕開けを飾る「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」の舞台で2022年8月19日に発表された。
プレゼンターはもちろん、再びランボルギーニのCEOを務めることになったステファン・ヴィンケルマン。ヴィンケルマン氏によれば、約4年間ですでに2万台の生産を行ったウルスの、スーパースポーツSUVとしての究極的なパフォーマンスと個性的なデザインを、その機能性や夢中になれる走りはそのままに、次なる段階へと押し上げたのが、このペルフォルマンテであるという。
実際にウルス・ペルフォルマンテの姿を見ると、まず印象的なのはよりシャープでダイナミックなデザインへと改められたボンネット、そしてフロントバンパーだろう。
ランボルギーニはこれまでにも、数々のペルフォルマンテを世に送り出してきたが、このウルスの場合もそれらと同様にスーパースポーツとしてのDNAのほかに、ウルスがそもそも持つエレガントさが主張されている。
ちなみにこのウルス・ペルフォルマンテは、SUVセグメントの中では最も多くのパートでカーボン素材を用いたモデルであるとのこと。チーフ・デザイナーのミィティア・ボルケルトは、このペルフォルマンテを「カーボンファイバーの広範囲な使用により視覚的な差別化を図るとともに、カスタマーの志向に応える個性的なスーパースポーツSUVとして新たにデザインした」とコメントしている。
コーナリング性能にフォーカス
実際に新デザインとされたフロントのエアスプリッターとフロントバンパーは、エンジンの冷却能力を高めると同時にドラッグの低減、そしてダウンフォースの増加といったスーパースポーツの伝統的なテーマを意識してデザインされている。
こちらも新採用となるリアスポイラーは、従来のウルスと比較して38%増のダウンフォースを生み出すとされる。新しいスチールスプリングによって、ペルフォルマンテの車高は従来までのウルスと比較して20mm低くなり、同時にトレッドも16mm拡大された。
これはペルフォルマンテでさらにコーナリング性能にフォーカスした結果ともいえるだろう。タイヤはチタンボルトを使用する23インチ径と22インチ径の選択が可能。タイヤはピレリが専用開発したものとなる。そしてウルス・ペルフォルマンテにさらなる迫力を醸し出しているのは、やはりカーボンファイバーで成型されたホイールアーチだ。
一方サイドからウルス・ペルフォルマンテのデザインを見ると、全長が25mm延長され、「アヴェンタドールSVJ」にインスパイアされたというリアウイングの装着などで、そのフォルムはかなり戦闘的なものに見える。数あるプレミアムSUVの中からウルスを選択するカスタマーにとって、このペルフォルマンテの演出はまさにベストといえる。
16馬力アップの666馬力
それでは注目のパワーユニットはどう進化したのか。こちらは意外にも最高出力のエクストラは16psで、666psという数字がスペックシートに掲げられるに過ぎなかった。とはいえ重量は従来型より47kgも軽量化されているので、パワーウエイトレシオは3.2とベスト・イン・クラスと呼んでも抵抗はないレベルに達している。最高速度は306km/h、0-100km/h加速は3.3秒だ。
チーフ・テクニカル・オフィサーのルーヴェン・モールによれば、「ウルス・ペルフォルマンテの走りは筋肉質なアスリートのような身軽さで、オンロードはもちろんトラックでもオフロードでも、それはV型8気筒ツインターボエンジンによって必ずや体験できるもの」だという。
ちなみにこのウルス・ペルフォルマンテには、ダート走行に制御を最適化した「ラリー」モードもドライブ・モードに新設定されており、「スポーツ」や「コルサ」、そしてもちろん「ストラーダ」などとともに、走りのキャラクターの違い、そして実際のクルマの制御の違いを感じ取ることができる。
* * *
スーパースポーツSUVとして、これから多くのライバルとの戦いを余儀なくされるウルス・ペルフォルマンテ。伝統の2シータースポーツの将来も含め、これからのランボルギーニがどのようにニューモデルを投入していくのか。彼ら自身が内燃機関の終わりの年と定めた2022年、ウルスを始め次世代モデル達の次なる進化のカギは、やはり電動化ということになるのだろう。
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