「スポーツカー」のGRヤリス
text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
【画像】【日常にピリ辛の刺激を】GRヤリス、スイスポ、ミニJCWなど【ライバル5車種比較】 全222枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
トヨタがラリーウェポンとして放った「スポーツカー」のGRヤリス。
クルマ好きが2020年デビューの気になるクルマランキングをつけるとしたら、確実に上位にランクインするクルマに違いない。
走りのレベルの高さに関してはAUTOCARに掲載されたインプレッション記事を参考にしてほしいが、ひとつだけお知らせしたいトピックがスポーツカーの聖地と呼ばれ、「グリーンヘル」という異名も持つドイツにある過酷なサーキット「ニュルブルクリンク」の北コースにおけるラップタイムだ。
現地でGRヤリスを購入したオーナーがフルノーマルでアタックしたところ7分56秒という好タイムをマークしてその様子をユーチューブにアップしている。
それは他のクルマを避けながらの一般走行だったようだが、他車を避ける必要がない貸し切り走行で計測されたBMW M2のベストタイムが7分58秒、トヨタGRスープラのタイムは7分52秒だったといえば、パワーでは劣るGRヤリスの走りのポテンシャルがどれだけ高いか理解できるだろう。
GRヤリスは高い?
さて、本題はここからである。いかに凄さに溢れたGRヤリスといえども、実際に購入するとなると多くの人は二の足を踏むのではないだろうか。
ネックとなるのは価格。一般向けに販売されているモデルの「RZ」は、安い仕様でも396万円。上位グレードの「RZハイ・パフォーマンス」ともなれば456万円にも達する。
性能を考えればコストパフォーマンスは抜群だ。同じGRのスポーツカーでもスープラに比べたらかなり接しやすい。とはいえ、価格を見てしまうとスズキ・スイフトスポーツのように「気軽に」とはいえないし、「ヤリスに400万円を出すのはどうなのよ」という声もわからなくはない。
そこで注目したいのが、競技に出場する人のために用意されている「RC」という仕様である。価格はなんとジャスト330万円。この金額ならかなり身近に感じられるように思えるのはきっと筆者だけではないだろう。
「RC」は「買い」か?
気になるのは、この「RC」が普通に乗れるグレードなのかどうかだ。
「競技ベース用モデル」と聞くと日常で使うのは難しいと思いがちである。しかし、結論からいえば問題なく日常使用可能。快適装備や先進安全装備の簡略化こそあるが、これだけ安い価格を掲げられてしまえば我慢できる。むしろ「買うべきグレード」と断言したい。
まずパワートレインだが、これは上位グレード「RZ」とまったくかわらない。272psのターボエンジンを積み、スポーツ4WDシステムを組み合わせる。
次いで気になるのは見た目だが、パッと見たところ「いかにも競技用」という「安っぽさ」はなく、86前期モデルの「RC」と違ってバンパーもブラックではなくボディ同色になっているし、ボディカラーも2種類のホワイトとブラック、そしてレッドから選択可能だ。
見た目でわかる違いといえば、タイヤが17インチで専用ホイールを履くことと、ブレーキローターの径が小さいことくらいだ。
ただ、非競技ユーザーが使うにあたって必ず装着したい走りに関するメーカーオプションは「18インチパッケージ」
タイヤ&ホイールが18インチになるだけでなく、ブレーキローターもひとまわり大きくなり、サスペンションも「RC」に標準設定となるラリー/ダートトライアル用のステアリングナックルではなく、「RZ」と同じタイプになる(最小回転半径もまさかの6.0mから5.3mへ小さくなる)。
しかも、内容を考えれば、4万6200円という価格は「間違いではないのか?」と二度見してしまうほど割安だ。
当然、我慢ポイントも
一方で室内に乗り込むと、たしかに快適装備のレベルは落ちる。
そもそもドアロック解除は非接触式のスマートキーではなくリモコン・ドアロックだし、スターターもプッシュ式ではなくシリンダー式でどことなく懐かしい。でも、ここはグッと我慢だ。
コックピットまわりは、ステアリングこそ革巻きで上位グレードと同様だが、シフトノブやパーキングブレーキレバーのグリップ部は質素なタイプとなり、ダッシュボードからはシルバーの加飾が省かれてチープな雰囲気となる。しかも、表面処理もソフトパッドではなくなるから、質感はかなりダウン。これは割り切るしかないだろう。
ちょっとした問題といえばオーディオが備わらず、ハーネスも組み込まれていないから販売店オプションや社外品も組み込めないこと。
これはスマホとブルートゥース・スピーカーあたりで解決してもいいし、どうやらアフター品としてオーディオを組み込めるキットを用意するショップが出てきそうな気配だからそれを待つのも手といえそうだ。
実はこの「RC」の快適性において最大のポイントはエアコンが組み込まれていないこと。だが、それは心配には及ばない。メーカーオプションで装着することができ、価格は13万2000円と常識の範囲内だ。
それより気を付けたいのは、衝突被害軽減ブレーキといった先進安全装備の類は搭載がないこと。これはオプションでも用意できないことかもしれない。
しかし、「スポーツカーなんだからなくても気にしない」という人は少なくないだろうし、そこが割り切れれば何の問題にもならない。ACCがないことなんて、この最高峰のドライビング体験をもたらしてくれる「スポーツカー」を前にたいした障害ではないはずだ。
「RC」はむしろ安い?
以上、車両価格330万円に18インチパッケージが4万6200円、そしてエアコンの13万2000円を足して合計347万8200円。
それが「リーズナブル」にGRヤリスのターボ、しかも4WDモデルを手に入れられる価格である。
その価格は、通常のカタログモデルである「RZ」に対して48万1800円も安い。そして中身は上位モデルと同じ走行性能を備え、競技ベースモデルとはいえ見た目に安っぽさはなく、エアコンも付いて日常生活にも問題なく使えるのだからコストパフォーマンスは抜群というほかない。
とにかく声を大にして言いたいのは、「GRヤリスは高いから購入に踏み出せない」と考えているのなら、ぜひ「RC」を検討するべきだということ。約350万円でトヨタ渾身のスポーツカーが手に入るのだから。
ところで、1989年に発売された当時の最強モデル日産スカイラインGT-Rの価格は445万円(税抜きなので税率をあわせて今の表記にすると489万5000円)だった。
そんなR32型GT-Rとほぼ同じパワーを持ち、同様に高機能の4WDシステムを備え、アルミの外板を多く採用するとともにルーフはカーボンになり、走りの水準は大きく高まった最新スポーツカーが347万8200円。
そう考えると、GRヤリス「RC」の価格は「驚きの安さ」と判断しない理由が見当たらないと感じるのは気のせいだろうか。もしかすると、「RZ」の396万円でもバーゲンプライスなのかもしれない。
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みんなのコメント
『おっ!!GRヤリスだっ!!』
と思いました。
オーラを放って見えましたね。