この記事をまとめると
■フェラーリが新モデルとなる「プロサングエ」を公開した
「フェラーリよ、お前もか!」 「プロサングエ」に「ロータス・エレトレ」誕生でスーパーSUVが超激戦区に
■フェラーリ初にして待望の4ドアモデルとなっている
■高い走行性能を実現させる先進技術を搭載し、フェラーリらしい走りを実現
新たな時代のフェラーリを表現した一台
近年、高級車メーカーがこぞってSUVモデルを投入している。スーパーカーメーカーであるランボルギーニやアストンマーティン、あのロータスまでもがSUVモデルを手がけるなど盛り上がりを見せている。そんななかフェラーリは、長らくSUVの投入を完全否定し、他メーカーが成功している姿を忸怩たる思いで見ているだけだった。
しかし、フェラーリはただ眺めているだけではなかった。その裏ではSUVの開発を着々と進め、ついに4ドア4シーターの「プロサングエ」を発表へとこぎつけた。ちなみに「プロサングエ」とはイタリアで「サラブレッド」を意味する。そしてフェラーリは、このクルマを決してSUVとは呼ばず、あくまでもグランドツーリング(GT)のひとつとするなど、自身のブランド哲学を貫いている。
プロサングエのフォルムは、それは紛れもなくフェラーリであり、ロングノーズショットデッキなプロポーションや盛り上がった前後フェンダーなど、フェラーリらしさがあふれたものとなった。
デザインはフェラーリ社内のデザインチームが担当。これまでのレース活動で得た空力技術を随所に取り込んだ。例えば、フロントボンネットの左右両端のえぐられた部分はエアロブリッジと名付けられ、正面からの空気をフロントドアの側面に通して空気抵抗を低減する役割を担っている。
また、リヤディフューザーはリヤバンパーとボディ下部の空力をコントロールするとともに、ギアボックスとエキゾーストシステムの効率的な冷却効果も兼ね備えるなど、モータースポーツでは欠かせない空力処理をボディ全体に施している。
さらに、プロサングエ専用に開発された鍛造ホイールはSF90ストラダーレと同様の空力コンセプトに基づいて作られており、ホイールハウス内で高温になった空気の排出を促す効果を備えている。また、防音材を内蔵したカーボンファイバー製ルーフは、同じく防音材入りアルミニウム製ルーフよりも20%軽量になるなど、新たな技術も積極的に採用されている。
後席に乗り込む際には、ウェルカム・ドアというリヤヒンジドアを採用したことで乗り降りを容易にしつつ、車体をコンパクトにすることを可能にし、走行性能に影響が出ないように工夫された。
圧倒的な走行性能を実現させる画期的な技術を搭載
内装は、フェラーリSF90ストラダーレにインスピレーションを受けたものになっており、ほぼ左右対称になっている。助手席側にも、10.2インチのインフォメーションディスプレイを備え、運転時のさまざまな情報を表示できるようになっている。
また、ブルメスターの3Dハイエンド・サラウンド・サウンドシステムを標準装備。フェラーリとして初めて、後席含めてそれぞれ独立した調節が可能なシートを搭載し、後席にもヒーター機能、リクライニング機能が備わっている。
パワートレインは最高出力725馬力/最大トルク716Nmの6.5リッターV12自然吸気エンジンを搭載。そこに8速DCTとフェラーリの4輪駆動システムの「4RM-S」の進化版を組み合わせたことで0-100km/h加速3.3秒という、フェラーリの名に恥じないパフォーマンスを実現した。
この圧倒的な性能を支えるために、フェラーリは新たなアルミニウム合金製シャシーを製作。フェラーリの従来の4シーターモデルに比べてねじり剛性で30%、ビーム剛性も25%向上したことで、粗い路面から受ける衝撃も上手くいなしてくれるほどの快適性能も兼ね備えた。
サスペンションは、48Vのモーターアクチュエーターがダンパーのストローク方向に力を加えることができるマルチマティック社のトゥルー・アクティブ・スプール・バルブ(TASV)システムを採用。このシステムとサイド・スリップ・コントロールなどが働くことで、コーナリング時のロールやピッチを抑え、タイヤにかかる横力をバランスさせながら路面の凹凸を吸収し最高のパフォーマンスを発揮するようにアクティブに制御する。
また、このフェラーリ・プロサングエには、ボッシュと共同開発された安全装備が搭載されるのもトピックで、アダプティブクルーズコントロールや自動緊急ブレーキシステム、レーンキープアシストなどの運転支援技術が標準装備になった。また、急な下り坂での車速を自動ブレーキなどによって維持してくれるヒルディセントコントロールも初搭載される。
フェラーリ・プロサングエの価格は、イタリア本国で39万ユーロ、日本円にして約5600万円と、お値段も決して安いものではない。ただ、環境規制が厳しいこの時代にあえてV12エンジンを新設計し、SUVではなくGTだと断言できるだけのパフォーマンスを実現したフェラーリの気合いの入れようは半端ではない。世界中のセレブが待ち望んでいた4ドア4シーターのフェラーリなだけに、その成功は約束されたも同然。どうやらフェラーリの未来は明るそうだ。
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