どのような影響が?
text:Naoki Furumoto(古本尚樹)
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editor:Taro Ueno(上野太朗)
昨年を振り返ると、新型コロナウイルスの影響が2020年1月後半には中国全土に広まり、それ以降、対中国向けの輸出入が激減した。
中国経済とは別に感染は世界中に広がり、世界貿易は停滞した。日本貿易振興機構(JETRO)によると2020年1~3月期の世界貿易(輸出)の合計額は8%減少したという。
国際社会を見れば、米中対立の深刻化も企業活動や物流にダメージを与えている。サプライチェーンが機能低下し、各国経済の経済回復が予想できず、物流も含めた海外事業も停滞している。
一方、荷動きはあまりないのに、国際物流コストは総じて上昇している。航空便や運航するコンテナ船の減便。これら国際物流コスト・運賃を上昇させている。
日本に目を向けても水害の発生や、消費増税による荷動きが悪化していて、さらにコロナの影響が加わった。
「業績にマイナスの影響がある」と回答した企業の割合は「運輸・倉庫」が約90%を示しているデータもある。新型コロナによって下降し、停滞する各種経済と関連する物流は、極端にその影響を受けている。
トラック輸送量は前年実績割れであり、再び感染拡大傾向にあるから物流需要は回復には程遠い。この物流や運輸業界への影響は深刻なのだ。
物流に影響のあった分野、なかった分野
物流の減少が目立つのは鉄鋼、自動車関連、紙、衣料品などが挙げられる。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で港湾の取扱量が減少。これを背景にドレージ貨物も減少し運賃も下落傾向が続いている。
一方、在宅する人が多いので、家庭用加工食品や冷凍食品を扱う量は増加。また衛生用品、マスクや消毒用アルコールなどは多くなっている。
政府による10万円の定額給付金効果で家電の物流が一時的に動いたが、急激に下降する一過性であることが予想できる。
ただ、宅配関係では需要の拡大が見込まれる。そのため関連の宅急便を扱う企業は、増収傾向である。デリバリー事業の企業も増収しているところがある。企業間物流を扱う大手企業はその物流が減少しているので、減収傾向がみられる。
物流の基本は「人」
コロナ禍で、全体に共通しているが、物流の分野においても雇用を控える傾向が強くなっている。
また解雇や一時休業の措置も多く見られ、こうした環境の厳しさは物流を支えるマンパワーの減少に追い打ちをかけている形だ。
元来この分野は「人」が基本だ。モノを保管し、動かしていくのは「人」で、国内・国際共に物流をオートメーション化することはできないのだ。
自然災害とは異なり、道路などのインフラに影響は無くても、最終的に商品や財を必要とする小売店や企業がその本来の役割を果たさないと物流も成立しないのだ。
自然災害時は都市における物流がとくに混乱する。一方、今のようなコロナ禍では地域間の問題ではなく、扱う物量そのものが減少しているので、インフラを活用したくてもできない「宝の持ち腐れ」状態になりつつある。
こういう時代の「働き方改革」はあまり意味を成していない。
期待される「研究者と企業とのコラボ」
最近は規制緩和でタクシーによる飲食物の宅配が特例として認められている。
ドローンやロボットの活用も推進されている背景にはいわゆる3密を避ける狙いがある。そのうえで、人件費を抑える効果もある。それは見方を変えれば、雇用者を減らすことになっている。
今回のコロナの影響で物流面は「勝ち組」、「負け組」がはっきりしてくるだろう。そういう混沌とした中で、関係機関の協働での活動が出てきたことは光明かもしれない。
関西の産官学で構成する国際物流戦略チームである。国や地方公共団体、学識者、地元経済団体、物流事業者が構成員となり、近畿圏の国際物流に関連する課題分析や、物流施策の展開に取り組んでいる。
もちろん新型コロナ対策でも活発に動き始めている。先日の幹事会では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による近畿における物流への影響について、1.阪神港に関する事項、2.トラック・鉄道・海事・倉庫業に関する事項、3.航空物流に関する事項が議論された。
同チームに期待されるのは、今までになかった、「研究者と企業とのコラボ」である。
これからの企業に求められるのは、分析や研究という分野に踏み込めるか、というところである。単一の企業では困難でも産官学での取り組みを各企業へその成果を落とし込むことは可能になるのではないか。
ただ、抜本的な物流における課題がある。
抜本的な物流における課題
抜本的な物流における課題。企業規模での危機管理における意識や取り組みの差異が、日本ではとくに大きいことである。
事業規模で、各組織内での取り組み方が違い過ぎることだ。末端の下請けや孫請けのようなところに、新型コロナ対策の物流におけるあり方を理解してもらい実践させるにはかなりの無理がある。
業界全体が、この体制作りを改革していくこと、意識の醸成とともにステークホルダーをも含めた教育への動きを加速させるべきだ。
単に倉庫は、保管、物を運べばよいという単純な次元にある事業者も現実には少なくない。これは、物流業界が全体的に、経営環境悪化していることに大きく影響している。
今回のコロナ禍を生き延びるだけでなく、継続的に経営を安定させて、市民生活に安定した物流からの寄与を確保する社会的責任を果たすため、業界全体が一丸となって取り組む必要がある。
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