現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 免許取得後に本格参戦してタイトル獲得。WEC、フォーミュラEなど海外志向の21歳【ネクスト・スターVol.4/佐藤樹】

ここから本文です

免許取得後に本格参戦してタイトル獲得。WEC、フォーミュラEなど海外志向の21歳【ネクスト・スターVol.4/佐藤樹】

掲載
免許取得後に本格参戦してタイトル獲得。WEC、フォーミュラEなど海外志向の21歳【ネクスト・スターVol.4/佐藤樹】

 未来のトップドライバー候補として、これから日本のモータースポーツ界を担う若手ドライバーにスポットを当てる『ネクスト・スター』。第4回は、2024年のFIA-F4に道上龍代表が率いるDrago CORSEから参戦する佐藤樹に話を聞いた。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ZENT LC500優勝を見て決めたレーサーへの道。レースと関わり深い19歳が描く未来【ネクスト・スターVol.3/卜部和久】

──まず、佐藤選手がモータースポーツを始めたきっかけを教えて下さい。

佐藤樹(以下、佐藤):父親の影響で、3歳ごろに気付いたらカートに乗っていたという感じです。『乗ってみたい!』などと言っていたのかもしれませんが、正直僕の記憶には残っていないです。

──お父様はモータースポーツが好きだったのですか?

佐藤:昔少しだけバイクのレースなどをやっていたらしいですけど、僕が小さいころはF1しか見ていなかったです。逆に国内のスーパーGTなどはほとんど見ておらず、僕もF1ばかりを見ていましたね。

──では、カートを始めてからの佐藤選手のキャリアを教えて下さい。

佐藤:カートを始めたのは3歳からで、ロータックスMAXシリーズには参戦していましたけど、全日本カート選手権などには出ておらず、正直そこまで本格的にはやっていなかったです。

 その後、18歳になって自動車免許を取得してからはフォーミュラレースに参戦するようになって、もてぎ・菅生スーパーFJ地方選手権では参戦初年度(2021年)にチャンピオンを獲得することができました。

 翌2022年はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)のフォーミュラクラスを受講してスカラシップ選考会に残り、JAF-F4(現フォーミュラ・ビート)ではチャンピオンになりました。

──最終的にスカラシップを得ることはできませんでしたが、HRSで学んだことはどういったことだったのでしょうか?

佐藤:HRSで講師を務める方々は、現役でスーパーフォーミュラに乗っているようなドライバーの方たちばかりです。その方たちと一緒に走ることができたので、自分に足りないものが明確化されたと思っています。

──2023年はHELM MOTORSPORTSからFIA-F4にフル参戦初年度を戦いました。ランキングとしては13位で終えましたが、フル参戦初年度はどういったシーズンでしたか?

佐藤:シーズン序盤は割と調子が良くて、予選で3番手を獲得することができたときもありました。ですが、シーズン後半になると、あまりうまくいかなくなってしまい、そのままシーズンが終わってしまったという感じでした。

──FIA-F4で2年目となる2024年はDrago CORSEに移籍することになりました。今季は第2戦で初表彰台を獲得していますが、ここまでのレースはいかがですか?

佐藤:第2戦で表彰台に上がることはできましたが、それ以降はあまりうまくいかず、うまくいってもシングルポジションに入るくらいにはなってしまったので、少し苦戦しています。

 ウエットのときは調子が良くてトップ5くらいで走ることができるのですけど、ドライだと足りない部分が多いなという印象です。自分はウエットが比較的得意ということもありますが、ウエットでタイムを出せているのに、なぜドライでタイムを出すことができないのかという部分もあるので、もっといろいろと改善していかなくてはいけません。

 また、予選で前にいけないことも結構あるので、まずは予選一発でもっといいタイムを出したいですね。今後も表彰台に上がるためには、その部分が必要だと思っています。

■フォーミュラEに惹かれた理由と今後の課題
──次に、佐藤選手が思うFIA-F4シリーズの難しい部分、面白い部分を教えて下さい。

佐藤:FIA-F4はやはりワンメイクなので、みんな同じものを使用しているレースです。そのなかで、本当に“細かい誤差”みたいな部分がかなり大きなタイムギャップになるところがあります。その部分はすごく難しいです。そのことを踏まえて、ドライバーのスキル差がはっきりと出るので、そこが分かりやすくて面白いのではないかなと思います。

──では、佐藤選手のレーシングドライバーとしての長所と短所を教えて下さい。

佐藤:長所……難しいですね(苦笑)。今までは割と予選でタイムを出せることが僕の長所かなと思っていたのですけど、今年はそれがうまく出せていないんですよね。でも、やはり調子が悪くても予選でタイムを出せることが長所のはずです(笑)。逆に短所は安定感に欠けるところだと思っていて、少し調子が悪くなるとレースが崩れてしまう部分は短所ですね。

──佐藤選手は将来どのようなレーシングドライバーになりたいというビジョンはありますか?

佐藤:僕は小さい頃からF1を見ていたこともあるので、国内よりも海外で活躍できるようなドライバーになりたいです。そのためには、やはり今年の話にはなってしまいますが、予選でもっとタイムを出せるようにしたいです。そもそもの一発タイムを出す部分が足りないと思っているので、そこが大事になってくると思っています。

──海外レースで将来参戦してみたいシリーズはありますか?

佐藤:最近だとフォーミュラEやWEC(世界耐久選手権)などが面白そうだなと感じています。

──フォーミュラEに参戦してみたいと言う若手ドライバーはかなり珍しいかと思います。どのあたりに惹かれましたか?

佐藤:海外で活躍できることに加えて、いろいろな国でレースを開催しているカテゴリーは、おそらくそこまで多くはないと思います。そのなかでフォーミュラEはさまざまな国を転戦しながら、フォーミュラカーでレースが行われているので、その部分は魅力です。

──海外のレーシングドライバーで憧れている選手などはいますか?

佐藤:(シャルル)ルクレールですね。走りの部分もそうですけど、外見的なカッコよさに惹かれます。

──では最後に、今季のFIA-F4を今後どのように進めていきたいか、そしてレーシングドライバーとしての将来像を教えて下さい。

佐藤:FIA-F4は、ここ数戦は少し苦戦してしまっています。ですが、正直僕にとっては鈴鹿大会の延期が少し味方になり、延期期間中にテスト走行をすることができました。そこでの経験を活かし、まずは予選でしっかりとタイムを出して、上位で戦えるようにしたいです。

 そして、まずはこのFIA-F4をしっかりとした成績で卒業してからは、やはりフォーミュラに乗りたいと思っています。将来的にはフォーミュラで経験を積み、海外レースに参戦できるようなドライバーになりたいです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 本格的なレース参戦は18歳からという佐藤。そこからスーパーFJやJAF-F4でチャンピオンを獲得し、ホンダレーシングスクール鈴鹿では最終のスカラシップ選考会に残るなど、実力は十分にあるだけに、あとはリザルト次第か。インタビューでは物静かな冷静さも感じられ、少ない周回で一発で決める予選のタイム出しを克服できれば、落ち着いて上位を争う姿も見られそうだ。

■プロフィール 佐藤樹(さとう・いつき)
2002年12月3日神奈川県出身。3歳からカートを始め、2021年にもてぎ・菅生スーパーFJ地方選手権でチャンピオンを獲得。翌2022年はホンダレーシングスクール鈴鹿のフォーミュラクラスを受講してスカラシップ選考会に残ると、同年のJAF-F4でシリーズチャンピオンに輝く。FIA-F4には2023年からフル参戦を開始し、今季第2戦で初の3位表彰台を獲得。現在ランキング12位につけている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

えっ!? 運転中に「謎のビックリマーク」が出現…何か悪いことした!? 対処しないと「制御不能」の可能性も!? 実はあまり知られていない「重要な意味」とは
えっ!? 運転中に「謎のビックリマーク」が出現…何か悪いことした!? 対処しないと「制御不能」の可能性も!? 実はあまり知られていない「重要な意味」とは
くるまのニュース
【2025年のクルマ世界に思うこと】マルチパスウェイで本当に自分の好きなクルマを探したい
【2025年のクルマ世界に思うこと】マルチパスウェイで本当に自分の好きなクルマを探したい
AUTOCAR JAPAN
大坂なおみ! 錦織圭! ジャック・ニクラウス! 世界のトップアスリートの名を冠したクルマ4台
大坂なおみ! 錦織圭! ジャック・ニクラウス! 世界のトップアスリートの名を冠したクルマ4台
WEB CARTOP
刺激的な「ブリティッシュ」トリオ! 異なる個性が生む充足感 BBDC 2024(6) 頂上決戦
刺激的な「ブリティッシュ」トリオ! 異なる個性が生む充足感 BBDC 2024(6) 頂上決戦
AUTOCAR JAPAN
軽自動車は“行っていい”んですよね? 「軽車両を除く通行止め」 実は紛らわしい「軽」の文字
軽自動車は“行っていい”んですよね? 「軽車両を除く通行止め」 実は紛らわしい「軽」の文字
乗りものニュース
さらなる冒険を可能にする1台! トヨタが米国市場で2025年型「タコマ」を発表
さらなる冒険を可能にする1台! トヨタが米国市場で2025年型「タコマ」を発表
バイクのニュース
ニッサン斬新「“2シーター”マーチ」がスゴイ! オシャな「ウッド仕様」に大変身! 「冷蔵庫」完備で利便性バッチリな「コンパクトカー」の正体とは?
ニッサン斬新「“2シーター”マーチ」がスゴイ! オシャな「ウッド仕様」に大変身! 「冷蔵庫」完備で利便性バッチリな「コンパクトカー」の正体とは?
くるまのニュース
[セレナ]今買うならマジで[e-POWER]の[ハイウェイスター]がオススメ
[セレナ]今買うならマジで[e-POWER]の[ハイウェイスター]がオススメ
ベストカーWeb
新車時1200万円超えのメルセデス「C 63 AMG クーペ」を500万円でゲット! 6.3リッターV8の税金も苦にならない理由とは…?
新車時1200万円超えのメルセデス「C 63 AMG クーペ」を500万円でゲット! 6.3リッターV8の税金も苦にならない理由とは…?
Auto Messe Web
2025年も、フレキシブルウイングは開発し得? FIAはテストに変更加える予定なし
2025年も、フレキシブルウイングは開発し得? FIAはテストに変更加える予定なし
motorsport.com 日本版
やっぱりロードスターは初代だよなぁ……は思い込みじゃない! 初代こそが最高なこれだけの理由
やっぱりロードスターは初代だよなぁ……は思い込みじゃない! 初代こそが最高なこれだけの理由
WEB CARTOP
軽快なハンドリングが高評価 人気の“ミドルクラスネイキッド”ヤマハ「MT-07」とスズキ「SV650」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
軽快なハンドリングが高評価 人気の“ミドルクラスネイキッド”ヤマハ「MT-07」とスズキ「SV650」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
「125ccで国内販売して」話題のターボ機能付きスクーター、ヤマハ『AEROX ALPHA』に日本のファンも注目
「125ccで国内販売して」話題のターボ機能付きスクーター、ヤマハ『AEROX ALPHA』に日本のファンも注目
レスポンス
運転中の「ながらスマホ」は罰金だそうですが、「信号待ち」だったら「運転中」ではないのでOKですよね? 別に事故とか起こさないから大丈夫…? 法律では実際どうなのか
運転中の「ながらスマホ」は罰金だそうですが、「信号待ち」だったら「運転中」ではないのでOKですよね? 別に事故とか起こさないから大丈夫…? 法律では実際どうなのか
くるまのニュース
ドゥカティ新型「ムルティストラーダV4 S」初試乗!! 万能ツアラーが足つき向上デバイス投入でさらに快適に!
ドゥカティ新型「ムルティストラーダV4 S」初試乗!! 万能ツアラーが足つき向上デバイス投入でさらに快適に!
バイクのニュース
進化した三菱「アウトランダーPHEV」公道での印象は? ルックスは従来モデルと“ほぼ同じ”でも“中身は別物”! 新型は何が違うのか
進化した三菱「アウトランダーPHEV」公道での印象は? ルックスは従来モデルと“ほぼ同じ”でも“中身は別物”! 新型は何が違うのか
VAGUE
『サーキットの狼』のロータス「ヨーロッパ」が「日本一のフェラーリ遣い」の出発点!「幻の多角形コーナリング」ができるのか作者に尋ねてみたら…【極私的スーパーカーブーム】
『サーキットの狼』のロータス「ヨーロッパ」が「日本一のフェラーリ遣い」の出発点!「幻の多角形コーナリング」ができるのか作者に尋ねてみたら…【極私的スーパーカーブーム】
Auto Messe Web
【元警察官】が答える!「アルコール検知器っていいもの?」性能は高いが、頼らないのが◯  
【元警察官】が答える!「アルコール検知器っていいもの?」性能は高いが、頼らないのが◯  
モーサイ

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村