新型はスポーツセダンらしい精悍フォルム。安全装備一挙充実
レクサスISが、大幅リファインされた。新型はA/Bピラーとキャビン前半を除くすべての外板部分に手を加えた。中でも立体感を増した「スピンドルグリル」と、大径化したタイヤをクリアするファットなフェンダーが目を引く。インテリアはダッシュボードとセンターパネルの意匠を変更。レクサスが目指すスポーティなイメージを追求した。新型の内外装はダイナミックそのもの。そして、フェイスリフト以上に気合が入っているのが、機能面のアップデートだ。
2020年モデルは最高出力が387psに向上。トヨタ・スープラの走りのアイデンティティに迫る!
プリクラッシュブレーキには新たに交差点右折時や夜間の歩行者、日中の自転車に対する検知機能などが採用され、緊急時の自車線内操舵支援などレクサス車として初となるトピックも加えられた。進化が著しいADAS(運転支援システム)は一気に最先端の水準へ引き上げられている。
コネクティビティ機能の向上も注目である。マルチメディアシステムは、ディスプレイ位置を手前に移動させるとともに、新たにタッチ操作機能を追加。スマートディバイスリンクやアップルカープレイ、アンドロイトオートに対応する。センターコンソール配置のリモートタッチ・コマンダーは、操作パッドの大型化などの改良が施された。
SUVが世界的にヒットする一方で、4ドアセダンは存在感が薄くなりつつある。レクサスでも、当初からブランドを牽引して来たGSがリスト落ちした。その消滅を補う勢いで商品力強化が図られたモデルが、最新ISである。
パワートレーンは3種。ハイブリッドの300hに試乗
パワートレーンは従来どおり3タイプ。純エンジン仕様は2リッター直噴4気筒ターボ(245ps/350Nm)と、直噴とポート噴射を使い分ける独自の「D―4S」技術を用いた自然吸気の3.5リッター・V6(318ps/380Nm)の2種。ハイブリッド仕様は専用チューニングが施された自然吸気2.5リッター・4気筒(178ps/221Nm)とモーター(143ps/300Nm)を組み合わせる。
多彩なパワーユニットを用意するシリーズ内にあって、試乗車はハイブリッドの300h・Fスポーツ。300h系は4WD仕様が選択可能だが、試乗車はRWD仕様。「スポーツセダン」を自称するISにとって、軽量で最小回転半径が5.2mとより小さいRWD仕様のほうが、「本流」と呼べる存在であることは間違いない。
ISに対面。リアフェンダー部の強い張り出しと、その直前でシャープに蹴り上がるロッカー部分が印象的。いかにもFRレイアウトらしいたたずまいだ。「新たなプレス工法の採用で実現できた」という抑揚とシャープさを増した造形は、素直にカッコいい。大径化したシューズを収めるために拡幅されたフェンダー周辺も、ダイナミックな印象を強調する。
FRらしいシャープな造形。走りはリニアリティたっぷり
Fスポーツは、専用メッシュパターンを採用したフロントグリルやピアノブラック塗装リアスポイラー、アグレッシブな造形のリアバンパーを標準装備。躍動感がより顕著に感じられたのは、試乗車がFスポーツだったことも大きい。Fスポーツ用フロントスポーツシートは、乗降性を損なわない一方で着座感やホールド性に優れる。スポーツセダン用らしい出来栄えだったことも付け加えておきたい。
ボディサイズは全長×全幅×全高4710×1840×1435mm。ライバルのBMW3シリーズ(同4715×1825×1430mm)と同等だ。
2.5リッターエンジン+モーターのハイブリッドシステムは、ハードウエアの基本をキャリーオーバーしながら、出力制御を変更した発展バージョン。なるほど動力性能は、アクセル操作に対する空走感が抑えられ、いちだんとリニアな加減速感が得られるようになっていた。
「リニアリティに富んだ走り」は今回の改良の大きなテーマ。ステアリングやブレーキは、ドライバーの意思に忠実に反応するようリファインされている。「〈戻し〉の操作に対する追従性向上を意識した」というサスペンションチューニングを含めて、その効果を実感することができた。最新ISの走りのレベルは非常に高い。
従来のナットからボルト式に変更されたハブベアリングとホイールの締結は、高剛性化とばね下重量の低減に貢献。走りの質感向上を目指した取り組みのひとつだ。今後、他モデルへも展開予定という。
目先の新しさだけを狙うのであれば、ホイールの互換性にも影響を与える締結方法の変更は決して採らなかったに違いない。そうした点からも、ISが本気で「中身の向上」を狙ったことがうかがえる。ISは見ても、乗ってもダイナミックに進化した。
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