この記事をまとめると
■日産と住友商事、住友三井オートサービス、アイクトコンソーシアムが合同発表会を開催
なぜカーボンニュートラルにはゼロエミッションのEV化が必須なのか? 詳しく解説!
■4社はカーボンニュートラル社会の実現に向けたパートナーシップを締結
■再生可能エネルギーの最適化活用を推進し、実証データや成立モデルを他の自治体にも活用
4社がそれぞれの得意分野を活かして脱炭素社会の実現を目指す
12月22日、「カーボンニュートラル社会の実現に向けたパートナーシップ 合同発表会」が、日産自動車と住友商事、住友三井オートサービス、一般社団法人スーパーシティAiCTコンソーシアム(以下、アイクトコンソーシアム)によって行われた。アイクトコンソーシアムは福島県会津若松市における3・11復興支援を機に、地域DXを軸に市民生活から産業までスマートシティ化を進める枠組みで、防災や観光、データ活用といったさまざまな分科会に41社が参画している。
日産自動車と住友商事、そして住友三井オートサービスは参画していないが、今回は3つの案件における連携協定を結ぶにあたり、「カーボンニュートラル社会の実現に向けた本気度を伝えるため、パートナー同士、合同での発表となった」と、冒頭で日産の内田誠社長は述べた。
日産は先立って「日産アンビション2030」という長期ビジョンを発表し、そこには「モビリティとその先へ」というキーノートがある。サステナビリティを中核に据え、交通環境におけるゼロ・エミッションとゼロ・ファタリティ(死亡率ゼロ)、よりクリーンな社会の実現に向け、さまざまな異業種パートナーと包括的アプローチをするなかで、第一弾が今回の発表というわけだ。
会津若松市は人口約12万人で、地域・市民・企業それぞれに納得感のある「三方よし」を理念に、これまで10年間、スマートシティ建設に取り組んできた。それを進めるアイクトコンソーシアムの理念は、市民が納得し、合意する「オプトインコンセプト」が基本だ。そこで今回のパートナーシップによって、行われる実証実験プロジェクトは大別して3つ。
ひとつ目は、EVの普及による再生可能エネルギーの最適化活用推進だ。エネルギー・マネージメントの実証データをとること自体が目的で、再生可能エネルギーの利用率向上と、官民それぞれの施設や家庭における電力費用の削減を図るため、EVを活用したエネルギービジネスの有効性を検証するという。
ちなみにこれは、アリアを用いた初めてのエネルギー実証実験となる予定で、中期的には需要元ごとの電力の余剰や供給を地産地消でミクロ取引できる仕組み、モビリティとエネルギー生産のバランスを保つための利用者の行動変容を促すための仕組みや利益誘導の方法が研究される。
地産地消型脱炭素社会の実証実験としてデータを活用
ふたつ目は、おもに住友三井オートサービスによる展開で、自動車リースにおけるノウハウを活かし、自治体向けの脱炭素化支援サービスとして、地銀や地域に根ざした企業に、DX化による車両管理サービスなどを提案する。
同社は2010年代初頭の早い段階からEV推進室を設立し、地銀向けのリースとグループ内で100万台以上のEVを保有展開しており、日産にとっては長年のパートナーでもある。よって車両管理のDX化や、導入コストの捻出サポート、車両台数の最適化レポートや、EV導入サポート、シェア含むマネージメントまでノウハウを持つ。
加えて住友商事はグローバルに環境発電サービスを展開し、デジタルやインフラのソリューション開発や提携にも積極的で、車両サービスと合わせて再生可能エネルギーを軸とする循環型ビジネスの構築を目指している。
とくに昨今は、気候変動対策が求められ、ESG投資が加速する中、カーボンニュートラルを宣言した自治体数が492、その人口カバー率が全国で1億1200万人を超えているほど。この現状を踏まえ、モビリティ視点における脱炭素化と、地産地消エネルギーによる脱炭素化を、実情に即したカタチで実行していく、それが今回の実証実験のふたつ目の眼目だ。もちろん会津若松市で採られたデータや成立したモデルは今後、日本全国の他自治体、東南アジアの都市などにも輸出されるという。
3つ目は、日産単独の展開だが、100%の再生可能エネルギーを、まずは従業員向けに販売、つまり自社での電力販売に着手する。もちろん日産のEVとセットで提案できるよう検討中で、バッテリーのリユース&リサイクル事業を手がける4Rエナジーや、二次電池によるスマートグリッド技術なども組み合わされるだろう。
会津若松市は冬に積雪もあれば、過疎化と住民高齢化の進む地域もあり、その問題は全国的に広く共有されるという。アイクトコンソーシアムの中村彰二朗代表理事は、これまで培ってきた持続可能な街づくり・スマートシティ計画と、産学官と国の一体の取り組みが、「地方から全国、そしてアジア諸国へ」、広く展開する可能性に言及する。
「アイクトコンソーシアムが取り組んできた各種プロジェクトは、人材育成・地元企業の生産性向上と地方創生を旨とする”デジタル田園都市構想”に基づくもの。今回の連携協定は、エネルギー分野、モビリティ分野の社会課題・問題を解決することがミッション。会津から、つまり地方で生まれた技術やビジネスが、全国そしてアジア諸国へと、展開していく可能性に期待します」
自治体と地方都市を対象に、いまだ限られた範囲での社会実験ではある。事業の合弁ではなく、その前段階でビジネスとしての妥当性を観察するための実証実験で、合弁の可能性は現段階ではなく、今後模索されるものだ。とはいえ、EVのビジネスがクルマ単体の性能や完成度だけではなく、エネルギー供給や使われ方、ものづくりまで含めた循環型モデル、つまりネットワークの中でどう位置づけるか? そんな曲がり角にさしかかっていることを如実に示す発表内容だった。
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みんなのコメント
11年前に電気自動車を発売したら まず急速充電器を自社開発し全国の日産ディーラーに設置し EVバッテリーのリサイクル 再利用の模索 コツコツと取り組み 少しずつ成果が出て来ています
又電気自動車を活用し災害力対応・カーボンニュートラルの実現に向け 多くの自治体と連携し 社会貢献もしています
こういう事が 本当の顧客重視に繋がっていると思います
これからEVが増えていくと思いますが 日産はリーフ・アリア・軽EVを育てて EVに関するいろんな問題の洗い出し・解決に頑張って下さい