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独創的な思想と技術で巨大メーカーにも負けない! 熱狂的ファンだらけなのも納得な自動車メーカー5選

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独創的な思想と技術で巨大メーカーにも負けない! 熱狂的ファンだらけなのも納得な自動車メーカー5選

 この記事をまとめると

■独自色が強い自動車メーカーを紹介

「優れた性能」をもつライバルを圧倒! 「トヨタ車」がバカ売れする「販売力以外の」理由

■こだわりのメカニズムによって多くのファンを獲得してきた

■普遍的なメカニズムを採用した車種だとセールス的に失敗した例もあった

 独自の設計思想があるからこそ多くのファンに支えられている

 自動車メーカーといえば、業界内では小規模と位置付けられるメーカーでも、企業規模から見るとすべて「大企業」と言うことができるだろう。そのなかで、世界規模での市場占有率を争うトップクラスのメーカーは、不特定多数のユーザー層を対象とした商品作りを行わなければならず、必然的に突出した個性はタブーとなる。突出した個性は、結果的に一部特定少数のユーザーを対象とすることになり、不特定多数の層から敬遠されることにもなりかねないからだ。

 こうした目で自動車メーカーを見渡してみると、業界内では中小規模(と言っても、一般企業と較べればとてつもなく大規模だが)のメーカーが、その企業独自の商品作りを行いそれを特色とすることで、特定少数層のユーザーから支持を受け、自動車メーカーとして存続、発展を遂げている例が少なからずある。ここでは、特化したメカニズムを分かりやすく自社商品の基本コンセプトとし、ユーザーから支持され続けているメーカーに焦点を当ててみることにしよう。

 まず、日本メーカーでこうした例が当てはまる例はないかと見渡してみると、非常に小さなこだわりだが、ドライバーの操作性を重視するマツダのオルガン方式アクセルペダルの採用を挙げることができるだろうか。アクセルを踏む右足の動きや負担を解析し、踏みやすく疲労感のないペダルフィーリングを考慮して作られている。

 これは、吊り下げ式がダメだという意味ではなく、踏みやすく疲労感の少ないアクセルペダルを追求した結果、フロアに支点を持つオルガン式のほうが、より向いているという結論にいたったもので、AT、MTを問わず「走る楽しさ」と「走らせる楽しさ」をクルマ作りのコンセプトとして掲げるマツダらしいこだわりと言うことができる。

 車両を構成するメカニズムに目を向けると、スバルが伝統的に使い続けている水平対向エンジンが目に止まる。もともと、航空機メーカーの中島飛行機を母体とする富士重工(現スバル)は、航空機技術を自動車作り(スバル1500、スバル360)に応用することで、独創的なメカニズムを持つ車両を生産するメーカーという認識が定着していた。そんなスバルが、軽自動車のカテゴリーにとどまらず、小型乗用車の市場に踏み出す第1号となったスバル1000(1966年)で、小型乗用車初となるFF方式に組み合わせるエンジン形式として最適という判断から、水平対向エンジンが選ばれていた。

 スペース効率を最大限活かすことを基本としたスバル360の合理的な設計思想が、乗用車のパッケージングとしてFF方式が最適であるという選択肢を導きだし、FF方式を無理なく構成するためには、エンジン長を短く抑えられる水平対向方式が最適である、という結論によって採用されたメカニズムである。

 その後スバルは、レオーネの時代にFFから4WDに駆動方式の転換を図ったが、エンジンは水平対向レイアウトにこだわり続け、当初977ccで始まった水平対向4気筒エンジンは2.5リッター(2457cc)にまで発展し、あるいは上質化を意図して採用した6気筒も水平対向レイアウト(EZ36型、3629cc)、F1進出を目指しモトーリモデル社と共同開発したスバル・モトーリモデルニ1235型エンジンまで水平対向12気筒という、徹底して水平対向レイアウトにこだわる姿勢を貫き通している。

 低重心であることが車両ハンドリングの良化につながることをセールスコピーに、スバルの水平対向路線は現在も続いているが、水平対向といえば、スバルの先輩格にあたるポルシェの存在を見落とすことはできないだろう。

 突き詰めたこだわりの技術はメーカーの顔だ

 ポルシェの創設者は、あまりによく知られたフェルディナント・ポルシェ博士。水平対向エンジンの発端は、戦時中ヒトラーの指示により開発が進められたドイツの国民車、VWビートルがその発端となる。水平対向エンジンは全長が短く、かつ低重心、さらにビートルでは空冷方式を組み合わせることでメンテナンスの容易性、メカニズムの簡素化を図ることがその原点にあった。

 戦後、1948年オーストリア・グミュントでスポーツカーメーカーとして創業を開始したポルシェは、VWビートルの流れを汲む水平対向エンジン+RR方式の組み合わせでポルシェ356の生産を開始。1963年にはポルシェ356の後継とななる水平対向6気筒を使うポルシェ911を発表。その後911は、現行の8代目992型まで60年ほど生産が続くロングランシリーズとして、世代を超え、世界中のスポーツカーファンから支持されるモデルとして確固たる地位を築き上げてきた。

 源流をたどればVWビートルにたどり着くが、356、911と続く水平対向エンジン+RR方式はポルシェ車の定義として市場で受け止められ、この間、FR方式+直列/V型エンジンの組み合わせによる924/944/928といった別路線のスポーツカー/GTカーも企画されたが、ポルシェのクルマは水平対向エンジン+RR方式以外にあり得ないという市場が作り上げたポルシェ像に合致せず、いずれも車両としては完成度が高く優れたモデルであったにもかかわらず不発に終わる苦い歴史を経験していた。商品イメージが、メーカーの手を離れてひとり歩きをする端的な例だったと言えるだろう。

 ある特定のエンジンレイアウトにこだわるという意味では、航空機エンジンメーカー出身のBMWもポルシェに勝るとも劣らぬ存在だ。量産車エンジンとして圧倒的に回転バランスに優れるシリンダーレイアウトは直列6気筒という強い主張を、いつの時代も貫き通してきたメーカーだ。「シルキーシックス」の呼び名に代表される直列6気筒は、静粛かつスムースな回り方をする上質なエンジンとして、BMWが歴史的に採用を続けてきた方式である。

 自他ともにツーリングカーの雄を認めるBMWは、同社の中~上級レンジを受け持つ3/5シリーズの2~3.5リッターゾーンをカバーするエンジンとして、歴史的に6気筒エンジンを使い続けてきたが、それはいつの時代も直列6気筒だった。直列6気筒は、直列3気筒×2と考えれば、2次振動はゼロ、クランクウェブが左右均等になることで偶力が発生しない(直列3気筒はこの対策がカギだった)、いわゆる完全にバランスしたシリンダーレイアウトと言うことができる。

 6気筒エンジンは、主にエンジンサイズの問題から、1980年代に入ってV6レイアウトが世界的に台頭したが、回転バランスの点から見ると、V6はいちばんやっかいなシリンダーレイアウトである。左右にシリンダー列を持つV型エンジンは、6気筒の場合、理想のバンク挟角は120度となるが、エンジン全幅が広くなりすぎ、量産車への搭載は事実上不可能と言ってよい。この問題への対応策が、クランクピンを分割配置した60度V6なのだが、強度対策の問題でクランクシャフトが長くなり、片バンク3気筒ということから発生する偶力の対策を施さなければならず、実用化(商品化)にあたっていろいろな問題を抱えるシリンダーレイアウトなのである。

 各社が6気筒はV6化に傾倒するなか、BMWだけは直列6気筒が持つ優れた特性にこだわり続け、E46型3シリーズの時代となる2000年、あらゆる点(構造、材料など)の見直しを図った新世代直列6気筒、M54系を開発して投入。V6全盛期に直6の優秀性を示した新エンジンで、以後もN52、N53、N54型と順次発展を遂げ、現在はB58型がBMWの6気筒エンジンとして、直列6気筒+ターボという形で使われている。

 エンジン技術を標榜するBMWが、優れたシリンダーレイアウトとして採用し続ける直列6気筒エンジンには、V6にはない素性のよさが、その採用の原点となっている。

 ちょっと意外な印象を受けるのは、フェラーリがトップモデルでFR方式を続けていることだろう。もちろん、駆動方式、駆動レイアウトの進化のなかで、スーパースポーツカーがFR方式からMR(ミッドシップ・リヤドライブ)方式に切り替わる時期があった。

 フェラーリも、1968年の365GTB4のFR方式を最後に、1973年に登場した365BBからMR方式を採用。以後、512BB、テスタロッサ、512TRを経て1994年に登場するF512MまでMR方式を使い続けたが、F512Mの後を受けて1996年に登場した550マラネロからFR方式に戻り、現在の812スーパーファストまで、26年ほどトップモデルはFRの駆動レイアウト方式を使い続けている。

 MR方式は、最高の運動性能を引き出すエンジンマウント/駆動方式と考えられていたが、限界付近での車両挙動の見極めがむずかしく、車両挙動をドライバーの制御下に置こうとしたら、FR方式のほうが現実的というのがフェラーリの結論だった。こうしたあたり、絶対性能重視で軒並みMR方式を採用するスーパースポーツカー群にあって、ドライバーのコントロール性まで視野に収めてFR方式にこだわるフェラーリに、スポーツカーメーカーとしての第一人者、老舗であることの自負をかいま見ることができる。

 こうして、メーカー固有の特色は何か、と拾い上げていくと、不特定多数を相手にした大規模な自動車メーカーではなく、個性を特定小数のユーザーに認めてもらう車両作りを実践する技術優先指向のメーカーが、そのほとんどあることに気づかされる。

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みんなのコメント

26件
  • これ書いてるライターってアホ?
  • 今のスバリストはただのオタク……
    好きになれん
              …旧いSUBARU好きより。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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