GLS 400 d 4マティック どんなクルマ?
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】メルセデス・ベンツGLS 実車を撮影【AMGモデルも】 全102枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
GLSクラスを目前にして思うのは、絶対的な安心感だ。
車体寸法もさることながら、ボンネットからキャビン後端までボリューム感のあるデザイン。しかも、大きく見せて「格」を誇示するような嫌らしさはない。
乗る人と帰還を確実にする“基本機能を護る意志”を感じさせるような外観だ。圧倒的な信頼感こそが存在意義なのが直感できる。
GLSクラスは、限界踏破を目的としたハードクロカン車ではない。そういった目的ならばMB車にはオフロード職人とも言えるGクラスがあり、GLSクラスは前進となったGLクラス同様にモノコック型のプラットフォームから開発。
とは言え、悪路踏破性に対するこだわりは強く、200mmの最低地上高に加えて、標準装着された電子制御エアサスによって車高を上げることも可能。
また、前後輪トルク配分の全域可変制御4マティックやローレンジギアボックスの付加、専用セッティングのABSとEPSなどをパッケージしたOPも設定されている。
踏破能力が高くなるほどスタック時の脱出が困難になるが、スタック脱出あるいは回避のための保険としても使いやすい機能を備えている。
それらの威力を試せる場がなかったのは残念だが、スペックを追うだけでも、SUVの真価を違えることなく頂点クラスに投影したモデルなのは、容易に理解できるだろう。
全長5.2m×全幅2m どんな感じ?
駐車場や狭路での取り回しは流石に気を使う。
車体寸法に比べると最小回転半径そのもは小さいのだが、専有面積が広い。高いアイポイントで車体周辺死角も広い。
カメラモニターで、ギリギリに寄せられても使える空き領域は何時でも狭いのだ。
このクラスのSUVでは仕方ない部分。都市部での日常用途には不向きなのだ。
その代わりといっては何だが、高速道路は至って快適。
2.6t級の車重と高い全高をサスストロークで上手に抑え込む。うねりやコーナリングでサスストローク量はそれ程大きくない。
量で計ればハードサスの範疇と言えるのだが、中立付近の動き出しの柔らかさとその後の抑えのバランスが、重質で穏やかな乗り心地を生み出している。
高速道路/箱根の峠道で
さらに、サスストロークで吸収できないような細かな凹凸の処理には、車軸周りの緩さも効果的に作用している。
本格オフローダーほど緩くもなく、車軸の僅かな揺動で刺激的な振動を吸収。肌触りレベルの乗り心地の向上に役立っていた。
ちょっとオフローダー的な部分も感じさせるが、高速操安性はSUV最高水準にある。ただし、切れ味とか軽快感はない。
鷹揚なのに据わりがよく、高速コーナリングでも操舵にさほど神経を使わずに済む。
うねりのある下り坂コーナーでも、前後輪のグリップバランスあるいは車体方向の安定性が驚くほど高い。
2.6t級の大型SUVを忘れてしまうほどだ。
ディーゼルの静粛性能について
3Lディーゼルの最大トルクは71.4kg-m。相当な車重といっても、トルクウェイトレシオは約36kg/kg-mでしかない。
標準的なNA 2Lなら負担車重は800kgを下回る計算。大した踏み込みもせず、回転をさして高めず悠々と走るのも当然だ。
組み合わせられるミッションはトルコン式の9速AT。巡航回転数は1500~2000rpm。
大トルクで強引に回転数を下げることもなく、現代の標準的な常用回転域設定だ。
もっとも、変速はアップ/ダウンともに細かい。
多段変速の優位性を考慮すれば当然だが、ペダルコントロールへの追従だけでなく、リズム感のあるドライブフィールにも繋がる。
レブリミット近くまで回しても加速のダレは少ないが、回転を高めなくても操り心地がいい。
余力たっぷりでエンジン音も静か。ロードノイズの遮断性もいい。
騒音源が床下深くにあるような静粛性が独特。
加えてマイクを利用した会話システムで前席・サードシート間でも声を張らずに会話できる。車内コミュニケーション能力も優れ物だ。
3列目の内装/トランクは?
サードシートを使用してなお上級2BOX車相当の荷室容量を備え、前席/セカンドシートには及ばないまでも、サードシートの座り心地も良好。
大きなクォーターウインドウのお陰で見晴らしもよく、長距離走行も苦にならない居心地だ。
付け加えるなら、サードシート用のエアコン吹き出し口やシートヒーターも採用されている。
ミニバン代わりにGLSクラスを選ぶユーザーがそうそういるとは思わないが、2L級1BOX型よりも多人数乗車時の実用性に優れるほど。
ただ、座面地上高が高く、上級本格オフローダーほどでないにしても乗降性は劣り、まして前ヒンジドアでサードシートにアクセスするのは一苦労。サードシート収納の大容量荷室が標準と考えるべきだろう。
ちなみに、サードシート収納時の荷室容量は1350L。
ゴルフバッグを縦積みできるほどの奥行きがあり、一般的なステーションワゴン以上の積載性。
これで足りなければ、大型ミニバンしか選択肢がないというべきレベル。サイズを無駄なく活かしたキャビン設計である。
「買い」か?
正面からぶつかる競合車として思い浮かべたのはランクル(200型)とそのレクサス・バリエーションとなるLXだ。
プレミアム性を考慮するならLXを当てるのが順当だろう。
LXは5.7LのV8を搭載し、約1136万円。GLS 400 d 4マティックが1263万円。100万円以上の価格差があるが、車両価格ベースなら1割強であり、現実味は十分だ。
両車ともに悪路踏破性、キャビン実用性など正統派SUVなのだが、オン&オフロードのバランスが異なる。
GLSクラスもオフロードにこだわってはいるが、LXはラダーフレーム/リア・リジッドアクスルの本気オフロード仕様。搭載エンジンも商用系であり、タフネスを優先した設計。
さすがにオンロードでの走りの質感や快適性はGLSクラスに及ばない。MB車ラインナップからすれば、Gクラス寄りのポジションなのだ。
言い方を換えるなら、オフロードのヘビーユーザーを除いたSUVユーザーにとって、GLSクラスは高レベルのウェルバランス型。
ハードクロカンと悠々たるツーリングを両立したのが魅力。アウトドア趣味も含めて多様な楽しみ方を求めるユーザーには、1200万円超の価格も十二分に納得。
オフローダーの頂点ではなく、SUVの頂点モデルなのだ。
GLS 400 d 4マティック スペック
メルセデス・ベンツGLS 400 d 4マティック
価格:1263万円
全長:5220mm
全幅:2030mm
全高:1825mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:10.9km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:2590kg
パワートレイン:直列6気筒2924ccディーゼル・ターボ
使用燃料:軽油
最高出力:330ps/3600-4200rpm
最大トルク:71.4kg-m/1200-3200rpm
ギアボックス:9速オートマティック
乗車定員:7名
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みんなのコメント
高速乗っててもパワフルだし静かだし恐ろしく低燃費。
各メーカーがディーゼル撤廃に動いているのが残念でならない。