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野尻智紀が感じた安堵と重圧「レースの時と同じくらい精神的にきます」シビック・タイプR-GT初走行インタビュー

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野尻智紀が感じた安堵と重圧「レースの時と同じくらい精神的にきます」シビック・タイプR-GT初走行インタビュー

 7月25日に岡山国際サーキットで初走行を果たしたホンダの2024年型新車両、シビック・タイプR-GT。スーパーGTで初となる5ドアベースのGT500車両はどのような特性、そしてパフォーマンスなのか。気なる点は多々ある中、初日の午後にシビック・タイプR-GTのステアリングを握り、46周を走行した野尻智紀にその感想を聞いた。

⎯⎯まずは乗り始める前、午前のセッションを担当していた山本尚貴の走りをピットでどのように見ていたのでしょうか。

山本尚貴「いい意味で裏切られました」シビック・タイプR-GTの初走行の印象と新車への責任感

「走り出して、割と順調にテストメニューをこなしていたので、まずは良かったなあとは思いました」

⎯⎯このシェイクダウンテストには、ホンダ、HRCから数多くのスタッフがサーキットに訪れ、見守る姿が印象的でした。

「サーキットに来ていないですけど、開発に携わっている方たちが実はものすごい数がいるというのをこの前、知ったんですよ。HRC Sakuraに別件で居合わせた時にスタッフの集合写真の撮影をしていて『こんなにたくさん人がいるんだ』と。その人の数だけの想いがシビック・タイプR-GTにはあるんだなと、その時に再認識しました。その中で今日のシェイクダウンを迎えたので、よりそういう想いが強かったですね。プレッシャーもありますが、やっぱり心強いです」

⎯⎯午後のセッションでそのシビック・タイプR-GTを乗った感想を教えてください。

「(NSX-GTから)変わっていると言われなければ分からない部分もありましたし、ここは違うなというところもありましたし、半々くらいの印象だったかなと思います。ポンと乗った時に、『割とここの感じ方は一緒だな』とか、あまり先入観もなく走り出したつもりだでしたので。午前中の山本選手の話も聞いてはいましたけど、あまり気にしないで先入観なく乗ってみようというのはありましたね。でもまあ、乗ってみたら概ね山本選手と感じたことは一緒でしたし、なんとなく今の現状、こういう特性があるなというのは今日乗った中では掴み切れたかなという感じはありますね」

⎯⎯午前のセッションとは同じメニューでしょうか、それとも違うメニューだったのでしょうか。

「違うメニューをしていましたので、午前と午後で違う部分はあったかなと思いますけど、とは言え、まったく違うクルマに乗ってるほど変わるものをやっているかというとそういうわけではなく、ちょっとした違いでいろいろしていきながらですので。ただ、まだまだ今のクルマに対して合わせ込むという対応はしていないのでタイムのばらつきもありましたし、まだまだ幅広くテストをしている段階ですよね」

⎯⎯最初のセッションを終えた感想として、ポジティブな部分、ネガティブな部分、どちらの割合が大きかったのか。

「これからやらなきゃいけないことは多いと思いますが、少なくとも周りのライバルがあって自分たちの順位が決まるので、いつも通りのテストになると、『いや、トヨタと日産がどんな状況で走っているの?』という未知な部分があります。結局、レースで蓋を開けてみないと分からない部分ですので、今の段階ではポジティブもネガティブもないなという感じですね。ただ自分たちの中では『もっとここをこうしたら速く走れますよ』という提案とか、改善点を伝えられるような意識でやっています」

⎯⎯初日は午前の山本が33周、そして午後も日産と同じく最多の46周を計測することができました。

「そうですね。トラブルなく走れているので、順調に今日1日終えられたかなと。予定していたメニューの100パーセントと言っていいくらい順調にこなせました。トラブルなくたくさん走れたのはすごく良かったですね」

⎯⎯今の段階ではタイムは気にしていないとは思いますが、シェイクダウン初日、午後のセッションはトップのニッサンZにコンマ5秒差の2番手。そのタイムシートを見た感想としては?

「そこなんですよね(苦笑)。 周りのライバルの状況もありますし、そもそも夏に岡山走ることもこれまでないのでタイムの基準がないんですよ。事前のミーティングで想定ラップタイムというのがあったのですけど、そのラップタイムは速いのか遅いのかという状況から始まっているので、今回のタイムが速いのか遅いのかはわからないですね。他車も何をやっているかわからないですし、いろいろなタマ(アイテム)を入れて走っているのでしょうし、彼らは来年に対してクルマの母体が変わらないので、もっと大きなタマを入れている可能性もありますからね」

⎯⎯少し遡りますが、シビック・タイプR-GTの外観についてはどのような印象を受けていますか?

「ホント、乗っていたら外観はわからないですからね(笑)。テストでひとりのプロのドライバーとして今、新車両の開発をするという重要な仕事を任されているので、まだそこまで気が回っていません。走った状況に対して『今はどういう状況で、クルマはどうなっているんだろうな』ということばっかり考えていて、見た目とかまだ頭の中に入ってきていないですね(苦笑)。結構、自分の中ではいっぱいいっぱいでやっている感じがあります」

「今が大事な時期なので、シビックに変わるというのはファンのみなさまにとっても話題性のあることだと思うので、これで実際、蓋を開けてすごく遅かった、という風にはしたくないですし、そうしちゃいけない。そのために自分たちが選ばれてテストに参加させてもらっているので、そこに妥協をしちゃいけないなと。いつものレースぐらい精神的にはくる部分もありますね。真剣度がすごく高いと思ってやらなきゃいけないと思っています」

⎯⎯ホンダのGT500クラスのドライバーの多くが市販車のシビック・タイプRを所有しており、野尻選手もそのひとり。市販車のシビックとシビック・タイプR-GT、何か共通点のような部分を感じることはありましたでしょうか?

「市販車のタイプRは乗っていてすごくコントロールがしやすいのですけど、僕らプロからすると『これだけ乗りやすいのだったら、もっと尖っていいのにな』と思ったりすることもあるんですね。『もっと尖っていて大丈夫だよ』って思っていた、その願いを叶えてくれたクルマみたいな感じですね。『やっぱり、こうじゃなきゃだめだよ』なみたいな(笑)。ですので、どこかで自分のシビックとシビック・タイプR-GTを並べて写真を撮りたいですね。何とかHRCの方にお願いして、撮影の機会を作ってもらってSakuraに自分のクルマを乗り入れて……そんな、(シビック乗りとしての)夢というかなんというか、写真を一緒に撮りたいですね(笑)」

 野尻の言葉からも、少なくともシビック・タイプR-GTの出だしのパフォーマンスとしては、十分に手応えを感じている様子が伺える。多くのスタッフが作り上げた新車シビック・タイプR-GTのプレッシャーと共に、「今日はすごく良い一日でした」という言葉からも、無事にシェイクダウンできた安堵感を感じさせた。

 GT500で2014年にNSXが復帰してから今年で10年、2024年に11年ぶりにホンダのGT500参戦車両が変わるわけだが、その開発を担う野尻、そして山本の双肩にかかる重さも、確かに軽いものではなさそうだ。


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