現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 試乗 アウディS6 ディーゼルのマイルドハイブリッド 0-100km/h5.0秒

ここから本文です

試乗 アウディS6 ディーゼルのマイルドハイブリッド 0-100km/h5.0秒

掲載 更新
試乗 アウディS6 ディーゼルのマイルドハイブリッド 0-100km/h5.0秒

もくじ

どんなクルマ?
ー スポーツサルーンにディーゼル・マイルドハイブリッド
どんな感じ?
ー 0-100km/h加速5.0秒ながらWLTP複合燃費は12.8km/ℓ
ー まるでガソリンV8エンジンのような音響
ー コミット感は薄いもののクワトロらしい安定感
「買い」か?
ー ディーゼルエンジンをどう受け取るか
スペック
ー アウディS6のスペック

新型アウディRS6 600ps超に M5やE63に対抗

どんなクルマ?

スポーツサルーンにディーゼル・マイルドハイブリッド

Eセグメントに属するアウディの「6」に、新しいS6が追加された。新しく魅力的にリフレッシュされた4ドア・スポーツサルーンだが、先代からの明確な進歩という評価以上に、少し物議を醸し出しそうだ。新しいS6には、まったく新しいとはいえ、48Vの電圧で稼働するマイルド・ハイブリッドシステムに、ターボ過給される3.0ℓのV6ディーゼルエンジンが組み合わされているのだから。

ご存知のように、フォルクスワーゲン・グループによる不正問題、ディーゼルゲートや、排気ガスの健康被害懸念の報道などから、英国だけでなく各国で人気は減少している。特に浄化処理されずに大気中へ排気ガスとして撒き散らされるNOxを気にしているひとも多い。

そんな中でアウディが新しいS6にディーゼルエンジンを搭載したという事実は、とても興味深い。すでに多くの人から、信用を失ってしまったパワートレインを選択したとさえいえる。しかも、S6にはガソリンエンジンというオプションもない。今のところ。もちろん、一定の支持を受けて売れるとは思うが、成功するには試乗の流れを覆す必要があると思う。

アウディは世論の見方を改めるため、ディーゼルエンジンのメリットを強調している。実際、CO2の排出量はガソリンエンジンより少なく、排気ガスの浄化技術も大幅に向上してはいる。浄化システムによって濾されたディーゼルエンジンの排気ガスは、2019年の欧州での基準値だけでなく、2021年からのユーロ7の基準値よりも綺麗なのだという。加えて燃費も優れており、得られる航続距離の長さは多くのドライバーが歓迎するはずだ。

ちなみにS6は、ほぼ同時に発表されたS6アバントとS7スポーツバック、クロスオーバーのSQ5との関係性も深い。期待するS6らしさは残っているのだろうか。

どんな感じ?

0-100km/h加速5.0秒ながらWLTP複合燃費は12.8km/ℓ

S6に搭載される3.0ℓのV型6気筒ディーゼルエンジンは、フロントに縦置きされる。ターボ過給だけでなく、48Vの電圧で稼働する電動コンプレッサーが、エンジンの回転数が低い状態でもブースト圧を高める補助をする。ターボラグを減らし、加速を改善する仕組み。

またベルト駆動されるインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)が、エンジン自体も加勢。加速時のシステム総合での最大出力は349ps/3850rpm、最大トルクは71.2kg-m/2500-3100rpmとなる。一方で一定速度でのコースティング時や減速時には、0.48kWhのバッテリーへ回生充電を行い、後の加速時へと役立てる。

モーターの出力は、8速デュアル・クラッチ・トランスミッションは通さず、直接パーマネント方式の4輪駆動システム「クワトロ」へと送られる。追加費用で、クルマのコーナリング速度を一層高めることができる、スポーツ・センターデフも選択可能となっている。

アウディによれば、このマイルド・ハイブリッドシステムによって、およそ0.7~1km/ℓほど燃費を向上することが可能で、環境負荷の軽減につながるとしている。公表されているWLTP複合燃費は12.8km/ℓで、CO2の排出量は164g/km。0-100km/h加速に要する時間が5.0秒で、全長5mに全幅2m、車重2tのサルーンであることを考えれば、かなり良好な数字だといえる。最高速度の249km/hへも短時間で到達可能だ。

まるでガソリンV8エンジンのような音響

エクステリアデザインから標準のA6とS6とを見分けられる部分はいくつかある。大きなエアインテークが左右に大きく口を開き、スポーティなスポイラーの突いたフロントバンパーに、アルミニウム風のサイドミラーカバー、特別仕様のアルミホイールに、リアバンパー下のディフューザーが主なポイント。もちろん、S6のエンブレムも付いている。

インテリアデザインも、フェイシアパネル随所にアルミニウム製の化粧パーツが奢られ、シートも特別仕様のスポーツシート。用いられている素材や装備の内容も極めて充実している。

S6には可変ダンピングコントロール機能の付いたスポーツ・サスペンションが標準装備され、アダプティブ・エアサスペンションもオプションで選択ができる。またセラミック・ブレーキとダイナミック・4輪操舵システムも、注目すべきオプションといえる。

ハイパフォーマンス・サルーンとして不足ないパワートレインを実装しているが、エンジンをスタートさせた時の驚きは予想に反するものだった。エンジンが目を覚ました途端、大きくはないフロントセクションに搭載されているのは、大排気量のV8エンジンなのではないかと錯覚してしまった。ディーゼルエンジンの発する音だとは、にわかに信じがたい。

アウディのエンジニアは、控えめで効果的なサウンドジェネレーターを実装させたためだが、その働きがなかなか良い。クルマが進み始めると、その好印象は更に高まる。低回転域から有り余るトルクが湧出し、スロットルレスポンスも秀逸。若干だがパワーの立ち上がりで遅れるところがあるとはいえ、まるで少し前のV8エンジンのような雰囲気と力強さがある。

コミット感は薄いもののクワトロらしい安定感

潤沢なトルクのおかげで、速度域を問わずS6の加速は鋭い。トランスミッションは、前方が開けた場所でアクセルを踏み込めば5000rpmまで引っ張り、それが難しい道であっても、変速は素早くスムーズに完了する。もちろん変速のタイミングやスピードは、スポーツ、ノーマル、エコノミーが用意されたドライビングモードの選択状態によって、適切に可変する。

ハンドリングは良好だが、感動的とまではいえないかもしれない。その原因は、軽くない前方のマスと、このクラスとしては重たい車重にある。ターンインは充分速いのだが、調整しろの幅や、クルマと対話するというようなフィーリング・フィーリングには乏しい。これは低速コーナーに限らず、長く続くような高速コーナーでもいえることだ。

しかし走りそのものは正確性も高く安定している。少なくとも初夏の今どきの乾燥した路面なら、そのトラクションは極めて素晴らしいものだった。クワトロで名を馳せるアウディだけあって、4輪駆動システムという点では、ライバルよりも一歩先ゆく完成度を持っている。ドライバーは、車重が生む慣性の大きさと対峙する必要はあるのだけれど。

「買い」か?

ディーゼルエンジンをどう受け取るか

印象は良いものの、S6を選ぶかどうかは、少々悩ましい。多くの読者にとって、エンジンのサウンドや力強さなどはとても魅力的に感じられると思う。ほかのTDIのエンブレムを付けたアウディとはまったく異なるドライビング体験が得られるはず。

しかし実務的なディーゼルエンジンを積んだクルマということは隠しようのない事実。しかも6万ポンド(820万円)もする。ショーファードリブンでなく、自身が購入し運転するとなると、悩ましく感じられる読者もいるだろう。

ライバルモデルの方が、ドライビングの意のまま感は強いと思う。反面、ここまで上質に設えられたクルマも多くはない。燃費も良く、長い航続距離を持ち、路面を問わず速い。なんとも選ぶのが楽しくもあり、難しい選択肢だといえようか。

アウディS6のスペック

■価格 6万ポンド(820万円)
■全長×全幅×全高 4939✕1886✕1457mm
■最高速度 249km/h
0-100km/h加速 5.0秒
■燃費 12.8km/ℓ
■CO2排出量 164g/km
■乾燥重量 1955kg
■パワートレイン V型6気筒2967ccターボ+ISG
■使用燃料 軽油
■最高出力 349ps/3850rpm(システム総合)
■最大トルク 71.2kg-m/2500-3100rpm(システム総合)
■ギアボックス 8速デュアルクラッチ・オートマティック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
Merkmal
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
ベストカーWeb
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
ベストカーWeb
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ベストカーWeb
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
ベストカーWeb
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ベストカーWeb
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1404.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

109.91100.0万円

中古車を検索
S6 (セダン)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1404.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

109.91100.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村