もくじ
どんなクルマ?
ー スポーツサルーンにディーゼル・マイルドハイブリッド
どんな感じ?
ー 0-100km/h加速5.0秒ながらWLTP複合燃費は12.8km/ℓ
ー まるでガソリンV8エンジンのような音響
ー コミット感は薄いもののクワトロらしい安定感
「買い」か?
ー ディーゼルエンジンをどう受け取るか
スペック
ー アウディS6のスペック
どんなクルマ?
スポーツサルーンにディーゼル・マイルドハイブリッド
Eセグメントに属するアウディの「6」に、新しいS6が追加された。新しく魅力的にリフレッシュされた4ドア・スポーツサルーンだが、先代からの明確な進歩という評価以上に、少し物議を醸し出しそうだ。新しいS6には、まったく新しいとはいえ、48Vの電圧で稼働するマイルド・ハイブリッドシステムに、ターボ過給される3.0ℓのV6ディーゼルエンジンが組み合わされているのだから。
ご存知のように、フォルクスワーゲン・グループによる不正問題、ディーゼルゲートや、排気ガスの健康被害懸念の報道などから、英国だけでなく各国で人気は減少している。特に浄化処理されずに大気中へ排気ガスとして撒き散らされるNOxを気にしているひとも多い。
そんな中でアウディが新しいS6にディーゼルエンジンを搭載したという事実は、とても興味深い。すでに多くの人から、信用を失ってしまったパワートレインを選択したとさえいえる。しかも、S6にはガソリンエンジンというオプションもない。今のところ。もちろん、一定の支持を受けて売れるとは思うが、成功するには試乗の流れを覆す必要があると思う。
アウディは世論の見方を改めるため、ディーゼルエンジンのメリットを強調している。実際、CO2の排出量はガソリンエンジンより少なく、排気ガスの浄化技術も大幅に向上してはいる。浄化システムによって濾されたディーゼルエンジンの排気ガスは、2019年の欧州での基準値だけでなく、2021年からのユーロ7の基準値よりも綺麗なのだという。加えて燃費も優れており、得られる航続距離の長さは多くのドライバーが歓迎するはずだ。
ちなみにS6は、ほぼ同時に発表されたS6アバントとS7スポーツバック、クロスオーバーのSQ5との関係性も深い。期待するS6らしさは残っているのだろうか。
どんな感じ?
0-100km/h加速5.0秒ながらWLTP複合燃費は12.8km/ℓ
S6に搭載される3.0ℓのV型6気筒ディーゼルエンジンは、フロントに縦置きされる。ターボ過給だけでなく、48Vの電圧で稼働する電動コンプレッサーが、エンジンの回転数が低い状態でもブースト圧を高める補助をする。ターボラグを減らし、加速を改善する仕組み。
またベルト駆動されるインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)が、エンジン自体も加勢。加速時のシステム総合での最大出力は349ps/3850rpm、最大トルクは71.2kg-m/2500-3100rpmとなる。一方で一定速度でのコースティング時や減速時には、0.48kWhのバッテリーへ回生充電を行い、後の加速時へと役立てる。
モーターの出力は、8速デュアル・クラッチ・トランスミッションは通さず、直接パーマネント方式の4輪駆動システム「クワトロ」へと送られる。追加費用で、クルマのコーナリング速度を一層高めることができる、スポーツ・センターデフも選択可能となっている。
アウディによれば、このマイルド・ハイブリッドシステムによって、およそ0.7~1km/ℓほど燃費を向上することが可能で、環境負荷の軽減につながるとしている。公表されているWLTP複合燃費は12.8km/ℓで、CO2の排出量は164g/km。0-100km/h加速に要する時間が5.0秒で、全長5mに全幅2m、車重2tのサルーンであることを考えれば、かなり良好な数字だといえる。最高速度の249km/hへも短時間で到達可能だ。
まるでガソリンV8エンジンのような音響
エクステリアデザインから標準のA6とS6とを見分けられる部分はいくつかある。大きなエアインテークが左右に大きく口を開き、スポーティなスポイラーの突いたフロントバンパーに、アルミニウム風のサイドミラーカバー、特別仕様のアルミホイールに、リアバンパー下のディフューザーが主なポイント。もちろん、S6のエンブレムも付いている。
インテリアデザインも、フェイシアパネル随所にアルミニウム製の化粧パーツが奢られ、シートも特別仕様のスポーツシート。用いられている素材や装備の内容も極めて充実している。
S6には可変ダンピングコントロール機能の付いたスポーツ・サスペンションが標準装備され、アダプティブ・エアサスペンションもオプションで選択ができる。またセラミック・ブレーキとダイナミック・4輪操舵システムも、注目すべきオプションといえる。
ハイパフォーマンス・サルーンとして不足ないパワートレインを実装しているが、エンジンをスタートさせた時の驚きは予想に反するものだった。エンジンが目を覚ました途端、大きくはないフロントセクションに搭載されているのは、大排気量のV8エンジンなのではないかと錯覚してしまった。ディーゼルエンジンの発する音だとは、にわかに信じがたい。
アウディのエンジニアは、控えめで効果的なサウンドジェネレーターを実装させたためだが、その働きがなかなか良い。クルマが進み始めると、その好印象は更に高まる。低回転域から有り余るトルクが湧出し、スロットルレスポンスも秀逸。若干だがパワーの立ち上がりで遅れるところがあるとはいえ、まるで少し前のV8エンジンのような雰囲気と力強さがある。
コミット感は薄いもののクワトロらしい安定感
潤沢なトルクのおかげで、速度域を問わずS6の加速は鋭い。トランスミッションは、前方が開けた場所でアクセルを踏み込めば5000rpmまで引っ張り、それが難しい道であっても、変速は素早くスムーズに完了する。もちろん変速のタイミングやスピードは、スポーツ、ノーマル、エコノミーが用意されたドライビングモードの選択状態によって、適切に可変する。
ハンドリングは良好だが、感動的とまではいえないかもしれない。その原因は、軽くない前方のマスと、このクラスとしては重たい車重にある。ターンインは充分速いのだが、調整しろの幅や、クルマと対話するというようなフィーリング・フィーリングには乏しい。これは低速コーナーに限らず、長く続くような高速コーナーでもいえることだ。
しかし走りそのものは正確性も高く安定している。少なくとも初夏の今どきの乾燥した路面なら、そのトラクションは極めて素晴らしいものだった。クワトロで名を馳せるアウディだけあって、4輪駆動システムという点では、ライバルよりも一歩先ゆく完成度を持っている。ドライバーは、車重が生む慣性の大きさと対峙する必要はあるのだけれど。
「買い」か?
ディーゼルエンジンをどう受け取るか
印象は良いものの、S6を選ぶかどうかは、少々悩ましい。多くの読者にとって、エンジンのサウンドや力強さなどはとても魅力的に感じられると思う。ほかのTDIのエンブレムを付けたアウディとはまったく異なるドライビング体験が得られるはず。
しかし実務的なディーゼルエンジンを積んだクルマということは隠しようのない事実。しかも6万ポンド(820万円)もする。ショーファードリブンでなく、自身が購入し運転するとなると、悩ましく感じられる読者もいるだろう。
ライバルモデルの方が、ドライビングの意のまま感は強いと思う。反面、ここまで上質に設えられたクルマも多くはない。燃費も良く、長い航続距離を持ち、路面を問わず速い。なんとも選ぶのが楽しくもあり、難しい選択肢だといえようか。
アウディS6のスペック
■価格 6万ポンド(820万円)
■全長×全幅×全高 4939✕1886✕1457mm
■最高速度 249km/h
0-100km/h加速 5.0秒
■燃費 12.8km/ℓ
■CO2排出量 164g/km
■乾燥重量 1955kg
■パワートレイン V型6気筒2967ccターボ+ISG
■使用燃料 軽油
■最高出力 349ps/3850rpm(システム総合)
■最大トルク 71.2kg-m/2500-3100rpm(システム総合)
■ギアボックス 8速デュアルクラッチ・オートマティック
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