「伝説の名車」と呼ばれるクルマがある。時の流れとともに、その真の姿は徐々に曖昧になり、靄(もや)がかかって実像が見えにくくなる。ゆえに伝説は、より伝説と化していく。
そんな伝説の名車の真実と、現在のありようを明らかにしていくのが、この連載の目的だ。ベテラン自動車評論家の清水草一が、往時の体験を振り返りながら、その魅力を語る。
思えば「ワンペダルドライブ」は超過激なセッティングだった!? 2代目ノートe-POWERの魅力と知られざる真実
文/清水草一
写真/日産
■楽しいけど慣れるまでが大変?
日産 ノートは、今でこそキラキラ輝くプレミアムコンパクトカーだが、かつては日産ラインナップのボトムを担う、地味~な縁の下の力持ちだった。
2005年登場の初代モデルは、マーチ、キューブに続く日産コンパクトカートリオのトリとして登場。中村史郎デザイン担当常務は、「丸のマーチ、四角のキューブ、三角のノート」と自信のほどを述べた。確かに丸と四角は傑作デザインだったが、三角はいまひとつで、辛口デザイン評で知られた前澤義雄氏も「日産デザインに期待していただけに失望した」という意のことを述べている。
2012年に登場した2代目も、ヌルいパネル面がどこかパッとしない、典型的な大衆車だった。エンジンは1.2L 直列3気筒にダウンサイジングされた上で直噴化。一部グレードにはスーパーチャージャーも搭載されたが、普通にドライブしていると、スーパーチャージャーが働くタイミングはほとんどなく、一般ドライバーには恩恵がなかった。
2012年に登場した2代目ノートだが、初期型にはe-POWERは設定されていなかった
すべてが変わったのは、2016年、シリーズハイブリッドの「e-POWER」が追加されてからだ。初試乗時、私は驚愕した。日産からは「ワンペダルドライブ感覚」と説明されていたが、それは掛け値なしのワンペダルドライブで、アクセルを戻すだけでかなり強力な減速Gが発生し、そのまま停止まで可能。街中でのドライブなら、ブレーキペダルを踏まずに、アクセルペダルだけで運転できたのだ。
ワンペダルドライブができるのは、「Sモード」か「ECOモード」の時だけで、ノーマルモードにすれば、通常の加減速になった。日産は「ワンペダルドライブに違和感のある場合は、そちらを選んでいただけます」と説明していたが、ワンペダル時の加減速は確かに非常に強力で、アクセルを踏めばEVのような大トルクで瞬時に加速し、アクセルを戻せば通常のブレーキング並みの減速Gが発生。そのまま停止に至る。これを一度知ったら、ノーマルモードには戻れなかった。
ただ、アクセルを戻すたびに強い減速Gが出るので、操作に慣れなうちは、同乗者はもとより、ドライバー自身もクルマ酔いしてしまう。「たしかに面白いけれど、これが一般ユーザーに広く受け入れられるのか?」という疑問を抱いた。
■e-POWERが売れに売れた理由を考える
2代目ノートが登場してから4年が経過した2016年に、「e-POWER」が追加された
一方、内外装はあまり大きな変更はなく、相変わらずの薄味だった。一番変わったのはフロントマスクで、太いメッキのVモーショングリルが付けられたが、センスのよさは感じられなかった。
ガッカリなのは内装、特にダッシュボードまわりだった。相変わらず安っぽい樹脂製ダッシュボードのセンター部に、ピアノブラックのパネルが鎮座していた。ピアノブラックは高級感を出そうという狙いなのだろうが、あまりにも浮いていてセンスがない。ガソリンエンジン時代は、クルマそのものが地味な存在ゆえ、あまり気にならなかったが、e-POWERという新世代のパワートレーンを手に入れた途端、猛烈に気になり始めた。
このように、ノートe-POWERの第一印象は、「ドライブ感覚は超新鮮だが、マニアックすぎて一般受けは疑問」「内外装は相変わらずサエない」というものになった。よって、「販売の起爆剤にはならないだろう」という結論が導かれた。
ところが、私の予想に反して、ノートe-POWERは大ヒットしたのである。発売3週間後には、月間販売目標の約2倍にあたる2万348台を受注。全体の78%がe-POWER車だった。2016年11月の国内販売台数は1万5784台となり、軽を含む全銘柄の販売台数で1位に輝いた。日産車が月間販売台数で1位になったのは、6代目サニー以来、30年ぶりの快挙だった。
内外装はあまり変わっていなかったから、ヒットの要因はe-POWERによるワンペダルドライブ以外にない。つまり多くのユーザーは、ディーラーで試乗して感激し、契約したのだろう。まさかあの過激なワンペダルセッティングを、一般ドライバーがこんなにも歓迎するとは!
■一般ドライバーが求めていたのは「革命」か!?
たしかにワンペダルドライブは、近所への買い物でも、その新鮮さを強く実感できる。以前のノート・スーパーチャージャーが、ほとんど働く機会がなかったのとは対照的だ。一般ドライバーは大きな変化を求めていないと思い込んでいたが、日常域で感じられる「革命」を歓迎したのだ。
思えば日産は、よくぞここまで思い切ったものだ。当時の日産は、技術面でも経営面でも低迷気味だったが、e-POWERのワンペダルドライブは、世界初の量産EV「リーフ」の知見を遺憾なく活かした攻めのセッティング。これに、ディープなカーマニアから一般ユーザーまでが心を動かされた。
その後e-POWERは日産の国内向け看板技術となり、多くのモデルに展開された。2020年の3代目ノートはe-POWER専用モデルになった。
3代目ノートは2020年に登場。第2世代となるe-POWERを搭載し、デザインはシャープな雰囲気となった
しかし3代目ノートは、アクセルを戻すだけでは停止はできなくなっており、ワンペダルドライブは消滅していた。アクセル全オフの停止時にも、一般的なATのようにクリーピングがあったほうが便利というユーザーの声を汲んだ変更だった。
つまり、それだけ2代目ノートe-POWERのワンペダルドライブが、突出していたのである。現在のe-POWERはどんどんパワーアップし、進化を続けているが、アクセルオフで停止まで可能だったあの”初代”e-POWERが、最もとんがっていたと感じるのは、私だけではないだろう。
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みんなのコメント
まぁ、私は確かにワンペダルに慣れてしまって、現行のノート(orオーラ)に買い替える気が起こりませんが。