■新型エンジンでさらに魅力的に! 燃費性能は?
2018年に現在の姿で登場したホンダ「FORZA(フォルツァ)」は、2021年に新型エンジンや各部を大きくブラッシュアップしました。日本を含むアジア、ヨーロッパの主要スクーター市場で競争力を持たせて登場した現行「フォルツァ」がどれだけ進化したのか気になるところ。
もしもヤマハ「NMAX155」を買ったら? 便利すぎてオールインワンになるのがコワイ!?
the「燃費」取材班はココに注目です。まずエンジン。ボア×ストロークをロングストローク方向に変更し、クランクシャフトの剛性をアップ。吸排気バルブのリフト量を変更したほか、エアクリーナーボックスからマフラーまで吸排気経路を一新。振動抑制のバランサーシャフトも追加されています。つまり上質になったことが予想され、当然、燃費性能だって……。
ちなみに「フォルツァ」の燃費性能は、60km/h定地燃費値(2名乗車時)が41.5km/l、WMTCモード値(クラス2-2)は33.2km/lとなっており、the「燃費」で以前計測した250スクーター、ヤマハ「XMAX」(2020年型)の燃費性能である41.2km/lや33.8km/lと極めて近い値です。
車重は186kgで燃料タンク容量は11リットルのレギュラーガソリン指定。250クラスにおけるスクーターバトル(燃費ですが)を征するのはどっちなのか? どんな結果になるのかを楽しみに新型「フォルツァ」で取材に出たのです。
the「燃費」では毎回、市街地、高速道路、快走路(ツーリング路)の3つのシーンで燃費計測をしています。例外を除き、基本的に同一ルートを走ることで、過去記事で別機種との比較も楽しんでいただけるようにしています。
記載の燃費値、走行距離は、車載される平均燃費計、トリップメーターの数値です。「満タンでどこまで走れる?」というチャレンジ企画的な内容ではなく、また走行ペースは交通の流れに合わせ、エコラン的な走りはしていません。とあるツーリングに出た1日の燃費に近いものを目指しています。
ただし、燃費は乗り方、アクセルの開け方にも左右されます。記事中の燃費値がいつでもどこでも誰にでも共通するものではないことをお断りしておきます。
■やはり信号待ち、アイドリングは燃費に影響する
市街地燃費計測ルートは、東京都内外苑周辺をスタート。青山一丁目交差点から国道246号で赤坂、皇居方向へ。皇居を左に眺めながら進み、有楽町手前で丸の内ブティック通りをループ。再び晴海通りに戻り、銀座、築地、晴海、豊洲を抜け直進し、首都高速湾岸線と平行する国道357号沿いの東雲付近まで。片側3車線ある大通りを中心に、一部一方通行などを交え進みます。
「フォルツァ」のテスト走行当時、外苑周辺は東京2020の開催に関わる交通規制があり、一部経路変更をしました。交差点などで右折待ちが信号3回分あるなど、いつもよりアイドリング時間が長い傾向です。そのアイドリング時間の長さと、丸の内から銀座、晴海周辺までの交通量が多めだったことが響いたか、市街地燃費は25.6km/l止まり。「XMAX」が同区間で記録した31.2km/lを大きく下回りました。
市街地の速度変化に対応しやすいエンジンブレーキの効き具合ですが、アクセルオフでもう少し空走してくれてもイイかな、と思いました。
■高速道路でも力強く上質な走り、電動スクリーンで快適性アップ
高速道路区間の燃費計測は、房総半島へ移動します。アクアライン連絡道「袖ケ浦IC」から木更津ジャンクションで館山道にアクセス。南進して「富浦IC」まで52.7kmを往路として計測。復路は、快走路(ツーリング路)燃費計測を終えた館山道「富津中央IC」から木更津ジャンクション経由アクアライン連絡道の「木更津金田IC」までの24.8km区間です。この2区間の合計77.5kmで行なっています。
往路、復路ともアクアライン連絡道は比較的平坦で制限速度は80km/hですが、館山道は往路が100km/hから80km/h、70km/h(対向1車線区間)へと変化し、復路は100km/h区間のみを走ります。その館山道、アップダウンが連続し燃費計測をする道としては厳し条件でもあります。
「フォルツァ」は新たに装備したバランサーシャフトの恩恵により、エンジンの振動が少なく快適です。トルクを上手く生かすCVTの制御もあって、走りには上質感があります。向かい風でも電動のスクリーンを上げれば快適性を上げることもでき、安定感ある走りで遠出を力強くサポートしてくれるでしょう。
気になる燃費は、往路35.5km/l、復路36.2km/lを記録。同区間で「XMAX」は往路38.6km/l、復路37.9km/lだったことを考えると、ちょっと差が付いた、というのが正直な印象です。
■走りの気持ち良さは充分、下り坂でもアクセルONが燃費に影響か
快走路は3つの区間で計測をしています。区間1は館山道「富浦IC」直近のコンビニエンスストアから房総半島の内陸を抜ける「安房グリーンライン」を経由して半島の南端エリアまでの21.6km。区間2は南端エリアから海岸沿いの国道410号、県道34号を走り「大山千枚田」までの38.2km。区間3は「大山千枚田」から県道34号、県道182号「もみじロード」等を走り、館山道「富津中央IC」までの25.3kmを走ります。
3区間とも平坦路やアップダウン、ワインディングがあり、ツーリングルートとして恰好の道です。「フォルツァ」はここでも安定感がある走りを見せます。ハンドリングはナチュラル、欲を言えばもう少しキビキビ感があれば楽しいでしょう。ブレーキもサスペンションも余裕があるようなので、スポーツバイクとのクロスオーバー、なんて味わいたくなるのは贅沢でしょうか。
そんなツーリングを楽しみつつ走った快走路。燃費は区間1が38.9km/l、区間2で39.1km/l、ワインディングが楽しい区間3で41.7km/lをマーク。平均39.9km/lとなりました。
数値的には「XMAX」が記録した快走路区間平均46.2km/lを大きく下回っています。走った印象はエンジンブレーキが強めにきく設定のため、下りのワインディングでも安心感はあるものの、長い下りでも常にアクセルオンにする必要があったことが「XMAX」との差につながったのかな、と推測します。
■エンジンの魅力はハナマル
結果です。合計175kmを走り、市街地、高速道路、快走路を合わせた平均燃費は33.7km/lとなりました。250スクーター「XMAX」(2020年モデル)が38.5km/lだったので、水をあけられた「フォルツァ」ですが、走りの質感は魅力的でした。もしスポーツバイクが装備するライディングモードが搭載されたら、是非エンジンブレーキの弱モードを投入してもらい、いつの日か再び燃費の旅に出てみたい……そんな妄想をする取材班だったのです。
■ホンダ「FORZA」(2021年型)燃費結果総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)総走行距離:175km総合燃費:33.7km/l市街地:25.6km/l高速道路平均:35.8km/l快走路平均:39.9km/l
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