人間が発電機になるという独創的な機構
いわゆるバイクの形をしていない「特定原付」が増加しています。
【画像】「えっ…!」これが人力で発電する「EV特定原付」です(20枚)
2023年7月に道路交通法が改正され「特定小型原動機付自転車」が解禁されました。
「全長1900mm×全幅600mm以下」「搭載する原動機(電動に限る)は定格出力が0.60kW以下」「最高速度20km/h以下」「ギアはAT」「最高速度表示灯が装備されていること」が、特定原付の条件となります。
これらの条件を備えていればよいので、構造が簡易で安価なキックスケーター型の原付が増えています。
特定原付解禁に先立ち、2023年5月30日に一風変わったモデルが発表され、6月1日に先行予約が開始されました。
「ENNE T250」というモデルで、見た目は完全に折りたたみ自転車。しかし、車両自体は完全EVです。
走行の仕組みは、メインフレーム内にメインバッテリーを内蔵し、基本的にはその電力を使用してバイクと同様に走ります。
バッテリーは基本的にはパナソニック製で、調達状況によりLGやサムスンの同等品を使用する場合もあるとのこと。車体の製造は日本で行っています。
しかしこの車両ならではの特徴は、ペダルで発電して走るモードがある点です。
ペダルはチェーンを介して発電機に接続しています。ペダルを漕ぐと電気が生まれ、後輪のインホイールモーターが回るという仕組み。
速く漕げば発電量が多くなり高速走行が可能、ゆっくり漕げばそれなりの速度で走ることができます。
この仕組みは、まさに「シリーズハイブリッド」といえます
エンジンは発電専用。電気モーターでタイヤを駆動するのがその仕組みで、日産が「e-POWER」として実用化しています。
エンジンを人間に置き換えたのがこのT250。まさに「人力シリーズハイブリッド」といえるでしょう。
海外からも評価を受け、ドイツとベトナムへの輸出も開始
このユニークな仕組みが興味を引いたのか、250台の先行用意分が販売開始から7時間で完売したといいます。
再販希望の声も多く、メーカーは急ぎ追加販売を決定しました。
ちなみに当時の価格は、定価が22万円。先行予約は、先着順に11万円から14万3000円で販売されました。
その機構が海外からも評価を受け、ドイツとベトナムへの輸出も開始。日本では保安基準に適合済みで、特許も取得しています。
現在公表されているT250のスペックは、車重18kg、モーター定格出力36V250W、瞬間最大出力は500W、発電機の定格出力は350W。
バッテリーは7.8/10.4/14Ahの3種類の容量を用意。純粋なEVとしての航続距離は40~70kmで、最大航続距離は100~160kmとなっています。
ボディカラーは、ホワイト/ブラック/ベージュ/ブルー/ピンク/グリーンの計6色をそろえています。
さらに2024年2月には、T250の後継モデル「T350 Pro」が発売されました。
基本的な仕組みと走行機能は「T250」と同様で、発電容量を8倍に向上、発電機も定格350Wのものに換装しました。
駆動用モーターも定格250Wから350W(瞬間最大700W)に向上。バッテリーは引き続きパナソニック製(場合によりLG/サムスン)で、10.4Ahと14Ahの2種類の容量を用意。
純粋なEVとしての航続距離は50~70kmで、最大航続距離は100~140kmとなっています。
また車体サイズは展開時で全長1360mm×全幅×570mm×全幅1040mm、折りたたむと同750mm×500mm×600mmに縮小可能です。
新型T350 Proも大好評のようです。メーカーはこのヒットを想定していたのでしょうか。
メーカーである株式会社ENNEの担当者は次のように話します。
「ENNE Tシリーズのヒットは私たちとしても想定以上でした。
問い合わせは発売以来、毎月100件程度いただいており、のべ件数は1500件以上にのぼります。
購入されるお客様は主に2つの層に分かれます。
1つは免許を返納された高齢のお客様です。キックボードのように目を引くことはあまりなく、自転車のように手軽に、なおかつ電動で簡単に走れることに興味を持たれているようです。
もう1つは年齢層を問わず、新技術に興味を持たれたお客様です。運転中に発電するため、航続距離が長くなることに惹かれているようです。
多くのユーザーが評価しているのは、やはり唯一無二の発電機構、またそれにより期待できる航続距離です。
また自転車らしい外見であることに関連して、『目立ちすぎないのが良い』、『単純にデザインが好み』という声も寄せられています。
納車は即日可能となっています。
現時点での販売台数について言えば2023年の改正道路交通法の施行と同時期に発売されたT250の方が多いですが、より進化しているT350 Proの方が高い評価を得ているため、今後はこちらの人気がより高まるでしょう」
※ ※ ※
人間が発電をしながら走るというアイデアを形にしたユニークなENNE Tシリーズ。その不思議な乗り味もまたファンを増やしているのではないでしょうか。
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みんなのコメント
解禁する必要なんかなかった。
どこのアンポンタンが「解禁する」と決めたのか?自転車ですら交通ルールをまともに守らないのに、業者と癒着してるのか?