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【若々しく活発なホットハッチ】スズキ・スイフト・スポーツ(最終回) 長期テスト

掲載 更新 4
【若々しく活発なホットハッチ】スズキ・スイフト・スポーツ(最終回) 長期テスト

積算1万2869km 明るいLEDヘッドライト

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)/Matt Burt (マット・バート)

【画像】スズキ・スイフト・スポーツ 全55枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


暗い夜でも、スズキの明るさが際立つ。といっても、黄色いボディではなく、LEDヘッドライト。

コンパクトカーにも明るいLEDライトが普及することは、良いことだと思う。対向車の接近だけでなく、路面もクリアに照らしてくれる。

最終回 スズキが生んだ個性的な1台

スズキは近年、個性的なクルマづくりで調子が良いように見える。サスペンションやハイテクなエンジン、シャープなハンドリングといった部分ではなく、コンセプトや性格的な魅力という側面で。

クロスオーバーのイグニスも悪くない。ジムニーも、ほかにはない個性がある。そして長期テストで乗ってきた、スイフト・スポーツもその1台。長期テストをこのように締めくくれてうれしい。

ホットハッチといえば、スリリングな走りで、ドライバーの気持ちを鼓舞してくれるクルマだ。スズキ・スイフト・スポーツも同様。性格付けやエネルギッシュさといった部分が、ドライバーをさらに笑顔にしてくれる。

確かに、走行性能や車内の知覚品質といった部分は、ホットハッチのクラストップに並ぶことは難しい。走り始めるとすぐに、気になるところが出てくる。

しかしスイフト・スポーツを5分も運転すれば、楽しく親しみやすいクルマだと考えが変わる。それは、初対面のときも同様だった。ダブリン空港からAUTOCARの事務所まで、ウェールズに広がる道を遠回りした。必要以上に長い時間の運転になった。

若々しく活発なホットハッチ

気がつくと、スイフト・スポーツは家のように落ち着ける空間になっていた。顔は笑顔になっていた。このクルマの魅力の1つは、シンプルさにある。

流行りのドライビング・モードもない。サスペンションやエンジン、ステアリングの設定を時間をかけて色々試す必要もない。

スイフト・スポーツは、いい意味で若々しい。活発で、運転が楽しめるホットハッチの特長に良くあっている。加えて、不足ない運動性能も備えている。

ターボで加給される1.4Lの4気筒は、従来の自然吸気エンジンほど、明確な性格を持っているわけではない。そのかわり、郊外の道をハイペースで運転することに喜びを与える、パワーとトルクを秘めている。

一部の、より硬派なホットハッチと違って、スイフト・スポーツは日常的な乗りやすさと、郊外の道での楽しさとのバランスが良い。特にサスペンション。

乗り心地は、継ぎ接ぎだらけの市街地でも過度な不快さを感じさせず、それでいてカーブの続く道では満足感を味わえる。小さなボディサイズと、ステアリングホイールの設定も、無駄のない操縦性を生んでいる。

ドライバーだけでなく、多くの第三者も笑顔にしてくれる。その理由は、カナリー・イエロー(チャンピオン・イエロー)のボディ色にもあった。

正直にいって、勇気を絞り出しても、自分では選ばない色ではある。しかし最終的にはすっかり好きになった。クルマの性格にもピッタリ。混雑した駐車場では見つけやすい。

不満も少なくないが、運転の楽しさで勝る

もちろん、スズキ・スイフト・スポーツは完璧ではない。不満は少なくはない。

高速道路の速度域になると、乗り心地と車内のノイズは不快なほど悪くなる。小さな燃料タンクは、480kmごとの給油が必要。燃料計と航続距離の表示は当てにならない。

センターコンソールを覆うプラスティック製のカバーは薄いし、バックカメラはライバルモデルより汚れやすい。インフォテインメント・システムのタッチモニターとシステムは、許容範囲だが、一部のライバルの水準には届いていない。

タイヤの空気圧センサーのエラーにも、短期間だが悩まされた。季節の変わり目の、急激な気温の変化が影響しているようだ。細かいことではあるが、ライバルと並べて比較していくと、数は増えてしまう。

英国での価格は、1万7999ポンド(241万円)。フォルクスワーゲンUp! GTIより高く、エントリーグレードのポロGTIや、クラスリーダーのフォード・フィエスタSTに近い。

ただし、スズキ・スイフト・スポーツは電卓をはじいて選ぶタイプのクルマではない。自然と引き込まれるタイプなのだと思う。ポロGTIがビデオゲームのグランツーリスモなら、スイフト・スポーツはマリオカート、というと誤解があるかもしれないが。

もちろん、バナナの皮は投げられないし、ライバルほどの奥深さや高水準な動的性能はない。そのかわり、シンプルに魅了するようなドライビング体験が得られる。

シリアスなホットハッチとしての性能も、忘れてはいない。原色の黄色いボディも。それ以上にホットハッチらしい、運転の楽しさを一番に据えている。

次に選ぶべきクルマが難しい

長期テストは、今回で最後。果たしてスズキ・スイフト・スポーツより優れた、バランスの良いモデルを選ぶのが難しい。

より洗練され、シリアスな性能を持つポロGTIが良いだろうか。次に選ぶべき長期テストのクルマが、悩ましい。

セカンドオピニオン

スズキ・スイフト・スポーツの魅力には逆らいにくい。例えバランスのよく優れたライバル・モデルと並んだとしても。

正直、インテリアは見劣りするし、英国での価格設定も有利だとはいえない。しかし、ホットハッチとしての楽しさに焦点が当てられている。ライバル以上に、面白さを感じられた。 Tom Morgan(トム・モーガン)

テストデータ

気に入っているトコロ

ハンドリングとコーナリング:満足度の高い一体感。あえてカーブの続く郊外の道を選びたくなってしまう。
トルク感:ターボエンジンは不足ないトルクを生み出してくれる。サウンド面では少々期待はずれだけれど。
黄色いボディ:鮮やかな黄色は、少々派手で気恥ずかしい。しかし、スイフト・スポーツなら好きにしてくれる。

気に入らないトコロ

航続距離の計算:表示される数字はあてにならない。憶測するという、別の楽しさはあったけれど。
長距離走行時の洗練性:高速道路を巡航走行すると、車内は騒々しいし、乗り心地も褒めにくい。

走行距離

テスト開始時積算距離:1120km
テスト終了時積算距離:1万3454km

価格

モデル名:スズキ・スイフト・スポーツ(英国仕様)
新車価格:1万7999ポンド(241万円)
現行価格:1万7999ポンド(241万円)
テスト車の価格:1万7999ポンド(241万円)
ディーラー評価額:1万2700ポンド(170万円)
個人評価額:1万1290ポンド(151万円)
市場流通価格:1万1695ポンド(156万円)

オプション装備

なし

燃費&航続距離

カタログ燃費:16.7km/L
タンク容量:37L
平均燃費:15.5km/L
最高燃費:17.0km/L
最低燃費:10.4km/L
航続可能距離:574km

主要諸元

0-100km/h加速:8.1秒
最高速度:209km/h
エンジン:直列4気筒1373ccターボチャージャー
最高出力:140ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/2500-3500rpm
トランスミッション:6速マニュアル
トランク容量:265L
ホイールサイズ:17インチ
タイヤ:195/45R17
乾燥重量:975kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:199ポンド(2万6000円/1カ月)
CO2 排出量:125g/km
メンテナンスコスト:なし
燃料コスト:984.8ポンド(13万2000円)
燃料含めたランニングコスト:984.8ポンド(13万2000円)
1マイル当りコスト:0.13ポンド(17円)
減価償却費:6306ポンド(84万5000円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:0.95ポンド(127円)
不具合:なし

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